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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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これ謁見?



城門少し手前で馬車を降りる。

「アスカ様、我々はここで失礼します。また後ほど」

「はい、ありがとうございました」

「はっ。では失礼します」


アリアさん達と別れ城門へ向かう。

そこには一人のメイドさん。ユリネさんだ。

なんか懐かしささえ感じる。

「お待ちしておりました。ご案内いたしますのでこちらへ」

「…はい」

また抱きつかれないかって身構えてたけど大丈夫だった。

「今回はこのまま謁見の間へのご案内になります」

え?そうなの?


「こんな格好でいいのかな…」

「勇者様御一行の凱旋ですので問題ありません」

「勇者様ぁ!?」

思わず大きな声を出してしまう。


「はい、ドラゴンの驚異から国を救った英雄、まさしく勇者様です」

いやそのドラゴンここにいるけど?なんなら謁見の間へ連れて行きますけど?

ルナリアもなんとも言えない顔してるし。

ユウキに至っては笑いを噛み殺している。


未亜ちゃんは…緊張してるのかな?


(ママ、ティーはこの姿でよかったのー?)

ティーには人の姿、すなわちちっこい私の姿になって貰っている。

ドラゴンの報告に行くのにティーがドラゴンの姿だと話がややこしくなるからね。いや?

(大丈夫ーママと手繋いでるし)

そうだね。いい子で傍にいてね。

(らじゃー)


「ところでアスカ様。そちらの大変可愛らしい小さいアスカ様そっくりな子は…」

「えーっと…謁見の場でそれも含めて説明すると思うのですが…」

「私は謁見には立ち会えませんから…」

やっぱりそっか…。


「私の作った魔法が実体化した子で、名前はティーです」

「ティーだよー」

「か、可愛すぎます…」

「フシャーーー!!」

「え?なんでそんな…」

近寄ろうとした途端にユリネさんがめちゃくちゃ威嚇されてるなぁ…。


「この人何回もママを襲ってる! ヤバい人! 近寄らないで」

ユリネさんはガーーン! って音がしそうなくらいにショックを受けてるな。

「確かにティーの言うとおりだね。私も庇えないわ」

「うん! 要けーかい」

「酷いです、アスカ様…」

って言われてもなぁ…。


「しびれたのだれー?」

「うぐっ…どうしてそれを」

これはティーの勝ちだね。


「話せなかっただけで傍にはいましたから。ね?ティー」

「うんっ! この人ね?ママの寝てたお布団で…」

「ティー様! わかりました、ここは休戦としませんか?」

戦ってたの?というか今なにか不穏なセリフがあった様な…


「ティーにはめりっとがないよ?」

「くっ…。 では、後で美味しいお菓子をお持ちします」

「わかった!」

強かだわこの子。


ホッとした様子のユリネさんはその後はおとなしく謁見の間へ私達を案内してくれた。


入り口には近衛兵の鎧を纏ったアリアさんが待っていた。

「ユリネ、ご苦労だった」

「はい。それでは私はこれで失礼します」


「ここからは私がご案内します」

「お願いします」

謁見の間への入室の許可がでて中へ。


良かった…人が一杯だったらどうしようかと思った。


国王陛下と王妃様の近くまで進む。


「救国の英雄ご帰還です」

何その肩書!?

「うむ、ご苦労だった。下がってよい」

「はっ」

そのままアリアさんは壁際まで行ってしまう。

「此度の活躍、実に見事であった。国を代表して礼を言う。そして…」


「…もういいかしら?陛下」

「しかし…」

「こういうのは止めましょうって言ったじゃないですか」

「形式は大切でな?」

「それを言ったらお客様に丸投げした私達は?」

「ぐふっ…」

「私は早く話を聞きたいの! 断片の報告じゃ足りないのよ」

「それが本音ではないか…」


ぇぇ…。ナンダコレ。

皆もだいたい私と同じ感想だろうなぁ。

なんとも言えない顔してる。


「お母様、私ももう入ってもよろしいですか?」

「いいわよ、ジルスもいるなら一緒に」


「せっかくワシがかっこよく国王する場面だったのに」

「陛下もそれが本音じゃないかしら?」

「そうだな、わははっ」

「あっ…。 そうだわ…陛下、大事なことがまだでした。ごめんなさい」

「おお、そうであったな」


すっごく緊張してたのだけど!?

どうしてくれるのよ…。 (へいわだねぇ)

そうね。そう思って諦めよう…。 (それがいいよー)



「コホン、改めて。今回の働き国王として心より感謝する」

「え、…はい。勿体ないお言葉です」

急にテンション変えないで! (真面目モード?)

「なにか望みがあれば何なりと申してみよ」

え?望み…望み…?

王妃様が笑顔で頷いてる?あっ!


「はい、では一つだけお願いしたいことがあります」

「申してみよ」

「今回保護したこちらのドラゴン。ルナリアの街への滞在を許可してください」

「うむ、許可しよう。ただし、アスカ殿が傍にいて保護するように」

「はい、ありがとうございます」


こういう事ね。王妃様もうんうんって頷いてるから間違いない。

そのための茶番だったのかぁ…びっくりしたぁ。



「皆おかえりー。ごめんね。一応公式な物として記録しなきゃいけないから形だけね?」

王妃様の様子から公式?な謁見は終わったって事でいいのかな?

「ただいま戻りました」

「未亜ちゃんも無事で良かったわ」

「はい。ただいまです」

「ユウキ君も大活躍だったみたいね」

「いえ、殆ど姉のおがけみたいなもので…」


「こっちに席を用意したから色々聞かせてちょうだい?可愛らしいミニアスカちゃんのこともね」


王族4人に私達姉弟3人、ティーにルナリア。

かなりの大人数だけど、ちゃんと席が用意してあった。


まずユウキが森での救援部隊の事を話した。


「ユウキ君の方は魔獣の番の討伐。それから攫われた冒険者を見つけ、その冒険者はアスカちゃんの薬で一命をとりとめたわけね」

「他の冒険者や騎士様のお陰ですが…」

「いいえ、大活躍じゃない。 えーっと…。ありがとう。報告とも間違いがないわね」

書類を確認してる。あれが報告書かな。


「子供の魔獣はどうなったかわかりますか?」

「助けられた冒険者が正式に従魔獣契約をして登録されたわ」

「そうですか、良かったです」

「ユウキ君は近いうちにギルドへ顔を出してね」

「わかりました」


「次はアスカちゃんね、まずその子。多分だけどティーちゃんよね?」

「ティーだよー」

「やっぱりそうよね…そっちから説明してもらえる?」

「わかりました」

帰りの野営の時に実体化を覚えた事、姿を変えられる事、今は他に小さなドラゴンになれる事を話した。


「ティーちゃん、ドラゴンの姿も見せてもらえる?」

「ママ?」

「いいよ。姿変えてみて」

「はーい」

ぽんっと小さくなって私の頭に乗る。


「可愛らしいわね。ありがとう、ティーちゃん」

「はーい」

ありがとうね、ティー。 (うんっ)


「それでティーちゃんのお陰で保護できたのが…」

「はい、ルナリアです」

「ルナドラゴンのルナリアです。滞在を許可してくれてありがとう」

「それはほら、アスカちゃんへのご褒美だし」

それ建前でしょ!?


「ええ。アスカが来てくれなかったら私は助からなかったわ。だから感謝してるの」

「じゃあ暴れたりしないわよね?」

「絶対にしないわ。恩を仇で返すような真似、ドラゴンの矜持にかけてね」

「わかったわ。陛下も納得できたかしら?」

「うむ、ドラゴンは危険な生き物として伝え聞いておったからのぅ、疑うような事を聞いてすまぬ」

確かに別の世界だと、街や国さえ滅ぼしたドラゴンもいたからね。今は素材になってるけど…。


「確かに稀にそういうドラゴンがいたって、私も聞いたことあるわ。でもわかってほしいの。そんなドラゴンはごく少数だって…殆どは山でのんびりしてるし、人間が大好きで人化して街に溶け込んでる者もいるの」

「そうなの!?会ってみたいわー」

お姉さんのことかな?意外にこの街にいたりして…。 (ふらぐ?)

やめてーもうトラブルはゴメンだよ!


「だから必要以上に警戒しないでほしいの。私達は身の危険がなきゃ攻撃したりしない。温厚なのよ? 昔、街を襲ったドラゴンも恋人を素材目当てにケガさせられたからって聞いたわ」


こういうの聞いちゃうと私が別世界で倒したドラゴンももしかしたらって思っちゃうね…。 (いやー?あのドラゴンは破壊たのしーって言ってたし)

そうなの? (うん、人間バカにしてたからママに倒されるときキレてたー)

なら同情いらないね。 (うん)


「そうであったのか…知らぬこととはいえすまぬ。こうして話をして色々知れたことは、この先大きな意味を持つことになる。本当に感謝する」

「いいのよ、誤解されたままが嫌だっただけだから」

私もドラゴンへの印象はかなり変わったものね。











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