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Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
第2章 異世界での冒険 
15/59

やせいの モンスターが とびだしてきた!

「おい、起きろ。そろそろ火の番交代しろ。」


 ルーグの耳に、クリスタルの声がかかる。ルーグはゆっくり起きて目をこすると、テントの入り口に眠そうなクリスタルがいた。


「おはよう。火の番ありがとう。変わるよ。」


「頼んだ。さすがに俺も眠たくなってきた……。」


 大あくびをしてクリスタルがテントへ入って来る。入れ替わりでルーグがテントを出て背伸びをする。まだ外は暗く日が昇るのはもう少しかかりそうだ。ヤカンでお湯を沸かしてティーパックを用意していると、テントから微かに寝息が聞こえてくる。早くもクリスタルは寝入ったようだ。

 ぼんやりと火を眺めつつ「マシュマロ持ってくれば良かったな」と考え始めていた、その時。ルーグの背後に、何かの気配がした。その数、数10体。咄嗟に背後の気配から距離を取り、ナイフ付ワイヤーを数本取り出す。それを何か所かに投げて設置すると、ルーグは近くの木に飛び移った。


「夜戦か。クリスタルを起こさないようにしないとな。」


 設置したワイヤーの先がくいっと引っ張られる。そのワイヤーを指ではじくと、どこからともなく血しぶきがあがる。ワイヤーに引っ掛かり、魔物の体の何処かを切断できたらしい。近くの茂みから「グギャギャ!」と声が聞こえる。


「うるさいぞ。静かにしろ。」


 そう小声でつぶやくと、先程のワイヤーをさらに強くはじく。刹那、先程とは比べ物にならない血しぶきが上がり、ドサドサと何かが倒れる音がする。「ギャギャギャ!!」と魔物が逃げる声と気配がする。木を飛び移っていき、魔物の集団の先頭へ追い付く。


「逃がすかよ。」


 そう言いつつ、ルーグは手にしたワイヤーの束を思い切り引っ張る。6本の透明なワイヤーが組み合わさり、魔物の群れを1か所に集めて束ねる。慌てて逃げようにも力ずくで引きちぎろうにも、ワイヤーはびくともしない。そうして。


「じゃあな。」


 ワイヤーが、魔物たちの体を貫通してなます切りにする。辺りには酷く濃い血のしぶきと匂いが広がる。その数、46体。ルーグはさらに魔物の気配を探る。どうやら別方向に逃げた12体の群れがいる様だ。さらに木に飛び移りつつ、気配のままに魔物を探す。暗闇に紛れて慌てながら逃げていく魔物を見つけ、今度はナイフのついたワイヤーで先頭の魔物の頭を突き刺す。魔物の重さを利用してワイヤーを振り回して魔物同士でぶつけていけば、魔物はバタバタと倒れて行った。改めて気配を探れば、もう魔物の気配はない。

 

「片付いたか。面倒だ。」


 ルーグは短剣を取り出すと、魔物の右耳を切り取り出す。ギルドで換金できるからだ。一通り耳を取った後、前の魔物の集団の所に戻り、ワイヤーを解きつつ先ほどと同じ作業をする。集めた大量の耳を抱えて焚火の前まで持って来ると、テントの中にある『魔物素材用』と刺繍された袋を持ち出し、袋に魔物の右耳を入れていく。それが終わる頃には、空が明るくなり始めていた。ルーグは焚火に薪を追加すると、近くの川で水浴びをし衣服に着いた血を洗い流す。洗った服をロープに引っかけ乾かし別の服に着替えて、昨晩の残りの猪肉を温め直す。すると、匂いに釣られてかクリスタルが起きて来た。


「はよー……。もう朝?」


「おはよう。もう朝だ。」


「なんか血の匂いがするが、魔物でも出たか?」


「数10体程。耳取ったからギルドで換金しよう。」


「臨時収入だな。」


 二人は朝食と簡素なモーニングティーを楽しんだ後、テントを片づけて森を出る為出立した。天気は今日も快晴。猪の皮が乾燥するには丁度良さそうだ。二人は再び獣道を辿りトワキ森を抜け、ゆっくりサマラタウンに向かうのであった。

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