ティー
そうだ、馬車にかかってた隠蔽の魔法。魔石に刻み込んでツリーハウスにつけとこ。
これで目立たないから大丈夫だね。
普通の木にしか見えないはず。
ツリーハウスへ入るとホールに設置してあるダイニングテーブルに、未亜ちゃんとルナリアが。
「お姉ちゃん、お話は終わったんだよね?アリアさん達も上に行っちゃったし」
「うん、もうお風呂でたの?」
「違うよ、お姉ちゃん待ってたの」 (やっぱりねー)
ティーわかってたの? (うん、よそーできた展開)
なんてこった。
「早くいこ、お姉ちゃん。お湯冷めちゃう」
それはすぐ温めれるけど…。
「諦めたほうがいいわよ?未亜、楽しみに待ってたんだから」
「ルナリアはいいの?」
「なにか問題があるの?」
「いやだって…」
話してなかったわ。
「経緯はティーから聞いて知ってるわ。でも今はその姿なんだからいいでしょ?それに散々凝視した後で今更じゃない」
それは服を…
「お姉ちゃん、なんの話?」
「最初私が服を選んであげようとして、翼とかあるから、何が着れるかわからなくてね」
「あぁ〜私も見せてもらった」
ふぅ…。よかった。またあの目をされたら心折れそうだよ。
「ほら行くわよ! 私も人間のお風呂楽しみなの」
「わかったよ」 (あきらめも肝心ー)
はいはい。
三人でお風呂タイム。
脱衣所でタオルやら多めに出しておく。みんな使うでしょうから。
タオルを巻いて奥の扉へ。
お風呂は洗い場も広く作ってある。 蛇口やシャワーも複数あるよ。
「未亜ちゃん、その蛇口の黄色い魔石。魔力注げばお湯が出るから」
ここはしっかりと魔道具が入れてある。シャワーが水しか出ないとかあり得ない。
「ほんとだ。シャワーもある。お姉ちゃん、荷物からシャンプーとか出して欲しいな」
「あぁ、そうだね。 はい、どうぞ」
ストレージから美亜ちゃんのシャンプーやら一式を出して渡す。
「ありがとう」
「未亜、それは何?」
「髪とか身体を洗うものだよ。使っていいからね」
「そう言われても使い方がわからないわ」
未亜ちゃんはルナリアにシャンプーや体を洗ったりしてあげるらしい。
私はあっちで洗おう…。
少し離れた蛇口へ行きシャワーを出す。
はぁ〜。気持ちいい…。汗もかいてたから幸せだ。
自分のお風呂セットも取り出し洗う。
髪が長いのにも随分慣れたなぁ。
サッパリしたー。あとは湯船でゆっくりしよっと。
拡張魔法で大きく作ったお風呂の浴槽は温泉規模。
やり過ぎたかとは思うけどまぁいいじゃない。
この気持ちよさには抗えないよ〜。
お湯に浸かりのんびりしてたらルナリアがやってきた。
「ここに浸かればいいのね」
「うん、ゆっくりするといいよ」
何故か真横にくるルナリア。広いのに。
「アスカ、ありがとう」
「うん?」
急にどうしたの。
「あのままだったら私どうなってたかわからないわ。それに連れてきてくれて…」
「その事かぁ。気にしなくていいよ。敵対するようなら違う対応してたけどね?」
「するわけないわ。最初は怖かったけど…今は感謝してるのよ」
「そっかぁ…なら会わせてくれたティーにも感謝だね」 (ドヤァ)
ふふっ。ありがとね。
「私は今魔力に余裕がないからティーと話せないのが寂しいわ」
「そうなの?」
「ええ、居るのはわかるのだけど」
そういうものなのかぁ。
私はティーの存在を感知できないんだよね…。なんでだろう? (ママの魔力だし)
それだけじゃない気がするなぁ…。
(ねえ、ママー見てー)
え?
その瞬間ポンッと目の前に小さな子供が現れた。
「え?なに? どういう事…」
「これはまたアスカにそっくりね。ほんとに親子じゃない」
確かに、銀髪に瞳の色も同じ紫。
髪は肩くらいまでで、私より短いけど…。
「もしかしてティー?」
「うんっ」
そう返事したティーは湯船の中で抱きついてきた。
嘘でしょ…私ほんとに子持ち? (そうだよー)
「私にも見えてるし、声も聞こえるわね。実体化できたのね」
「うん、頑張ったー」
ちっこい自分を見てるようだけど…ティーだと思うと可愛くなる。
「そっか。がんばったんだね。偉いよティー」
頭を撫ぜてあげる。ほんとに実体化してるなぁ。
「ドヤァ」
ドヤァのときそんな顔してたのね。可愛いわ…。
「お、お姉ちゃん…その子は…」
「未亜ちゃん、この子が…」
「いつの間に子持ちになってたの!?相手は誰?」
いや、相手って…。いくつの子よ。
身に覚えないよ? (つくったよー?)
魔法はね!? (うんっ)
「落ち着きなさい未亜、アスカから聞いてるでしょ?ティーよ、この子」
「え?魔法の?」
「ティーだよー」
「ほんとに?お姉ちゃんが話してたあのティー?」
「うんっ」
「わぁー可愛い! お姉ちゃんそっくり」
うん、でもなんでその姿を選んだんだろ。
「ママをリスペクトー」
「そうなんだね」
あっ…
未亜ちゃんがティーを抱き抱えてしまった。
「可愛いー。お姉ちゃんから話を聞いてからずっとティーちゃんと話したかったんだよ」
「え…うん」
ティーが、若干引いてるような…?
「アスカ、あれ助けたほうが良くない?」
「そう?」
「……知らないわよ?」
未亜ちゃんがそんな無茶をするとも思えないけど。
その後もティーを離さず世話を焼きまくる未亜ちゃんから逃げてきたティーは…
「この姿はふーいんする! コッチにする」
そう言って小さなドラゴンの姿になって私の頭に乗る。
「あぁ…ティーちゃん…。ちっちゃいお姉ちゃん…」
あれだけ構えば嫌がるか…。 (うん、自由にしたいー)
その姿も可愛いよ。 (ありがとママ)
でもなんでドラゴン? (ルナリアもかわいいから)
なるほどね。言われたらよく似てる。色は銀色だけど。
「ティーはその姿でも話せるのかしら」
「話せるよー」
「ティーもありがとう。あなたのおかげでアスカに会えたし助かったわ」
「いいよー」
そろそろお風呂でなきゃね。ユウキやアリアさんたちにも入ってもらわなきゃ。




