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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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魔道具とお母様



学園長に呼び止められた私とヴィータさんは、これから光魔法を教える上でどうしたらいいか?という相談を受けた。


「例えば教室になにか設備が必要とか、こういう物があると便利とか、なんでもいいの。何かあったら教えてくれない?」

「私が出来るのはあくまでも怪我の治療くらいですし、特にそういったものは…」

「アスカちゃんは? 遠慮しないで教えて?」

「そうですね…。便利というのなら医学書とかでしょうか。人体の構造などを把握できていると治療は的確になります。後は鑑定の魔道具は必須ですね。 その上で、例えばですが…冒険者科で怪我をした、または騎士科等の訓練で怪我をした、そういった生徒を治療するというのが一番効果的だと思います」

「医学書って解剖学みたいなものでいいのかしら」

「ええ。一番いいと思います」

「鑑定の魔道具はまたお願いしてしまうけどいいかしら…?」

「お任せください。ついでですから、負担がないような魔道具にしておきます」

「お願いするわ」

光魔法を扱える魔道具に鑑定も組み込んでおかないと。 (いいの?)

慣れない魔法を生身で使うと負担がすごいから、一度魔道具を介した方が安全なの。 (そういう意味じゃなくて…)

うん? (ママがいいならいいの)

安全は何にも代え難いからね。もう私が叱られるのは覚悟してる。 (ういうい)


「他には大丈夫そう?」

「はい。教室もさほど広さ等は必要ないので、その時間に使われてない教室を使うとかでも充分です。まわりに大きな被害の出るような魔法もありませんし」

「わかったわ。エキスパートのアスカちゃんがいてくれて本当に助かったわ。時間を取らせてしまってごめんなさいね」



うちの子達も望むのなら光魔法を学んでもいいと学園長から許可ももらえたし、帰ったらみんなにも相談しよう。学びたいと言うなら手を貸してあげたい。 (魔道具多めにいるの)

だね、食堂の隅っこで作っちゃうよ。 (うん!)



食堂へ行き、お茶だけ注文して受け取り、隅っこの方へ。

この時間は生徒もチラホラとしかいないから邪魔にもならないでしょう。

窓際の明るい場所を借りて、魔石と魔刻刀を取り出し、光魔法を一通り扱えるようにと、鑑定も組み込んでおく。

流石に魔石一つでは無理があるから、透明魔石に光魔法、赤い魔石に鑑定と分けて刻む。 (デザインはどうするの?)

指輪はきっとみんなに怒られる気がするのよね…。 (おおー)

なによ? (ママもわかってきたなーと)

どうせ色恋に疎いよ! そうなると、ブレスレットくらいが無難かな。

全員女の人だったし、可愛らしくしてもいいでしょう。 (未亜と聖さんのも同じ?)

ううん。二人のは聖魔法も刻んであるよ。

聖さんも魔力循環してから全属性扱える様になったとはいえ、聖魔法が一番適正が高いからね。

未亜に関しては適正に偏りがない。これは多分お母様の影響だと思う。 (エルフの血を引く巫女…)

そうそう。



食堂のお昼の混雑が始まる前に予備を含めて必要数を制作。 (はやいのー)

自分の扱える魔法を刻むだけだからね。

デザインは可愛いチェーンタイプと迷ったけど、実戦でも邪魔にならないようバングルタイプのブレスレットにして魔石を埋め込んだ。 (こっちのがいいの?)

バングルタイプは形が固定されてるから、チェーンみたいに僅かとはいえジャラジャラ音もしないし、何かに引っかかるっていう危険も減らせるからね。 (ほうほう)

何より制服に合うようなものになった筈。シルバー地に金の装飾…象嵌細工に近いかな。 (カッコカワイイの)

ティーのお墨付きももらえたし、学園長に見せに行くか。 (学園長室にいるよー)

ありがとう。



学園長室の扉をノック。名乗ったら直ぐに入室の許可をもらえた。 

「アスカちゃん、何か問題でもあったのかしら?」

「いえ、魔道具を完成させたので、そちらの説明と報告にと思いまして」

「試作品が一つできたのね?それにしたって早すぎるわよ…。まだ一時間もたっていないのに」

すみません、完成品が人数分プラスαでできています…。 (黙っとこ)

そうね…。


少し幅のあるバングルタイプのブレスレットを学園長に手渡し、見てもらう。

「オシャレだわ。しかも細工が細かいし、魔石なんて宝石みたいじゃない! 私がほしいくらいよ…」

予備はあるので構いませんが…扱えるかは…。 (魔力循環してるからいけるのでは?)

確かに有り得そうね。


この魔道具で何ができるのかを説明したら、学園長はご自身のデスクに突っ伏してしまわれた…。

「これほどの物に支払える対価はとてもじゃないけど無いわよ…。どうしましょう。セルフィーの悩みがよぉーくわかったわ…。娘一人では釣り合わないわね…」

いやいや! 対価なんてもらうつもりないし、ストレリチア様をその対象にしないでください! (ぶふっ…)

笑い事じゃないのよ? (冷静でいられるわけがないの。仮に売ってたらこの魔道具いくらくらい?)

え…。値段なんてつかないんじゃないかな。見たことないし。無理やりつけたとして聖魔法のと同じくらい? (原因それ…)

わかってるけど!


学園長には対価も必要ないし、魔道具を作るものとして安全性を最優先にした結果だからと説明してなんとか納得してもらった。

「わかったわ…。アスカちゃんがあくまでも魔道具職人として安全性を最優先にした結果だというのは。でも、学園長としても国としても対価を支払わないわけにはいかないのよ。アスカちゃんはドラゴライナ王国の王女なのよ?」

「それでしたら…。 お母様、そちらは義理の娘からのプレゼントです。貰ってください」

「もう! その言い方はズルいわ! でも…ありがとう」

「はい!」

諦めたように笑う学園長。 


よかった、受け取ってもらえて。 (予備を含めた完成品を全部渡したら学園長が倒れた話はしとく?)

トップシークレットで! 王妃様を倒れさせたなんて私の首が飛びかねないから! (それだけは絶対にない!)








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