創意工夫
唐突な提案にキャメリアも聞き返す。
「それは名案だと思う・・・でもさ、どうやって?そもそも、アスタが会場の真ん中まで風船抱えて堂々と侵入しようとしたら摘み出されるんじゃないの?」
「そこの課題さえクリアできればいいんだけど・・・。例えば、誰か透過魔法を使うとか!」
「そんなの誰も使えないよ・・・」
シャロンが元気なく言うと、アスタが「あ!」と大きな声を出した。
「どうしたの!?」
みんなが注目する中、取り出したのはノーティーエッグズ【忍シール】だった。
「それ!忍シール!!」
「どうしてそれ持ってんの!?ノーティエッグズって都会にしか売ってないのに!!」
「ノーティエッグズ?」
意外な物の登場に驚くシャロンとキャメリアだが、その隣で友達だけが傾げる。
「簡単に言うとこれ貼るだけで誰でも気配を消せるってことだよ!これはこの前の展示会で見つけた!」
ノーティーエッグズ【忍シール】
貼った対象の気配を消すことができるシールだよ!
ただし、姿を消すわけじゃないから認識されるとすぐに見つかっちゃう!!
そう言う時はもう一度認識から外れるように隠れよう!!
「でもこれ、透明になれるわけじゃないのよね?」
「そう、そこを何とかできれば・・・」
友達からの指摘にアスタが悩む。
そこでシャロンが提案する。
「大きな音とか出して試験官の気を引くとか?」
「ダメだよ!そんなことしたら試験が中止になっちゃう!!」
またみんなで悩んでいると、友達が「ちょっと待ってて!」と言って出て行った。
少しして百科事典のように分厚い本を持ってきた。
「これは?」
「薬学の魔術書!何かいいのが無いかなって思って!」
開いてページを捲って行く。
「私、薬学魔法が得意なの!」
「へぇ〜」とこれまたシャロンも参加するがもう誰もつっこまない。
そこで、あるページに手を止めた。
「あ!これならいけるかも!!」
みんなでそのページを覗き込んだ。
「透過魔法の補助薬品!透過魔法が使えない人が練習する際に使う物で簡単に透過することができるの!こうやって何度も練習して、高度な技術に仕上げていくの!!」
「これ!いけるんじゃないか!?」
アスタが目の前の光明に興奮して言うと、キャメリアが質問した。
「補助ってことは、シャロンでも使えるの?」
「使える。使えるけど、ここは私が透過の基礎魔法を使うよ!シャロンには少しでも多くの魔力を残してもらわないと!!ただし、これには時間制限があるの!」
「どれくらい持つの?」
シャロンの質問に、友達が調べる。
「えーと、よく練習した人で5分!始めたてでは1分持つか持たないか!」
「そんなに短いの!?」
キャメリアが驚いていると、アスタが拳を握って力強く言う。
「やるしかない!これで試験会場の真ん中までダッシュで行って、忍シールで気配を消して、俺が風船を膨らませる!!」
「アスタ・・・」
唖然とキャメリアが呟くように言うと、シャロンも元気よく気合を入れたように返した。
「アスタ!シャロンもがんばる!!やるよ!!」
「よし!みんなで勝ち取るぞ!シャロンの合格!!」
「おー!!」とみんなで拳を突き上げて言った。
その後、練習としてアスタに透過魔法をかけて試験会場でダッシュしてもらい、行けることを確認。
その日は解散となった。
アスタとキャメリアはシャロンの学生寮に泊まる。
2人が部屋にいる間に、友達がシャロンにまた飲み物を渡してくれた。
「ありがとう!」と言って相変わらず確認せずに飲み干す。
「おいしい!!・・・で、これ何?」
「そういうのは先に確認した方がいいよ?魔力回復薬!今日もみんなが来る前にちょっと練習してたんでしょ?」
「ありがとう!・・・あ!お願いがあるんだけどさ・・・・」
そう言って小声でシャロンがお願いした。
「え?いいけど・・・。もしかして試験終わりに使うの?」
「うん、まあそんなところ!よろしくね!」
それだけ言うとシャロンは部屋に戻っていった。
そして翌日、シャロンの再試が始まるのであった。




