冥探偵
最初から伏線をはってます。
オチを推理して下さい。
とある所に探偵がいた。
とても有能……かな?
うん。
有能だろう。
その有能な探偵こそ吾輩ホームズだ。
高層ビルの上で探偵業を営む素人探偵だ。
だが吾輩はソコソコ有名な探偵である。
「あ~~」
「う~~」
そう思いながらカサカサの皮膚を見た。
「何しろこの僕は一年で三十件の難事件を解決したんだからな」
「その殆どはつまらん事件だからな」
相棒のワトソンくんがジト目だ。
相変わらず土気色の肌だな。
というか先日折った腕は早く治し給え。
「はいはい」
「はいは一回にしたまえ」
「はいはい」
そう言ってるとワトソンが吾輩の前に来る。
「腹話術で喋るの止めて欲しいんだが」
「そうか」
そう言いながら吾輩は皮膚に浮き上がる血管を見る。
己の腕の。
無いな。
これはない。
色が汚い。
「あ~~」
「う~~」
まあ~~それはそうと。
どこかで事件はないだろうか?
あれば殺人事件が良い。
我が灰色の脳細胞にかかれば簡単に犯人は分かる。
「だろうな」
「何か言いたいことが有るのか助手」
「助手じゃないての」
「ワトソンといえば助手だろう」
「はいはい」
そんな代わり映えの無い。
というか閑古鳥が泣いてる現状だ。
そんなある日のことだ。
レストレード警部 がドアを砕くような勢いで入ってくる。
というか少し壊れてる。
「ホームズくん殺人事件が起きた助けてくれっ!」
「任せてくれたまえ」
レストレード警部吾輩の前で怒鳴らないでくれ。
歯が見えて怖い。
それと制服を洗い給え。
汚いぞ。
「あ~~」
「う~~」
一時間後。
事件現場に到着。
様々な痕跡。
それに現場の状況を見て吾輩は考え込む。
「事件の謎は解けた」
「おお」
「関係者を集めて下さい」
「流石ホームズだ」
吾輩はレストレード警部 に頼む。
そうして更に一時間後。
関係者全員が集められた。
「皆さん犯人はこのなかに居ます」
「なんだと」
「ばかな」
「ええ」
足を引きずりながらウロウロする関係者。
「犯人は~~」
関係者の後ろを歩く吾輩。
「貴方」
吾輩は一人の男の後ろで立ち止まり指差す。
「に決めたああああああああああああああああっ!」
うん。
吾輩虚しい。
暇すぎて探偵ごっこしたけど虚しかった。
「はい~~皆さん解散」
「あ~~」
「う~~」
「うあ~~」
探偵ごっこに付き合って貰ったゾンビに吾輩は手をヒラヒラさせる。
そうゾンビ。
見渡す限りゾンビの群れだ。
生きてる人間は居ない。
例外はない。
今現在。
日本は生存者が居ない。
誰一人として。
それは十年前ののことだ。
原因不明のパンデミックが起きた。
突然現れたゾンビに人間に噛まれたせいだ。
ゾンビウィルスに感染。
そのまま爆発的な勢いでゾンビが増えた。
その結果日本人は全滅した。
そんな訳で日本はゾンビパラダイスと化した。
一人の例外もなく。
我輩を含めて。
それから暫くゾンビ生活をしていた。
まあ~~その時の記憶は薄っすらと覚えてる。
覚えてるが思い出すのは止めよう。
嫌な記憶だし。
そうしてゾンビ生活をしてたのだが……。
行き成り自我を取り戻した。
何故かは分からん。
それで現状を把握し打破しようとしたが諦めた。
電気水道と麻痺してるからだ。
調べる手段がないからだ。
仕方ないので暇つぶしに探偵ごっこをしてました。
ええ。
あ……またワトソン足の骨折ってる。
良いけどな。