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月桂樹の葉を編む  作者: 叶笑美
勇往邁進
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占い結果

会場の外はベンチやテーブルとイスなどがたくさんあり、休憩や食事が気軽にできるようになっていた。

そこの一つに腰掛けて向かい合う。

占い師は新調したての水晶を紫のサテンでできたクッションに乗せ、そこに手をかざして覗き込んだ。

「じゃあ、まずは何に悩んでいるのか教えてもらえる?」

「えっと・・・」と言葉に詰まり、辺りを一度見渡した。

父が近くにいないのを確認してから続ける。

「前の旅で自分の両親が死んでたことを知ったのと、さっき言ってたメリリーシャで出会ったチョコも同じように両親がいなくて、俺ら一族の仇討ちを果たすことができたんだ。それで俺らパーティは一度解散することになった」

水晶を覗きながら怪訝けげんな顔をする。

「その仇はかなり大きな存在ね。それこそ世界に影響を及ぼすような・・・」

そこで最近のニュースを思い出す。

「あれ?・・・もしかして、魔王軍?」

声をひそめてアスタに聞くと、黙って頷いた。

「すごいじゃない!!」

思わず大きな声を出す相手を口に指を当てて「しっ!」と制する。

「俺らが倒したことは世間的には公言しないことになってるんだ!相手がデカすぎて、関係機関からの報復を避けるためにって!」

「ご、ごめんなさい!つい・・・続けて!」

促されてまた続ける。

「一度解散して、俺は今父ちゃんの仕事を手伝ってるんだ。毎日楽しいし、やりがいもある。・・・だけど、どこか心にぽっかりと穴が開いたような感じがするんだ」

「へぇ・・・虚しいのね。仲間に会いにいったりはしてないの?」

「数日前に一番近くに住んでる召喚士のキャメリアに会ったよ。でもさ、召喚士の修行を再開して、家出中だった姉も連れ戻して、家族との平和な暮らしを楽しんでいたんだ。他の2人には聞いてないけどさ、俺が家族との平和な暮らしを享受きょうじゅしているように、みんなだって充実した毎日を送っているかもしれない。そこに俺がまたみんな集めて、目的もないのに旅したいなんてただのわがままな気がして・・・」

占い師は少し眉を近寄せた。

「それさ、会いに行った方がいいんじゃない?」

「・・・え?」

思わず顔を上げて相手の顔を見ると、真剣な表情でこちらを見ていた。

「だってさ、それってアスタが勝手に相手の事情を勘繰かんぐってるだけで、直接本人たちから聞いたわけじゃないのよね?」

「そうだけど・・・」と軽く頷く。

「そんな実態のない敵と戦ってないで、スパッと会いにいって、直接みんなの気持ち聞いてみなさい!もし、それでダメだったらまたお父さんの事業のお手伝いに戻ればいいじゃない!」

アスタはしばらく黙った後、気になることを聞いた。

「それって・・・占った結果ですか?」

「あ!ごめんなさい!つい熱くなっちゃって!!」

恥ずかしそうに顔を赤くして水晶を覗き直す。

「いやね、他の人でも時々いるの。出した手紙が返ってこないとか、そういうので相手が自分のこと嫌いになったんだとか、もう絶交されたんだとか・・・案外相手がその時に忙しくて返事ができなかっただけとかよくあるのよ。自分の考えが先行しちゃって、相手への理解が欠けちゃう時。ちゃんと気持ちを伝えて、相手から直接聞くのってすごく大事なのよ」

「直接か・・・」

しばらく手をかざしていると、何かが見えて来たようだ。

「アスタ、占い結果でも会いに行くのは良いみたいよ。あら?何かやり残していることがない?まだ運命の線が太く、強く続いているわ。・・・西に伸びている」

「やり残したこと?」

アンティパストの友達にも言われたが、いくら考えても何も思いつかない。

「そのことで2人、誰かが動いている・・・」

さらにわからない。

「この人たちも色々と運命を持っているわね・・・。あら?この先のことがよく見えない・・・真っ白な霧が立ち込めている」

「見えないの?俺の未来?」

アスタからは水晶を見ても何も見えないので、淡々と聞き返すしかできない。

「ええ・・・なんだかとても大きな運命なんだけど・・・どうしても霧が深くて見えないわ」

「西・・・深い霧・・・」と呟きながら考えるが、その単語で思い出されるのはラテルネ墓地の鬼灯ほおずきに息を吹き掛けなかった際に墓荒らしと判断されて妖精が見せる足止め用の霧だった。

『もしかしてまた来るとか言って一切行ってないから怒ってるとか?・・・ヤダなぁ』

アスタの脳内にはヘルハウンドが犬の姿で威嚇している様子が思い浮かんでいた。

「あ!やっと霧が晴れてきた!・・・ん?これは・・・大きな樹?丘の上に大きな樹が一本立っているけど、心当たりはある?」

それにも首を横に振って答えた。

「そこにアスタとチョコという子が深く関わってきている」

「大きな・・・樹?そういえばどっかで見たな・・・。だめだ、全然思い出せない」

あごに手を当てて考えるが何も思い出せない。

だが、なんとなく風景だけはなぜか思い描ける。

「とにかく、アスタがやるべき最善のことは仲間に会いに行くことね!その前にアスタと同じ髪色の男性に会うといいわ!」

それだけ言うと占い師は立ち上がった。

またアスタが渋い顔をする。

「何それ?誰?」

「私が言えるのはここまでよ!占いはあくまで人生のヒント!どう歩んでいくかは自分で模索して、考えて、そして選ぶものよ!占いでは全部は決められないわ!」

自信無さ気に困ったような顔をするアスタに優しく微笑みかける。

「大丈夫よ!アスタは仲間と共に偉業を成し遂げたじゃない!」

一つ区切って、また続ける。

「あなたならできる。がんばりなさい、勇者アスタ!」

それだけ言うと占い師は水晶を持って去って行った。

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