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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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82/771

合流



馬車に揺られ、どれくらいたったかな?

大きな街だから外へ出るまでも結構かかる。

早朝で他の馬車や人も居ないし、緊急性が高いこともあって、かなり早い速度だったけどね。


日が昇り、少し明るくなってきたくらいに街から外へ出る門を通過した。

「街から出るの初めてだよー」

未亜ちゃんに言われてそういえば私も出てない事に気づく。

「私もだから同じだね」


王都周辺なのもあって、街道は整備されてるから馬車を飛ばしてもそこまでは揺れない。

だけど、お尻は痛い。

馬車は毎回こうだよね。なので…

馬車を魔力ドームで覆って乗ってる人だけ軽く浮かせる。

「あれ?なんか…ガタガタしなくなった?」

「お尻痛くなるからね、魔法でちょっとね?」

「ありがとう、お姉ちゃん」


「私までありがとうございます、アスカ様」

「いえ、ただ、軽く浮いてる状態なので、普段より踏ん張りが効かないので気をつけてください」

「わかりました。しかし王妃様が知ったらまた喜ばれそうな魔法です」

確かに。 ただ申し訳ないけど御者をしてる人にはかけないほうがいいんだよね。

操る人が踏ん張りが効かないのは危ないんだ。 ごめんね、ルニアさん…。


馬車ってあまり使わなかったからそこまでは魔法の改良をしていない。

少し考えたほうがいいかもね。王妃様が興味を示すようなら…だけど。



ティー、街を出たけどこのままでいい? (うん。今ユウキのとこにいるー)

街道を進めば出会えそう? (途中でまがるけど、まだへーき)


「しばらくはこのまま街道を進んでください、途中曲がるようなのでその時はまた言います」

「わかりました」

アリアさんが客席と御者席を繋ぐ窓を開けてルニアさんに伝えてくれる。


「街道沿いの治安はどんな感じですか?」

少し気になって聞いてみる。

「そうですね、魔獣も街道には寄り付きませんし、賊の類もまずいませんね」

「治安がいいんですね」

「はい、なので街の住人も比較的自由に街の外へ出歩いてます」

「平和でいいですね、安心しました」

「はい、なのでゆっくりなさっていてください」


酷いとこは街から出たらすぐ危険地帯みたいなとこもあったからね。

まぁ、召喚されて戦いの手助けをしてほしいなんて世界なら仕方ないのかもだけど。


「お姉ちゃんは危ない所へも行ったの?」

「そうだね、こんなにも安心して馬車に揺られる、なんてのは珍しいよ」

「そんなになんだ…」

「うん、だからこの国は凄いよ。ほら見て」

そう言って窓から街道を指差す。

「道がキレイでしょ?」

「うん」

「これが治安のいい証とも言われるんだよ。私も聞いた事があるだけで、初めての体験だけどね」

だからアリアさんに確認したんだけど。

治安が良く安全じゃなきゃ街道整備の工事なんてできやしないものね。


(ママーもう少ししたら大きな木があるからそこを2時方向ー)

ありがとう、ティー。 (うんっ)


「アリアさん、もう少し行くと大きな木があるらしいのでそこを2時方向へ逸れてください」

「わかりました」

アリアさんがルニアさんに伝えているのを聞きながら、窓から外を見てたら大きな木が見えた。

あれのことかな。 (うん、それー)

「あの木が目印だそうです」



大きな木で道を逸れ、馬車は平原を走る。


ティーの案内がなかったらユウキと行き違いになってたかもね。 (ドヤァ)

広範囲に探索使ってもいいけど、あれキツイから…。 (無理はダメー)

ありがとねティー。 (そろそろ見えるー)

わかったよ。


「そろそろ見えるそうです」

「はっ」

アリアさんの指示で馬車の速度が落ちる。

御者席への窓を開けたまま走ること数分。



「隊長! 見えました!」

「わかった、適当な距離で止めてくれ」

「了解しました!」


(ユウキ達びっくりしてるー。けいかい?)

そうなるよね…。


「アリアさん、ギルドの人達が警戒してるみたいです」

「わかりました、お待ちを。 ルニア馬車を止めて合図だ」

「了解です」


ルニアさんが御者席で何やらしてるみたい。

(振ってる旗を見たらみんなおちついたー)

なるほど。ちゃんと合図みたいなのあるんだね。


私とユウキにも合図は勿論あるから、最悪それを使うつもりだったけど。

照明弾みたいな魔法だし、あれ目立つから…。


「ギルドマスターと話をしてきます。ユウキ様はこちらへお呼びしても?」

「はい。お願いします」


私もちょっと降りたかったけど、やめとこう。





あ、ユウキが近づいてきてる。魔力でわかる。

ドアが開き見知った顔が乗り込んでくる。

「姉ちゃん達、これどういう事?」

ちょっと不機嫌そうなんだけどなんで?


「ちゃんと説明するから! 怒らないでよ…」

「別に怒ってる訳じゃないよ、わからない事だらけで混乱してるだけ。街道を通ってもないのに的確に来るし…」

それはティーのお陰だし。 (ふふん)


「じゃあ何から聞きたいの?」

「来た理由」

やっぱり怒ってるじゃん。


「森の異変の原因、それへの対処だよ」

「それって、あの魔獣が人里近くに来た理由?」

「うん、ほぼ間違いないと思う」


「なんでわかったの?」

「それは…落ち着いて聞いてね?」

「わかったよ、ちゃんと聞く」

信じてくれるといいけど…。


「私の魔法。自我を持ってて会話もできる」

「…はぁ?」

信じられないかな…。


「またとんでもないもの作ったね、姉ちゃん。僕とも話せるの?」

あれ?疑ってるわけじゃないの?


「聞いてる?姉ちゃん」

「え、ごめん。私としか話せない。実体もないから」

「そっか、危なくはないの?」 (ティーあぶなくないもん!)

そうだね、わかってるから大丈夫よ。 (むー)


「危険はないよ、むしろ可愛くていい子だよ」 (うんうん) 

「姉ちゃんのその返事はイマイチ分からないけど、その魔法で原因を見つけたの?」


「そう、昨日ね、私がユウキを心配してたらティーが…あっ、魔法の子の名前ね」

「う、うん」

「心配なら見てくるよってユウキを見に行ってくれたのよ」

「え?いつから?」

「鎧の冒険者を木から降ろすとこらへん」


「……待って、姉ちゃん。そこからずっと見てた?」

「ティーがね。私は言葉で報告してもらってたよ」 (なまちゅー)

それだとビールみたいになっちゃうよ。生中継ね。 (なまちゅーけー)

そうそう。 (でも生チューも見たー)

そ、そうだね…。


「姉ちゃん、どこまで聞いたの?」

「あっ…いや、木から降ろして助けたこととか、小さな魔獣保護したこととかかなぁ〜」

思わず目を逸らす。

「聞いたんだね…?」

「何をかな?私わからないよ」

「僕が女の人の冒険者に口移しで薬を飲ませた事だよ!!」


「……私は何も言ってないからね?聞かなかったことにしてたのに…」

「ユウキ君?緊急時に何をしてるのかな?」

「いや、未亜姉ちゃん。違うんだって、ちゃんと理由があって…」

「へー。そーなんだー?」

「アスカ姉ちゃん! 助けてよ! 元はといえば姉ちゃんの薬のせいでしょ!?」

うぐっ…


「未亜ちゃん、あのね。私がユウキに持たせた薬は強力なんだけど飲ませないと効き目が悪いの。大怪我して気を失ってると自分で飲めないでしょ?だからその方法しかなかったんだよ」

「そうなんだ、それならそうって言ってくれればいいのに」

「言おうとしたよ!?」


「てっきりカッコよく助けて、助けに来たよキリッ みたいな流れで〜かと」

「ちょっと未亜姉ちゃんの中で僕がどう見られてるのか小一時間問い詰めたいんだけど」

「だって! ユウキ君モテるでしょ?お姉ちゃんと違ってしっかりそこを自覚してるから」

「それは…アスカ姉ちゃんほど鈍くないし、この姉は兄ちゃんの頃だって自覚なかったんだよ? 近くに無自覚な人がいたら気がつくよ!」

「ちょっと待って、なんか今さらっと私も巻き込まれた上にディスられたんだけどなに?」


「あの…アスカ様?よろしいでしょうか…」

「ちょっと待って! 今なんか私、謂れのない中傷を受けてるの」

「いや、事実でしょ!? アスカ姉ちゃん、それに未亜姉ちゃんもだけど! 二人ともめちゃくちゃ美人で目立つのいい加減自覚してよ!」

「私はそんな事ないよ! 地味だし」

「お二人がお美しいのは私も同意しますが…」

「でしょ?昨日だって、アスカ姉ちゃんに冒険者が目をつけてて、声かけるとか言ってたんだから」

「はぁ?そんな事ある訳無いじゃん。からかわないでよ!」


「「あるよ!」」

「ありえますよ!」


あれ? (ママーさっきからアリアさん呼んでたー)

いやぁぁぁ… (ママは美人だよ?)

ティーまで。そりゃあね?ブサイクではないって思ってるけど…。 (けど?)

周りに未亜ちゃんとか王妃様とか王女様。アリアさんもいるんだよ? (あぁ〜)

でしょ? (ママ…取り敢えずアリアさん)

はっ…。


「ごめんなさい、アリアさん。お見苦しいところを」

「いえ、姉弟喧嘩されたりするのですね」

「お恥ずかしいです…二人とももうやめて、そこまでよ」


「元はといえばアスカ姉ちゃんが…あっ…」

「え? あっ…」

ようやく2人も気がついたね。

「「すみません」」

「いえ、仲がよろしいようで何よりです」









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