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Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
第3章 国際首脳会議
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国際首脳会議

 かれこれ一週間続いている、国際交流を兼ねた交渉の場はまだ続く。シックで豪華なデザインの大会議室に、各国の代表者が勢ぞろいしている。


 今日の会議の参加者は10数か国、その全ての代表が卓を囲んでいる。先日交渉を行った、アゼミア大帝国とハルシャル王国も参加している。ライトとレフトもクリスタルの隣に座っている。クリスタルは主催の立場のため、一番奥の席に座る。ルーグはクリスタルの斜め後ろに立ち、控えている。クリスタルが宣言する。


「では会議を始める。議題は『ベクトレイアとの戦争になった場合の対策』だ。手元の資料を見てくれ。」


 代表達はあらかじめ配られた資料の束を見る。1か月前からクリスタルとルーグがほぼ不休で作り上げた資料だ。


「今表向きになっているベクトレイアの状況と、偵察で発覚した実際の状況も記載されている。その上で各国に頼みたい事が書かれている。それに意見や質問がある場合、手を上げてくれ。」


 皆資料に目を通す。程なくしてレフトが手を上げる。


「私かラいいかシラ? 私の領域での支援が『戦力の提供』なのだけレども、私自身が出撃シてもいいかシラ? 部下や他の邪神に全部任セた方がいいのかシラ?」


 それに続き、ライトも手を上げる。


「僕から同じ質問です。『怪我人の救護』は僕自身も行ってもいいですか? 他の善神たちも連れて行ければ後衛で怪我人は治せるし、僕なら最前線で戦いながら皆の治療を行えます。」


 それを聞き、クリスタルが頷く。


「可能であれば、二柱にも出撃をお願いしたい。戦略的に、俺と側近は最前線で戦うことになる。そこに二柱がいるのは大変心強い。」


「なラ、私達は部下を連レて出撃スルわね。用意はシておくわ。」


「救護に関しては任せて下さい。」


 二人の受諾を聞き、クリスタルが問う。


「他には幾つかの国に援助を頂くことになっている。しかし、正直人員が足りていない。資料に書いているせん滅班・救護班・工作班の人員支援を頼みたい。どの国でも良いから、現段階支援をしていない国は支援をしてくれ。」


 クリスタルの言葉に、全員が静まり返る。それに耐え切れずアゼミア帝王が口を開く。


「我が国は既に支援を行いますが、救護班なら人を送れます。」


「お願い出来るなら、頼む。他は?」


 次に声をあげたのは、ハルシャル国王だ。


「我々は海上の工作と敵のせん滅でしたら、お役に立てるかと!」


「では海上戦では主に工作班として動いて欲しい。他の国は?」


 そこで再び辺りが静まり返る。クリスタルが他国に問う。


「今回の戦争は『世界大戦』となる。10数か国会議に出ておいて、協力的な国が4つだけとは何事だ?」


 クリスタルの言葉に協力を申し出なかった国が口々に話し出す。


「『オールメイト』であるクリスタル国王とルーグ閣下、ライルート様にレフィール様の4名が最前線に出るとなれば、我々の出る幕はありません。勝ったも同然ではないですか!」


「そうです! 逆に我々がお邪魔になります。」


「それに我が国は『世界大戦』の地からは程遠い距離ですし、協力するメリットがないのです。」


 数々の『言い訳』に、クリスタルが立ち上がり声を荒げた。


「『勝ったも同然』だと!? いつも勝つために必死に策練ってるんだよ! 体張って戦うのは誰だと思ってる! 戦に向かう兵士達と俺達自身なんだぞ!?」


 辺りに重圧がかかる。クリスタルの言葉は止まらない。


「『邪魔になる』!? なら最初から協力要請出すか! 『協力するメリットがない』!? この世界が負けたら自分達も被害になるのが目に見えないのか!」


 『言い訳』をしていた国々は黙りこくる。


「会議に呼ぶだけ無駄だったな! 協力する気がないならさっさと帰れ!」


「クリスタル国王!」


 ライトの静止を無視して、クリスタルは会議室を荒々しく出て行き、何処かへ行ってしまった。それを見たルーグは一同に宣言する。


「では、これにて会議は終了いたします。今回の議題に非協力的であった代表様は、どうぞ今日明日にでもお帰り下さい。国王陛下のご命令ですので。」


「そ、そんな!」


「こんなのあんまりです!」


「どういう扱いだ! 今後の交流にヒビが入るぞ!」


 そういう非協力的であった国の言葉を無視して、ルーグも会議室を出ようとする。

 

「ヒビを入れたのはそちらです。今後の交流や物流について、1から改めて考えさせて頂きます。それでは失礼いたします。」


 ルーグも頭を下げ、退出する。非協力的な各国の代表達は、閉口したまま彼を見送る。

 

「自分の身可愛さに、自ら出た錆にやられましたな。」


 アゼミア帝王が冷ややかな目で各国を見る。そこへライトが勢いよく立ち上がる。


「あの人達を、クリスタルとルーグをどれだけ頑張らせたら満足なの? 僕の、僕たちの友達を!」


 その目は怒りと悲しみが入り混じっている。


「レフト、出口塞いで。」


「分かったわ。」


 レフトは何処からともなく身の丈まである大鎌を取り出し、会議室の唯一の出入り口に立ちふさがる。


「アゼミア帝王とハルシャル国王以外の代表者、全員が戦争に協力してください。さもなくば、」


 ライトの目がぎらつく。


「この場でレフトの鎌の錆になってもらいます。」

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