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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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秘密の箱



協力してくれた子達のおかげもあり、いくつかの試作品が完成。


一つはパーツごとに分けて納められた箱。一つ一つに仕掛けがあり、箱に書かれた問題を解いたりするもの。比較的簡単にはしてある。

1足す1は?で答えになる魔力を注ぐと解除される…等、単純なもの。


次がお道具箱の様な一つの箱で、内部で区切られていてそれぞれに蓋があり、同じように解除していくとすべてのパーツが揃う。こちらは初めからセットになっていて、この一箱で全部のパーツが揃う。


最後が、こちらもこの一つにすべてのパーツが収められているけど、一つ一つのパーツが見えている。

キューブ状の各面にパズルのようなしかけが施してあり、頭を使って解除しなければパーツが外せない。

これは未亜が見たというカラクリ箱を参考に、シエルと試行錯誤した。

「お姉様、これすごいけど…作る手間もすごいの…」

「だねぇ…」

「ごめんなさい…お姉ちゃん」

「未亜のおかげで色々な案が出たんだから謝らないで?私もいいと思ったからこうして試してみてるんだよ。作る過程というのは失敗や成功の試行錯誤なんだから」

「うん…」

せっかく提案してくれた未亜を責めたりするわけないのに。

とはいえ、一つ一つ仕掛けを変えるとかにすると更に手間が増える。楽しそうではあるけど、あまり現実的ではないかも…。



「ねぇアスカ。奈々と考えたんだけどこんなのはどうかしら…」

「うん?」

「私さ、小さい頃に持ってたんだけど、こういうパズル知らない?」

リアと奈々が見せてきたのは、今作っていた過程で出来た端材を上手く組み合わせて四角になるよう組まれたもの。こういうのってタングラムパズルとか言うんだっけ。

リアと奈々は途中から遊んでるなーとは思ってたけど考えてくれてたのね。てっきり飽きちゃったのかと思ってた。



「これならそんなに手間じゃなくない?」

「そうだね、それこそ四角い板をランダムにカットすればいいだけだし…」

いっそ普通のパズルのように板状にした魔石をカットしてもいいかもしれない。

「でね、それをピッタリはめたら箱が開く、とかどう?」

「確かに…。いいかもしれないね。魔力を流すだけの謎解きより喜ぶかもしれない」

「でしょ? 区切られた箱の方の蓋にいくつかこれを組み込んだらどうかしら」

「あり…だね」

「未亜の言ってたからくりにもあったじゃない?」

なるほど、リアは未亜の意見も無駄になってないと言いたいんだね。元々提案してくれたのは未亜だものね…。



新しく作ったのは、魔力を流す問題の書かれた蓋と、蓋にパズルの枠だけがあり、ちゃんと全部嵌められれば蓋が開くよう、小さな魔道具が仕込んである複合タイプ。魔力を流して開ける蓋の中にパズルのピースも仕舞ってあるから、そちらを開けなくてはパズルができない。

で、この箱。最終的にはお道具箱として利用できるようにしてある。

はめ込むパズルにはいろいろな絵を書いておけばそれぞれ違うものになるし、何よりこれも魔道具扱いで、本人にしか開けられないものになるから。



完成したものをみんなにお披露目して触れてもらい、意見を聞いた。

やっぱり人気だったのはお道具箱になるタイプので、後々箱が無駄にならないのも良かったみたい。

「せっかくアスカ達が作ったんだから、箱も捨てちゃうのはもったいないよー」

「そうね。自分で謎解きしたものがそのまま使えるのはいいとおもうわ」

「ですわよね。幼い子というのは、自分専用というのは喜びますわ。うちの聖弥もよくそれでわがままを言ってましたもの」

さすが聖さんみたいにずっとお姉ちゃんしてると違うね…。といってもユウキはそういうワガママは言わなかったからなぁ。



ティーとリズはずっと箱で遊んでるから、おもちゃとしてもありかもしれない。

「ママ、これ楽しいの! パズルは何回でも遊べるし!」

「なのです! でも、無くしてしまったらもうあけられなくなるのです…」

「ああ、その不安があったか…。嵌めてしまえばポロッととれたりはしないけど、遊ぼうと外した状態でピースをなくしたら開けられなくなるか…」

お道具箱が開けられなくなるのは困るな。どうしたものか…。


「幼い子はどうしたって無くしたり壊したりしますわ。それは避けられないと思いますわ」

「そうですわね…。わたくしも小さい頃に大切にしていたものを無くした事がありますし…」

聖さんとモルチアナの言う事は最もだ。私も経験ある。ストレージを持つようになってその心配もなくなったけど、幼い頃は大切にしていたものをなくした記憶がある。


「アスカちゃん。もう無くすのは前提として、それも学習として教えるしかないんじゃないかしら」

「麻帆、もう少し詳しく教えて?」

「そのままよ? 無くしてしまったらそのピースだけ作ってあげるとか」

「それ、アスカが大変になるだけじゃん」

「じゃあ奈々はなにかいい案あるの!?」

「それは…」


麻帆の言う学習というのもアリではあるけど、奈々の言ってる事も最もなんだよなぁ。

全部バラバラのピースだから、無くしたとしたらそれぞれ形も違う訳だもんね。

となると、パズルの部分だけは一度開けたらロックがかからないようにして、無くしても開くようにしておくしかないか。

どうしてもピースをほしいっていわれたら対応する、くらいか…。


「お姉ちゃん、だったらあれは?少し前に作ってた線路のゲームみたいにスライドパズルにするとか」

「そうね。そもそもピースを無くさないような物にしておくしかないかも」

「作るのに手間が増えちゃう?」

「確かに初めの手間は増えるけど、無くすたびに対応するよりは楽だから有りだね。ありがとう未亜」

「ううん! よかった…」

板状にした魔石に投影させて…少し魔力を流しながらピースを動かすというのはゲームと同じ。

うん、いけそう。



最終的に完成したのは内寸が40✕30センチ、厚みが10センチくらいの箱。

内部は五つに仕切られていて、一つは40✕10の細長いもの。ここに初めはステッキの柄を入れる。完成後もそこへ仕舞っておける。

残りのスペースを四つに区切り、各10✕20センチのサイズ。ここに魔石や装飾などのパーツをいれておく。後々、小物や文房具が入れられればいいからこれくらいか。


細長い部分には問題式のロック。適切な魔力を流すと開く仕組み。

残りの四つは一つのロックとして扱い、40✕20センチサイズのスライドパズルになってる。

今回は試作品という事もあり、絵柄はシエルが書いてくれたドラゴンの可愛らしい絵。

ドラゴライナ王国にはいろいろな種族の人がいるから、絵柄も増やすなり、別のものにしてもいい。 



早速わが子二人に触れてもらう。

「リズ、それはこっちに…」

「ホントなのです! ティー姉の触ってるのはここなのです」

「おー!」

ティーとリズが夢中になってるくらいだから良さそうね。

そんな二人をみんなも微笑ましく見てる。


「よし、じゃあ次はステッキのパーツをデザインしたいからまた協力してね」

「はいなの…」

シエルを始め、みんなも頷いてくれて、あっという間にパーツ毎にいくつかデザインが完成。

学園でもステッキのデザインをしてた魔装科の子たちがいたのは心強かった。



それをお道具箱にいれて、実際にティーとリズに箱のロック解除から、ステッキの組み立てまで一通りやってもらった。

今回は特別にパーツの交換には私が応じてあげて、それぞれお気に入りのものが完成したみたい。


二人のは本番もこのパーツ構成で作っておくか?いや、同じのもつまらないだろうしランダムでいいか…。


アキナさんに見せるためにも追加でいくつか作成し、また見せに行こう。

駄目だと言われたらまたみんなと考えればいい。 (言われるわけないの)

だといいけどね。






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