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女郎花の君 ~平安時代恋物語~  作者: 山野 紗世
3/5

手紙の主は?

 私・歌奈枝は、目が覚めたら平安時代っぽいところに飛ばされてました。

起きて大体4時間経つと、大方のことが分かった。

 私の名前は藤原奏子(ふじわらのかなこ)で、私が今いるのは、平安京の内裏の後宮の登華殿(とうかでん)というところだそう。

私の候名(さぶらいな)は、伊勢尚侍(いせないしのかみ)なんだって。あ、候名(さぶらいな)というのは、後宮に入るときにつけられた名前、みたいなもの。


「尚侍、文が届いております。」

「ありがとう、桃花(とうか)


桃花は、私付きの侍女で友達。私が昔伊勢にいた頃からの友達だそう。ということが、今世の私の記憶だ。年は同じ16歳(数え年)。


文って、誰からのだろう。

と思いながら紐を解き箱の蓋を開ける。

え、3つも1人から!?

一番上に置いてある文の宛先の文字がとても見覚えのあるものだった(記憶から)。


奏子へ

久しぶり、奏子。君宛ての文が二つこちらに届いたので転送する。尚侍頑張れ。

経嵩(つねたか)


お兄様からだ。


で、ウワサの文は、誰からなのだろうか。


奏子へ

近々、帝から直々に話があるから心得ておくように。絶対に取り乱すことなどしないように。

経之(つねゆき)


1つ目は父上から!?

お兄様、絶対に私で遊んでいるよ~っ!こうなったら、後で怒りの文でも送ってあげないとね!

というか、帝からのお話って、一体何!?


で、肝心のもう一人は、と。

この流れからすると、母上か妹しか考えられない。

さぁ誰だ!?


 明日香河 淵は瀬になる 世なりとも 思ひそめてむ 人は忘れじ


分かってはいたけれど、名前無し。しかもこれ、恋文・・・。


意味は、飛鳥川の淵が1日で瀬になってしまうように、何もかもが変わりやすい世の中です。ですが、1度この人と愛しはじめた人を、私は決して忘れたりはしないでしょう。


お兄様に聞けば分かるかな。

って、これ、何だ?


箱の底に、一枚の紙が入っていた


あれ?花が入ってる。

紙をどかすと、箱の底には、白い花があった。

桜に似ているけれど、何だろう。

そうだ。さっき、部屋の整理をしたときに、あれがあったんだ。

私が死んだときにリュックに入っていたものがあったんだよね。えーっと、これこれ

 「花言葉辞典」

意味は違くなるけれど、写真付きだからわかるかも。

白い花は、確か146ぺージくらいにあったよなぁ。

 あった。

似ている花、あるかなぁ。

 何ページかめくっていると、小さい写真の中に、お目当ての花が見つかった。

へぇ。あの、シャリシャリする果物の梨の花なんだ。かわいい。


「伊勢尚侍様。頼まれていたものをお持ちいたしました。」

「ありがとう静子。入って大丈夫よ。」

「失礼します。」


目が覚めたのが午前中だったから出仕(しゅっし)(仕事に行くこと)しても良かったんだけれど、帝から今日は一日静かに過ごせ。と言われたから部屋にいるしか残っていないんだよね。

それで帝付きの女官・静子が私の所に来た、という訳。


校書殿(きょうしょでん)にある「万葉集」の第一編を持ってきてもらった。

これを現代語訳するぞ~っ!


「頑張るぞ~っ!」

「い、伊勢尚侍様?どうされましたか?」

「あ、なんでもないわよ静子。」

「失礼いたしました。」


ふぅ、失敗失敗。

お貴族様って、大変だぁ。

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