頑張ったユウキにご褒美を
お湯を入れ替えてまた温める。
これでいいね、長湯したから冷めちゃったし。
お風呂を出てからユウキを呼びに行くつもりだったけど、ロビーにいた。
「わかってたけど、長いよ姉ちゃん達」
「ごめんごめん」
「姉ちゃん、そのドラゴンの仔は?」
お風呂であったことをかいつまんで話す。
「未亜姉ちゃんらしいけど。それでその姿なんだね」
「ティーだよー」
「よろしくね、ティー」
「うんっ」
ユウキは特に驚いたり、構うでもなくお風呂へ向かった。
「ティーちゃん、ごめんね…」
未亜ちゃんも構いすぎたと反省したらしい。
「フゥー!!」
「ティー、威嚇しないの。未亜ちゃんも謝ってるから許してあげて?」
「…わかった」
「ありがとう、ティーちゃん」
さてと…じゃあせっかくだしユウキがお風呂入ってる間に夜ご飯作るとしますか。
材料は買ったしね!
「未亜ちゃん、ご飯作るの手伝ってくれる?」
「もちろん! 何作るの?」
「ハンバーグだよ」
「材料買えたもんね、ユウキ君喜ぶかな?」
だといいねー。結構探して歩いたし。
「でもママ、チーズ買い忘れてたよ?」
「あぁ! そう言えば…。 今回は仕方ないね。諦めよう」
買い置きのはストレージにあるけど、こっちのチーズじゃないからね。
今回はこっちの物だけで作りたい。
ホールには階段下にキッチンもあるからここで調理ができる。設備は整えてあるし。
「未亜ちゃんは買ったジャガイモでポテトサラダお願い。生野菜も渡すね」
「はぁーい」
でっかいジャガイモを切り分けてから渡す。流石にあのサイズだと未亜ちゃんには大変すぎるよ。
他にも色々サラダ用に野菜や調味料を出しておく。
「二人は何をしているの?」
お風呂上がりで寛いでたルナリアがキッチンスペースにやってきた。
「夜ご飯の仕度だよ」
「見てていいかしら?」
「いいよー」
私はハンバーグのタネを作りますか。
ミンチ、ミーチだっけか…まぁいいや。
卵に玉ねぎのみじん切り、乾燥バジルっぽいもの、パンを1つパン粉にして適量。
今日買った塩コショウ。本当は醬油も欲しいけど…。
ほぼいつもの私のレシピ。この世界のものだけで作った。
どうなるかなぁ…。
ティー、頭の上にいるなら気をつけてね? (はーい)
よく混ぜたら、空気を抜きながら形を作る。そしたらフライパンで両面をカリッと焼いて。
アルミ箔で包んでオーブンへ。いわゆる包み焼きかな?
「ティーも食べれるよね?」
「あの姿なら…」
「未亜ちゃんも反省してたし、ご飯のときだけでも封印といたら?」
「わかった、ママのご飯食べたい」
「うん、じゃあ一緒に食べよ」
七人分作ってオーブンで焼いてる。
ユウキがかなり食べるし、大きめにはしたつもりだけど足りるよね?
「未亜ちゃん、オーブン見てて。アリアさん達呼んでくる」
「わかったよー」
階段を上がり居住スペースの廊下を過ぎて展望デッキへ。見張り台だっけ? (どっちもいっしょー)
まぁ似たようなものだよね。
二人共ここにいるのね。
「アリアさん、ルニアさん、そろそろご飯ができるので下に降りてきてください」
「すみません、本来なら私達がすべきでした」
「いえ、ちょうど作りたいものもあったので」
「ルニア、先に行ってこい、見張りは後で交代すればいい」
「ありがとうございます、隊長」
二人共一緒でもいいのだけど…こればかりは仕方ないね。
ルニアさんと1階へ降りると、ユウキもお風呂から出ていた。
「姉ちゃん、匂い、ヤバい。 お腹空いた」
語彙力なくしてるなユウキ。
「本当にいい香りです、アスカ様何を作られたのですか?」
「食べてからのお楽しみです」
アリアさんの分は保温魔法かけておこうかな。それとも…
未亜ちゃんはポテトサラダだけじゃなくてフライドポテトとかも用意してくれていた。
「ありがとね、未亜ちゃん」
「ううん、私も、お姉ちゃんの料理楽しみ」
あ、ご飯…おにぎりなら常に持ってるからもうそれでいっか。
「パンとおにぎりあるけどどっちがいい?」
「僕はおにぎりで! 3つくらい」
ユウキはおにぎり。
「私もー。1個でいいけど」
未亜ちゃんもね。
全部で4つおにぎりを取り出す。ハンバーグだし、塩にぎりでいいね。
大量におにぎりは作って持ってるんだよね。
急に召喚されて、ご飯が美味しくない世界で泣いたことがあるから。
ストレージ様々だよ。
「これがおにぎり…初めて見るわ」
「私もです」
興味深そうに見ている2人。
「ルナリアとルニアさんはどうします?」
「おにぎりを食べてみたいわ。気になるもの」
「私もお願いします」
「はーい」
追加で4つほど出しておく。
「おにぎりのおかわりはまだあるから欲しかったらいってね」 (ティーもママのおにぎり!)
わかったよー。
未亜ちゃんと一緒に、できた料理をお皿に乗せてテーブルへ運ぶ。
テーブルは大きく作ってあるから余裕はある。
大皿に山盛り生野菜とポテトサラダ。
さらに別のお皿にはフライドポテト。
勿論アリアさんのは分けてある。
メインの包み焼きしたハンバーグを一人分づつお皿に乗せて配っていく。
「久しぶりだよ、姉ちゃんのハンバーグ」
「私は初めてだから楽しみ」
「ハンバーグが何かわからないけどこの香りはそそられるわ」
「はい、隊長も一緒に来れれば…」
まぁそこは考えてるから。
ティーのために少し高さのある椅子を魔法で作る。
「ティー、いいよ」
「わかったー」
頭から降りたティーが、ぽんっと音がしそうな感じにちっこい私似の姿になる。
服はどうするのかと思ったら魔力で作ってるっぽいな。
短パンにTシャツっていう動きやすさ重視な服装が似合ってて可愛い。 (♪)
抱き上げて椅子に座らせる。
「本当に姉ちゃんそっくりだね。写真でみた小学生の頃の姉ちゃんみたいだ」
あぁ…私が怖くていまだ確認してない写真か。 (ちっちゃい頃のママ可愛いのに)
男だった時の記憶もまだあるから複雑なのよ…。 (もっかい強制力しとくー?)
そんな軽い感じなの!? (お役目だしー?)
うーん。このままでいいよ。 (そうー)
「小さいお姉ちゃんみたいで可愛くて…構いすぎて怒られちゃった」
流石にもう構いに行かないだけ未亜ちゃんも反省してるみたい。
「ア、アスカ様。その子は…?」
「あーえーっと…未亜ちゃん、ユウキ、説明お願いしてもいい?」
「うん、わかったよ」
「え?いいけど。姉ちゃんは?」
「ちょっとやりたい事があるから」
そう言ってルニアさんへの説明を丸投げしてキッチンへ。
アリアさんの分をお盆に乗せて展望デッキへ向かう。
「アリアさん、お疲れ様です」
「アスカ様? お食事中では…」
「はい、持ってきたので食べてください。出来たてを食べてほしいのです。ダメですか…?」
「アスカ様…その上目遣いはズルいです。断れるわけないじゃないですか」
そんなつもりはなかったのだけど…。結果オーライかな?
展望デッキにある小さなテーブルに食事を並べる。
暗めだけどここにも明かりはあるから大丈夫だし…。
「未亜ちゃんと一緒に作ったんですよ」
「ありがとうございます。わざわざ持ってきていただいてすみません」
「本当はみんなで一緒に食べたかったですけどね?」
「申し訳ありません。仕事ですから…」
「はい、わかってます。意地悪言ってごめんなさい」
「そんな…」
「私アリアさんに本当に感謝してるんです、こちらに初めて来てからずっとお世話になってばかりで」
「勿体ないお言葉です…」
「なので、アリアさんも何かあったら頼ってください。私にできることならしますから」
「はっ…ありがとうございます。 ならば今は早く皆さんの元へ」
「え?」
「皆さん絶対待ってますよ?アスカ様の事。なので戻ってください」 (ママはやくー)
「あはは…そうみたいですね。じゃあまた後で」
「はい、お食事ありがとうございます。いただきます」
「はいっ」
急いで展望デッキから降りて1階へ。
「ごめんね…おまたせ。ティーから催促が飛んできたよ」
「だってママ。すごくいいによいが…」
「はいはい、ごめんね。じゃあ食べましょう」
みんな揃って夜ご飯。
勿論、展望デッキでアリアも。
お料理回でした。
お腹すくね…(おいしかったのー)




