見えないあの子
スイーツコーナーの端に座って休みながら、会話が普通にできるようになった”誰か”について考える。
ね、名前ないんだよね? (うん、でもアスカ達がきょーせーりょくって呼んでたりしたよ)
はぁっ!?強制力? (それそれ)
じゃあアナタが私の性別が変わった事への色々な対応や変化をやったの? (そだよー)
私の味方なの? (ボクはそのつもりだよ?)
他にはどんなことしたの? (…突っ込み?)
ふふっ、なにそれ… (アスカがボケるからじゃん!)
私そんなことしてないよ!? (自覚なしかっ)
性別は? (ないよそんなの)
じゃあどんな見た目なの? (ん〜?わかんない)
そっかぁ…名前つけてあげよっか? (うん、つけてつけて。素敵なやつ)
ハードルあげないで…。 (えーだって)
悩む…私にネーミングセンスはないし。でも期待されてる…。 (わくわく)
強制力だからきょーちゃん。 (……アスカ嫌い)
待って待って。考えるから。 (むー)
………
難しい…。いい名前つけてあげたいのに。 (待ってるからいいよー)
わかった。じゃあ直ぐじゃなくて思いついたらにするね? (うん)
聞いてもいい? (なーにー?)
いつからいたの? (んとね、魔王してたときから)
え?強制力じゃないの? (そう呼ばれただけだし…)
私が魔王のときは何してたの? (魔力の制御のお手伝いとか、新しい魔法作るお手伝い?)
そんなことしてくれてたの? (だって、アスカが作ったんだよ?そーゆー風に。ちゃんと覚えてるもん)
はい?私が作った? (最初はただの魔法だったよ。ハッキリ意思ができたのは…)
私が女になった時? (そうそう! おっきな仕事を任されたから)
それが世界の強制力…。 (うん。そう)
話を整理すると魔王時代の私が、魔法のサポートをするために作った魔法。
それが世界の大きな意思の影響で自我を持った?そんな感じかな? (だいたいあってる〜。)
大体って事は違うとこもある? (うーん?魔法のサポート役じゃなくて安全装置って言ってたよ)
あぁぁ!わかった。時間停止魔法の時のだ。 (そうそれ!)
なるほど、確かに安全装置魔法は色々な魔法を作るときに応用してたから…多分一番使ってた。
最初に作った時から色々なものを加えてきたから複雑さも一番。
そして、一番頼りにしてる魔法でもある。 (照れます)
そこはドヤァじゃないんだ? (あれはあれなの!)
そっかぁ。わかったらなんか今まで以上に親近感が持てたよ。 (ボク大事?)
うんうん。これからも頼りにしてるからね。 (うんっ)
そうだ! 名前、ティーって言うのはどう?安全装置、セーフティ、からなんだけど…。
ダメかな? (ボクは今日からティーだよ!)
よかった、気に入ってくれたみたい。 (ティー! ティー♪)
「お姉ちゃん、どうかしたの?なんだか楽しそう」
「未亜ちゃんおかえり。そうだね、今は楽しんでるよ」
「そっか、よかった」
「スイーツはもうよかったの?」
「うん、王女様がメイドさんに食べ過ぎですって連れて行かれちゃったし」 (ベリータータも食べてたし)
「どれだけ食べたの…」
「私はそんなにだよ?」
「ならいいけど、お腹壊さないようにね?」
「わかってるよぉ!」
今はまだ私としか話せないけど…。 (うん?)
いつかみんなにティーを紹介できたらいいなぁ (ママ頑張って♪)
ママぁ!? (だってボクを作ったのアスカだし。ママでしょ?パパのがいい?)
ママでいいよもぅ…。 (ティーのママはアスカ〜♪)




