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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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回復魔法の難易度



お昼休みに集まって食事をしながら、光魔法の教室について説明。

午後から希望者には光魔法を教えるからというのも伝えておく。うちの子には私が声をかけるけど、他の生徒には学園長から声がかけられているから、そちらも誰か来てくれるかもしれない。


「みんなはどうする?午後に他の授業があるのならそっちを優先してもいいからね」

そう言ったのだけど、全員来てくれると。 (だよねー)

やる気があるのは嬉しい限り。 (そっち!?)

違うの?みんなすごくやる気だよ。 (あーまぁうん…)

ちゃんと教えてよ…。 (ママから教われるからだと思う)

ああ。でも私は教えるの上手くないと思うんだけど、大丈夫かな…。 (へーきへーき)

簡単に言ってくれるわね。できる限り頑張るけどさ。


渡した腕輪も全員つけてくれているし、一緒に新しい教室へ。

既に学園長が来られてて、他にも数人来ている生徒に魔道具を渡していた。

光魔法が使える魔道具は、学園長が国として管理するからと、個人用に波長を刻んではいない。

当然効果は落ちるけど、使えないわけではないし、大丈夫。なにより本来の目的は使い手への負担軽減だから、それに関してならなんの問題もない。

だからこそ学園長もそういう結論に至ったわけだし。 (まぁ、おいそれと渡すには価値が…)

そう言われたね…。私に言ってくれればいつでも作れるのだけど、そういう問題でもないらしい。



授業の始まる時間迄には適正のあった全員が集まってくれて、先ずは教師でもあり現役回復魔法のつかい手でもあるヴィータ先生が回復魔法を実際に使って生徒全員に見せてくれた。

温かい色の光が教室内に広がり、効果の高さを物語っている。

「私が使える回復魔法はこれが限界です」

「充分効果が高いわよ。うちで一番なんだもの」

「はいっ! ですが、まだまだ学べるのなら上を目指したいです」

「その意気よ。せっかく学べるチャンスだものね」

学園長も見学として残っているから、ちょっと緊張してしまう…。


「アスカちゃん、よろしくね?」

「は、はい! では、先ず皆さんに渡した魔道具の腕輪を見てもらえますか?」

全員つけてくれているし、大丈夫ね。

「初めにそちらの説明からしますね。 普通、魔法を使う時は使いたい魔法に魔力を注ぐという過程を踏むのはご存知だと思います。ですが、なれない魔法、特に光関係は消費魔力も使いこなす迄は多くなるので、一度その腕輪へ魔力を込めてから使うという、ワンクッション挟むようにしてあります」

「今から魔力を込めたほうがいいのですか?」

「作成時に私が魔力を込めておいたので、当分は問題ないかと思います。使っていくと、腕輪の魔力が減ったのは感覚的にわかるようにしてあるので、その時は魔力を注いでもらえれば」

「わかりました!」

他に質問はなさそうだから、次にいこうかな。



「腕輪には光魔法が一通り使えるようにしてありますから、これから私が順に全てお見せします。個人差はあるとは思いますが、いくつか使えるようになると思うので、腕輪を外さず見ていてください」

全員が頷くのを待って、回復魔法を効果の低いものから順に…。

次に範囲回復も同じように。


わかっていたとはいえ、うちの子達は全員がしっかりと使えるように覚えたそう。

他の人達も差はあっても何も覚えられないって人はいなくてホッとした。

「覚えた魔法は、繰り返し使うと習熟度というものが上がっていき、効果が上がってきます。怪我の治療とかをすると成長は早いです。…でも擦り傷程度なら知識がなくてもいいのですが、例えば大怪我のような物になると医学知識が必要になります」

「それは、人体の構造を把握しておかなくてはいけないという意味ですね?」

「ええ。ヴィータさんの言われた通りです。 例えば骨が折れているのを治そうとした時に、骨がどういう形をしていて、元がどのような状態だったかがわからないと治せないですよね?」

「アスカ、それってどこまで細かく覚えなきゃいけないの?」

「そうね、理想を言うなら血管や筋、神経まで理解していたほうがいいけど、難しいよね?」

「無理無理。私がバカなの知ってるでしょ?」

奈々は確かにちょっとそういうところもあるけど、やればできる子なのにな。


「人の身体というのは本来持っている治癒力というものがあるので…。例えば切り傷をして血が出ても、自然に塞がって傷跡も薄くなっていく…なんていうのはみんな経験あると思います。回復魔法のというのはそういう治癒力も高めてくれるので、細かい所まで理解していなくても補ってくれます」

「よかったー」

「それに、回復魔法の習熟度が上がれば治癒力も更に高めてくれるので治りも早くなります」

「病気とかに関してはどうなのですか…?」

「病気もですが、怪我も表から見ただけではハッキリとわからないものというのがあります。その為に腕輪には鑑定の魔道具もつけてあるので、治療の際は先ず鑑定を行い、どういった治療が必要になるかというのを把握してください」

「アスカー難しいよー」

「そうだね。ティアの言うように、光魔法はどの魔法より難易度が高いと私は思っています。だからこそ必要とされるものでもあります」

「ねえ様、頑張りましょう?」

「わかってるけどさー」

口頭説明では飽きちゃうか。


「では一度使えるようになった魔法を、ペアになって相手にかけてみてください。危ないものはないので落ち着いて使ってみてください」

それぞれペアになって回復魔法を使うから、あちこちから温かい光が。

やっぱり実践のが楽しいみたいで、ティアや奈々みたいに飽きっぽい子も楽しそうにしてる。


「お姉様…魔法を使っても、あまり使った気がしないの…」

「実際に治療してる訳ではないからわかりづらいのは仕方がないね」

わかりやすい方法はあるのだけど、多分実行したら叱られる…。 (ママ…?)

やらないから。 (うむ)

普通は自分の腕やらを切って治療…っていうのが手っ取り早いんだけど、そんなことさせたくないし。

だからといって私がわざと怪我をして、治してもらうなんてしようものなら間違いなく叱られる。 (当たり前なの! ママがさせたくないのと同じ)

だからやらないってば…。


「アスカちゃん、回復魔法でどこまで治せるものなの?」 

「麻帆、何処までっていうのは?」

「命があればなんとかなるのかしら?」

「色々と条件はあるけど、一応イエスだね」

「条件って?」

「例えば失血量が多すぎると、回復魔法で血は補えないから止血を最優先しなくてはいけないとか」

「なるほど、本当にお医者様みたいね」

「近いものはあるかもしれない。知識もある方がいいからね」

魔力量とかを考慮しない場合、実際にお医者様が回復魔法の使い手になったら効果はかなり高いと思う。


「治れーって思って治せちゃうのかと簡単に考えてたよー」

「ティアの言うそれは、もう聖魔法のレベルになるね。病気や怪我なら願えば治せてしまう。ただ消費魔力は桁違いだけどね」

「聖女がちやほやされるわけだねー」

まあそうなるのかな。決して万能ではないけど…。魔力不調みたいなのはたとえ祝福でも難しいし。 (ママみたいに魔力の流れが見えないと無理?)

うん。聖女様でもそれは見えないからね。これはまた別のスキルだから。 (なんてやつ?)

何だったかな…。たしか魔力視認ってやつだったと思う。


戦闘中に使えば相手の魔力の動きが視認できるから、どの魔法をどの規模でいつ使うかわかる。 (チートだ!)

一応魔王なんで…。 でもこれ、常に発動してると相手の姿がちゃんと見えないのよね。 (えー?)

だってみんな全身に魔力が巡ってるでしょ? (ああ!)

魔力に覆われて顔が見えなくなるから。治療の際でもなければ使わないね。 (ふむふむ)


これ、更に問題なのが、最高レベルで発動した場合、世界に溢れている魔力さえ見えるから。 (もう意味わかんない)

ほんとにね。魔力の濃い所へ行こうものなら、とんでもない事になるよ。 (どうなるの?)


例えるなら、ナイトビジョンで明るいところを見ちゃったみたいな? (わかんない!)

世界が朧気な輪郭だけになってすべてが光る。 (疲れそう…)

まさにそれ。これに関してなら間違いなく低レベルで事足りるね。 (レベル高けりゃいいってものでもないのかー)

当たり前よ。そんなの他にもいくつもあるから。 (うえー)

魅了や誘惑なんてのもそうだし。 (ママがMAXのやつなー)

どっかの王子のせいでね…。

あれなんて本当に過ぎたるは及ばざるが如しってやつよ。






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