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女郎花の君 ~平安時代恋物語~  作者: 山野 紗世
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家族への手紙

父上、お久しぶりです。私は尚侍の仕事、頑張っております。きっと私が倒れたこと、驚かれているでしょう。母上には心配いらないとお伝えください。まだ主上(おかみ)からお話しはされていませんが、内容については薄々分かっています。お体にお気をつけてくださいませ。

奏子


お兄様、文の転送ありがとうございます。父上ではない方の文は誰から受け取ったかご存知ですか?存じていれば、早めに私に教えてくださいませ。

奏子


 はぁ~。骨が折れる作業だなぁ。


正直言って、私は書道が得意ではない。綺麗な文字を()()()書くことがどれだけ難しいか、理解してもらいたい。


そうだ、あと返歌(歌を返す事)もしないとだなぁ。


まず、どこぞの誰かが分からないと、返歌なんてできっこない。


尚侍(ないしのかみ)、文が届いております。」

「文?桃花(とうか)、誰からかしら。」

「…私もよくわからないのでございます。普段見かけない男性からでして、声をかけようとしたら、直ぐに立ち去られたのですから‥‥。申し訳ございません。」

「いいのよ桃花。文、渡してくれるかしら?」

「あ、も、申し訳ございません。」


桃花から渡された箱の結ばれている紐を解く。

蓋を開けると、また梨の花があり、その下に文が置いてある。

また同じ人だ。まったく誰だろう。


恋ふれども 逢ふ夜のなきは 忘れ草 夢路にさへや 生ひしげるらむ


訳は、こんなに恋しく思っているのに、現実の夢ばかりか夢の中でさえ逢えないというのは、夢路にまで忘れ草が生い茂っていて私の事が忘れ去られているからでしょうか。


って、忘れるも何も、あなたのこと、知らないのですけれど。


とりあえず、どうにかしなきゃ。

今回使用した和歌は、古今和歌集・巻第十五 恋歌五 七六六の歌です。今回の歌も、もちろん読み人知らずのを使わせていただいています。

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