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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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森の奥に潜むもの



「一通り聞いたのでお話しますね」

「うん、お願い! 早くっ!」

王妃様落ち着いて…。興奮すると詰め寄られるから困る。


「まず、攫われた冒険者は無事救出。魔獣の番も討伐完了です。救援部隊も、怪我人はいますが全員無事なようです」

「よかった…。タニアちゃんやってくれたのね」


「お姉ちゃんユウキ君も無事?ケガは?」

「大丈夫だよ。安心して」

薬の事とかは話さなくていいし。 (えー?大事なとこなのに)

大事なのはみんなが無事かどうかなの。 (それなら大丈夫ー)


「後は、ちょっとした報告と、とんでも無い報告ですけど…どうしましょう?」

「…ちょっとした方からお願いするわ。その間に心の準備しておくから…」


「ユウキが魔獣の巣で赤ちゃんの魔獣を保護したみたいで、攫われてた冒険者が引き取りました」

「なるほど、従魔獣契約する気ね」

「そんなのがあるんですか?」

「ええ、子供のうちから育てて仲間にする感じね。騎士団にも従魔騎兵隊がいるわよ」

魔物使いみたいなものかな。 (あの赤ちゃん魔獣ころされない?)

うん。大丈夫だと思うよ。 (よかった〜)


「それじゃあ、本題に入りますね」

「…ええ、いいわ。話して」


「ティーが森の異変の原因らしきものを発見しました」

「…どういう事?」

「えっと、今回討伐する事になった魔獣は本来、人里に来ることも稀で人を襲った記録もなかったんです」

「ええ、それは聞いてるわ」

「でも、巣をかなり人里近くに作った。ここからは私の予想ですが…。

森の奥から出てこざるを得ない理由があった。その為、森の浅いところで子育てをするしかなかった。その結果、子供を守るために縄張りに入ってきた冒険者を襲った」

「あり得る話ね、どんな生き物も子育て中は気が立ってるし」


「資料を見た時からこの魔獣がなぜ人里近くに来ているのかがずっと疑問だったんです」

「その原因が見つかったってことね?」

「はい。おそらく」

「なんだったの?」

「ドラゴンです」

「……」

王妃様固まっちゃったな…。無理もないか。



「大変よ! これは大事になるわ…陛下にもすぐ報告して対策を取らないと!」

「待ってください。まだ続きがあるんです」

「そうなの?」

「そのドラゴンがティーに話しかけてきました」


「訳がわからないけど、取り敢えずわかったわ…それで?」

「ティーは実体が無いので魔力の集合体のようなものだと思ってください」

あれ?てことは…。 いや今は先にしなきゃいけない事がある。


「そのティーの魔力を感じ取ったようで、助けを求めてきました」

「ドラゴンが?助けを?」

「はい、翼に怪我をしているらしくそれを私に治してほしいと」

「アスカちゃんに?なんでドラゴンがアスカちゃんの事を知ってるのよ!?」

「私を知っている訳ではなく、ティーの魔法、魔力から治せる術者と、そう判断したみたいです」

「あぁ…確かにドラゴンは魔力に敏感だって何かで読んだことあるわ」


「なので、私が向かいますね」

「待ちなさい、そんな危険なところへ行かせられないわよ」

「でも、治したら仲間の元へ帰ると…」

「もし治した途端に襲いかかられたらどうするの!」

「え? 倒しますよ。その時は」


「そうだったわ…この子、規格外だった…」

失礼な… (お話し終わったー?)

だいたいね、なんとか行けるようにするからってドラゴンに伝えて (わかったー)


「森でユウキと合流してそのまま向かいます」


「わかったわ…もう止めないわよ。ただ、着替えてからにしなさいね」

そうだった! ドレスのままだよ私…。


「お姉ちゃん…」

「ごめんね、未亜ちゃん。私行かなきゃ」

「…うん、大丈夫だよね?帰ってくるよね?」

「もちろん。当然じゃない、未亜ちゃん忘れた?私は元何?」

「勇者で魔王…」

「うん。だから大丈夫。それに今は未亜ちゃんの姉なんだから。必ず戻るよ。ね?」

「…わかった」


「アスカちゃん、止めないとは行ったけど無条件とは言ってないわよ?」

えーなにそれ…。ズルい。


「私、いえ…私たちも行くわ」

「えええーーー!?」


「取り敢えず陛下への報告は必須だからちょっと待ってて。一人で行ったらだめよ?」

「…わかりました」

部屋をすごい速さで出ていった王妃様を見送りながら願う…。

国王陛下、王妃様を止めてください。お願いします。



ティー?そっちは大丈夫? (うん、色々お話ししてくれてて楽しいよ)

ドラゴンとお話しとか羨ましい! (お父さんが浮気して、その浮気相手とケンカしたんだってー)

羨ましくなかったぁ…。 (相手にケガさせたけど逃げられたんだって)

それいつの話なの。 (300年くらい前だって)

ぶっ…。 (ママばっちぃ)

ごめん…。じゃあそのドラゴンはいつからそこにいるの? (ひと月くらいだって)

ならその喧嘩で翼をやられたんじゃないんだね? (この翼はお腹空いて魔獣食べたらなったって)

私の中でのドラゴンのイメージが…。 (毒でツラいーって)

あぁもう…。なんてこった! (あと十年くらいしか保たないから早くしてほしいーって)

そんなに待たせないから! 時間までドラゴンスケールかっ! (ママ、キャラが…)

キャラとか言わない。元からこんなだから。 (あぁ…魔王の時もっと怖かったね)

…それ内緒にしてね? (んー?わかったー)

それにしてもティー、話をいっぱいするようになってから変わった? (そう?)

うん、なんていうか…幼くなった? (ママ好きー甘えたいーってなったからかも)

そっかそっか。わかったよ。 (へんー?なおす?)

いいよそのままで。可愛いし、私もティーの事好きだからね (わーい)   


「お姉ちゃん、ティーとお話し?」

「うん、ドラゴンから色々お話を聞いたみたいだから未亜ちゃんにも教えてあげるね」

「うんっ。ドラゴンのお話ってなんだろ?ワクワクするね」

ごめん…期待させて申し訳ない。

昼ドラレベルです…。




 


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