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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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寂しさと心細さと恐怖と



未亜Side



光魔法の授業中に起きた事故でお姉ちゃんが小さくなってしまった。

幼いお姉ちゃんはとんでもなく可愛い…。でも私はお姉ちゃんにはやっぱりいつもの姿でいてほしいな。

可愛い子供はいつか…。


原因となってしまった王女様二人も落ち込んでるし、何とかしなくてはいけないのに私はやっぱり無力で。

お姉ちゃんの役に立ちたいって思ってるのに、お姉ちゃんの周りにはすごい人達ばかり集まってくる。

そんな中で私なんかに何ができるんだろう…。

なんて落ち込んでいたら、まさかのティーちゃんから指名された! 

聖先輩もお姉ちゃんの事を慕ってるのは見ていたらわかるけど、何もできないって感じてるのは伝わってきてた。だって私と同じだから。

そんな私と聖先輩が名指しで選んでもらえたのはすごく嬉しくて。だってお姉ちゃんの助けになれるんだから。


でも…お姉ちゃんの現状を秘密にしつつ、聖女様に弟子入り…なんて出来るのかな?

その辺はティーちゃんが上手く話してくれて…って! また人任せにしようとするのは私の悪い癖だよ。

でも、聖女様とは顔見知りくらいの関係でしかない私に何ができるのかな。


「未亜さん…」

「はい?」

「アスカ様のことを秘密にしながら教えを乞うというのは可能なのでしょうか…」

「私もそこを悩んでて…」

「二人ともいくのー」

「わ、わかったよティーちゃん」

「わかりましたわ…」



ーーーーーー

ーーーー

ーー



ティーちゃんによって一瞬で違う世界へ。

ここはお姉ちゃんとユウキくんの全てが始まったところ…。大きなお城の客室で、きらびやかなのは慣れないし緊張してしまう。

「先ずはメリアさんに話して聖女様に会わせてもらうのー」

「ティーちゃん待って! まだなんて説明するか考えてないから…」

「そっか! うーん…ある程度説明しないと会わせてすらもらえないかも」 

「アスカ様が居られないだけでアポさえとれないのは困ってしまいますわね…」

そうなんだよね…。お姉ちゃんなら顔パスだし、会いたいといえばそれで済む。

でも私達だけでは…。


「いっそ正直に全てを話して、助けを乞うほうが良くありませんこと?」

「確かに私達が出来るのはそれしかないかも…」

「ママを連れてこなきゃ助けないって言われそう」

それも有り得そうではある。あの可愛いお姉ちゃんの姿、絶対に見たいって言うと思うし…。


「あっ!」

「未亜どうしたのー?」

「私達が治せる力をつけてもらったら呼びますっていうのは?」

「なるほど! もし離さなくなっても治しちゃえば!」

「それしかないかもしれませんわね」

幼くなっちゃったお姉ちゃんは突然の事で休んでると言えば無理に呼べとは言わないと思うし…。


ティーちゃん、聖先輩と話を合わせてから、客間を出て皇帝陛下の元へ。

お姉ちゃんが一緒ならどんな場所でも安心するし落ち着いていられるけど、そばにいないだけでこんなに心細いなんて…。

やっぱりお姉ちゃんには早く元に戻ってもらいたいよ…。


迷路の様なお城の中をティーちゃんは迷うことなく歩き、皇帝陛下の私室に到着。

扉の前には魔剣士団の人がいたけど、ティーちゃんを見ると直ぐに皇帝陛下に会わせてもらえた。

ここにも顔パスの子いたー! さすがお姉ちゃんの子…。


「ティー様、今日はどうされたのですか? あら…そちらのお二人は…」

「み、未亜です!」

「聖と申します」

「お名前はちゃんと覚えてますよ。同じ”アスカ様の嫁“ではありませんか。そんな緊張なさらず、なにか御用でしたらお話してください」

「ありがとうございます…」

「私はアスカ様のメイドでしかありませんわ…」

「細かいところはよいのです。気持ちは同じでしょう?」 

「…はい…」

聖先輩もやっぱりお姉ちゃんをそういう意味で慕ってるんだよね。見てたらわかる。


「あのねー。ママが大変なの。治せるのは聖魔法の祝福だけ! この二人は適正があるから聖女様に修行つけてもらいたいのー」

「アスカ様が!? お命に別状はないのですか!」

「それはへーき! ティーよりちっちゃい幼女になってるの」

「……はい? どうしてまたそんな事に…」 


慌てて混乱している皇帝陛下に詳しい事情の説明。


………

……


「つまり、魔法を教えるために自らのお身体を差し出された結果、不測の事態が起きたと…」

「はい…。お姉ちゃんが私達みたいな力の魔法でも通るようにと無防備になっていたところへ魔法が…」 

「でもお二人にも悪意はなかったのですわ…」

「それはわかってます。私だってアスカ様に無防備に身体を差し出されたら…ゴホンッ…」

皇帝陛下が何を想像したかわかっちゃったなぁ。だって多分だけど私達みんな同じ事考えたとおもうし。


「しかし、一つわからないのはアスカ様を直接お連れして、イアリスに祝福をかけさせれば済んだのでは?イアリスも嫌だとは言わないはずです」

「いやーどうだろー」

「ティー様、なぜそう思われるのです?」

「ちっちゃいママはちょー可愛い…」

「うっ…想像しただけで破壊力が凄そうですね」

「あの、お姉ちゃんはちっちゃくなったせいでステータスも落ちてるみたいで…いきなり異世界に連れてきたらどうなるかわからないんです」

「それは…。しかしひと目お会いしたかったです」

「二人の修行が終わる頃にはママも落ち着いてるかもだし、そうだったらティーが連れてくるの!」

「もし不安定ならわたくしたちが戻ってお助けするしかありませんが…」

「…わかりました。イアリスには使いを出します。 その代わりティー様? お二人の修行が完了したら、私をアスカ様の元へ連れて行ってください」 

「陛下なのにいーの?」

「短時間くらいなら問題ありません。いいですか?この事はアリッサには内密にですよ!」

アリッサ…ってお姉ちゃんの師匠さんだね。


「…手遅れ?」

「……何を私に内密にすると? おい、メリア。どういうつもりだ!」

皇帝陛下の私室の扉にもたれるように人影が。

「アリッサ!? いつの間に…」

「魔剣士団に暗部の人間を組み込んだ張本人が何を言ってる! そいつらが来た時点で報告はきてんだぞ」

「チッ…まさかアリッサがここまで人員を使いこなすとは」 

皇帝陛下の舌打ちは聞かなかったことにしておこう…。


「おい、ティー。私から頼みがある」

「う?」

「アスカの作った魔道具があっただろ?」

「このカメプロのことー?」

「そう、それだ。 この二人は私が間違いなく聖女の元へ連れて行って修行させる。だからそれでアスカの姿を見せてくれ」 

「んー… わかった! すぐ戻るのー」 

ティーちゃん!? 私達だけ置いて行かないで…。

そんな私の願いも通じず、ティーちゃんはあっという間に消えてしまった。


でも宣言どおり、一分もしないで戻ってきてくれてホッとした…。

だってお姉ちゃんの師匠さん本当に怖いんだもん…。修行してもらうのが聖女様で本当に良かったって思うくらいに。

雰囲気というかそこにいるだけで威圧感がすごいの。

強さで言うならお姉ちゃんのがずっと強いはずなのに、お姉ちゃんからはそういう怖さを感じたことがない。

やっぱり優しいお姉ちゃんが私は大好き。






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