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月桂樹の葉を編む  作者: 叶笑美
勇往邁進
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28/110

旅立ちの決意

アンティパスト島へと戻ったアスタは自室に行き、刀を手に取る。

はっきりとはわからないが、やらなければいけないことはある。

仲間も再集結を待ち望んでいる。

だが、まだ悩んでいた。

育ての父への申し訳なさ、何と言って出ればいいのか、仕事はどうなるなど・・・。

得体の知れない自分をかくまって男手一つで育ててくれた恩も裏切って外へ出て心配かけて、やっと戻ってきて再開できた仕事の跡取りとして手伝いをしている。

それについて父も喜んでくれているし、それこそが今までの恩返しだと思っている。

「できるわけないだろ・・・また父ちゃん裏切るなんて」


悩み抜いた末、今は父には言えなかったが友達には言うことにした。

いつもの4人で集まる。

「あのさ、みんなに言いたいことがある!」

「どうしたんだよ?」

ファルシの問いかけに、一つ呼吸を置いて再び力強い視線で続きを返した。

「俺、みんなの言ってたようにまだやるべき事があったみたいだ!だからもう一度島の外へ出て旅をする!!」

3人は少し黙っていたが、ラペが頷いた。

「そっか、だよな!!アスタはまだお外で何かやりたそうだったもんな!!」

それに続いてファルシもカプレーゼも頷く。

「今のアスタが一番アスタらしいよ!」

「僕たちに何か手伝えることはある?」

友達の言葉に嬉しくなる。

「みんな・・・ありがとう!・・・ただ、一つ悩んでることもあるんだ」

「悩み?何だよ?言ってみろよ!」

「そうそう、俺らで解決できるかもしれないしさ!!」

ラペとファルシの言葉は嬉しいが、元気を無くしてうつむき気味に答える。

「父ちゃんのことなんだ。ここまで赤の他人の俺を育ててくれて、島飛び出して心配かけて、やっと戻ってきて父ちゃんの跡取りとして仕事を教わっている。それなのにまた裏切る形を取るなんて・・・」

それにはみんなも黙ってしまった。

「いや!でもさ、決めたんでしょ?」

そう聞き返したのはカプレーゼ。

「ま、まぁ・・・。この前遠出した時に前の仲間と出会ってさ、またみんなで旅に出たいし、そのつもりで今頑張ってるって聞いたんだ!だから俺はまた1週間後に誘いに来るって約束した!やるべき事はまだ明瞭じゃないけど、俺はどうしても行かないといけない!」

真剣なアスタの言葉にみんなも黙って何か打開策はないかと考える。

そこで一番に口を開いたのはファルシだった。

「あ!じゃあさ、俺らでアスタの父ちゃんの手伝いすんのはどう?」

「そうだね!遠方とかは難しいかもしれないけど、島内の荷物の積み下ろしは手伝えるかも!」

「いや!そんなところじゃないんだろ?アスタの心配は!!」

ラペの質問にゆっくりと頷く。

「跡取りとかの話をしてるんだ。そこなんだろ、心配してるの」

「・・・うん」と元気無く俯いて答えた。

「俺らじゃ仕事のことについては何もできない。だけど、一つだけアスタの力になれることはある!!」

みんながラペに注目する。

「俺たちみんなで、アスタの父ちゃんを説得しに行こう!!」

その掛け声にファルシもカプレーゼも勢いよく頷いた。


それからみんなで父の元へと行った。

「父ちゃん、話があるんだ!」

いつもの4人組でやって来た息子を見ると、一つため息をついた。

「父ちゃん、俺、もう一度旅に出たい!やり残したことがあるんだ!!」

先陣切ってアスタが言うと、後にラペもファルシもカプレーゼも続いた。

「お願いします!アスタが旅立つこと、許してやってください!!」

「島内でのお手伝いなら俺たちもやるから!!」

「アスタにはやらないといけないことも、仲間もお外にあるんだ!」

必死になって一緒に言ってくれる友達に父も驚く。

少しの間黙ってから、アスタを真っ直ぐ見た。

アスタも緊張した顔をし、固唾を呑む。

「アスタ、別に俺はお前の旅立ちを反対しない」

呆気あっけなく下りた許可にみんながきょとんとする。

「わざわざみんなに頼んだのか?そんなことだってしなくても、俺はアスタが出ていきたいと言えば送り出すつもりでいたさ」

言いながら父はどこかもの寂しそうにしている。

「わかっていたんだ、お前がこんな狭い島に収まっていられないことくらい。この前の展示会で西の大陸のおもちゃを見てただろ。その時の様子が、どうも悲しそうでな・・・。俺が島に縛っちゃいけないって思ったんだ」

「父ちゃん・・・」

「それに、最近のアスタは元気が無い。仕事の時は楽しそうではあるが、暇な時にぼーっと海を見つめていたり、一日中気の抜けた様子の時だってあった。そんな姿を見てまで、ここに縛ってやる必要なんて無いと思っていた・・・」

父が次第に目を細め、眉尻が下がる。

「きっと優しいアスタのことだ。俺に気を使って踏み出せないんだろ?気にするな。息子に気を使われる方がよっぽど惨めってもんだろ」

しかし、言葉とは裏腹に語気も悲しげな色を帯びてくる。

「あー!ダメだダメだ!!」と言うと父は背中を向いた。

そして腕で目を擦っている。

「アスタ!かわいい子には旅をさせろって言葉は知ってるな?」

「う、うん!」

それからまた向き直った時には、涙をこぼしていた。

「アスタは俺が赤ん坊から育て上げた唯一の子どもだ!実の娘でもない、俺が育てたのはアスタだけだ!!だから可愛くて仕方がない!!だから・・・だから・・・」

また涙を拭う。

「旅に出ろ、アスタ!!世界を見て来い!!そして大きくなれ!!」

「父ちゃん・・・!!」

アスタは駆け寄って父に抱きついた。

そんな息子を父も抱きしめる。

「誰が何と言おうとお前の父ちゃんは俺だからな!!」

「うん・・・うん・・・!!」

アスタも涙を流しながら父の胸で頷く。

「旅に疲れたら・・・家に帰って来い!!お前の家も家族もここにいる!!いつでも待ってるからな!!」

「ありがとう・・・父ちゃん!!」

父にきつく抱きしめられながら、アスタは旅立ちの決意をした。

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