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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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更新



教室内が少し重たい空気になってしまったのは仕方がない。そうしたのは私なんだから。

ここからはまた新たな質問を受け付けて、気持ちを切りかえていこう! (おー!)


「他にも二人に質問のある方がみえましたらどうぞー! 答えられる範囲で答えてもらえるようにお願いしてあるので、召喚獣についてわからないことや聞きたいことを聞いてみるといいですよ」

教室が少しザワついて、何を聞こうか悩んでるみたい。


「本当になんでもいいのか?」

「あんた絶対しょうもない事聞く気でしょ! やめなさいよ、ミストでやられるわよ?」

「うっ…だってなぁ?」

あの男子何を聞こうと考えたのよ…。 (キャンディはサキュバスだしなー)

はぁ…もう。確かにちょっと露出は激しいけど、キャンディは軽い子じゃないからね! それだけは言っておくから! 


「あ、あのー。 私は前の教師の時に召喚をしてしまっていて…。アスカさんに教わって召喚した子達と比べて不自由しているような気がするんです。あくまでも気がする程度なんですけど、違いって何かありますか?」

前に鳥型の召喚獣について説明した先輩だ。 (もっと可愛い子がーとかいってた?)

そうそう。でも話したらわかってくれて、仲良くなれたみたいだね。じゃなかったら不自由していると感じ取ることもできない筈だから。 (おおー!)


「ではそちらの質問は私が答えさせて頂きますね」 (ノアの出番!)

ノアって今でこそ召喚獣だけど、以前は魔力も少なくてこういった事に疎かったのに。成長したねぇ…。 (唐突な保護者目線)



「そもそもマスターの召喚魔法陣は個々の能力を最大限に活かした上で、本人の希望する相手を喚ぶという結果をもたらします。 先程キャンディとマスターのお話にもあったように、私達召喚獣を大切に思ってくださるマスターは、召喚魔法陣に召喚獣を縛り付けたり押さえつけたりというものを絶対に付加されません」

うん、間違ってない。だってせっかく喚んで来てもらうのに能力を押さえつけてどうするのよ…。


「え、それって下手したら危ないんじゃ…。昔、生徒がとんでもないの呼び出して学校が半壊した事件あったよね!?」

「あれか! かなり昔だけど教訓として習うよな」

ぶっ…。 (どこかのさいきょーまおーを喚び出したあほの子だー)

…………。元々あれは召喚獣を召喚するものじゃなかったの! (いってた!)


「不相応な相手を喚ぼうとするからそういった事故が起きるのです。マスターの魔法陣には、契約できないような相手を喚び出せないよう工夫がされています」

「あっ、魔力を持っていかれるやつだね!」

「はい。仮に薬や魔道具等の力を借りて一時的に底上げした魔力で喚びだして契約しても、後々維持ができなければ意味はありませんからね」 

全くもってその通り。契約後は維持する魔力が大幅に軽減されるとはいえ、限界がある。

維持できなかったら契約してもなんの意味もないのだから。


「マスターの召喚魔法陣で喚ばれる場合、必ず維持可能な相手を選びます」

「一つ補足しておくと、私の召喚魔法陣で呼び出した人達はそれぞれ魔力を持っていかれたと思うのだけど、あれは契約をお願いするための供物でもあり、喚びだして維持できるかをはかる一種の指針でもあるの。自身の魔力総量を越える相手は維持もできない相手として契約できないようにしてあるんだよ」

「詳しい解説ありがとうございます! マスター」

「細かいところだからね。口を挟んでごめん」

「いえ、助かりました! ここまでのお話でマスターの魔法陣はある程度理解できたと思います。対して通常の召喚魔法陣というのは、相手を喚びだして捉え、無理矢理にでも契約させるというような物が多くあります。その為、契約後の召喚獣に制限という枷をつけて歯向かえないようにされています」

「酷い…」

「ええ…全くです。こちらで使用されていた召喚魔法陣はそこ迄酷いものではありませんが、召喚獣本来の力がだせないような契約になる場合があります」

「それって、私よりこの子のが強いから…?」

「あくまでも呼び出した時点で、の話にはなりますが…。本来なら召喚主の成長に合わせて召喚獣も成長するものなのです」

だね…。うちの子たちも皆そうだし。 (ママの周りにはつよつよな子が量産されます)

量産とか言わないの。ティーだってその一人なのよ? (そだった! ティー量産型じゃないの!)

知ってるよ。みんなも唯一無二の存在なんだから。 (専用機!)

なんか違うよそれは。


「じゃあこの子は私と契約したばっかりに力も出せなくて成長もしないの…? ごめんね……」

「マスター、ここからはお任せします!」

ここで!?落ち込んで泣いてる先輩を前に丸投げとか酷い…。 (何とかなるの?)

ならないこともないよ。 (なにそれー!)

まぁ説明するよ。


「契約、し直しましょうか?」

「え?」

「契約の解除というのは出来ませんが、現状の改善をしたいというのなら可能ですから。勿論相手の子が同意してくれるのが条件にはなりますけどね」

「お願いできますか? せっかく仲良くなれたこの子に辛い思いしててほしくないんです!」

「任されました」

普段使っている召喚魔法陣、それの契約内容の部分だけにしたものを使うだけだし。


全員で訓練場の方に移動し、魔法陣を描く。

「こちらの魔法陣に一緒に入ってください」

「は、はい。  ごめんね、行こう?」

先輩が鳥型の子を大切そうに抱きかかえて魔法陣へ。

「契約の更新に魔力を吸われますから気をつけてくださいね」

「はいっ!」

光る魔法陣の中でしっかりと契約の更新がされて、先輩は結構な魔力を消費。座り込んで辛そうにしているから相当だね…。

かなり大きく枷がかかってたなこれは。


鳥型の子も心配するように寄り添ってて、素敵な関係だよ…。

「先輩、こちらを飲んでください。 魔力回復薬ですからゆっくり飲んで、後はしばらく座って休んでいてくださいね」

「ありがとうございます。これでこの子は…」

「大丈夫です。契約の更新に同意してくれたんですから。これからは枷もなく、先輩の成長に合わせてこの子も強く賢くなっていきます」

「よかった…、よかった……!」

本当に仲良しだね。制限もなくなったのだから、きっとこれからは意志の疎通ももっと簡単になると思う。


「あの…俺もお願いしていいかな? もし不便かけてたらって思うと…」

「かまいませんよ。 他にも更新したい方は言ってください!」

「アスカ様、一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

「うん?モルチアナどうしたの?」

「もし、更新に同意してもらえなかったらどうなるんですの…?」

「魔力消費することもなく、現状維持になるね。 でも、更新を拒否する可能性はないから大丈夫」

「どうしてそう言い切れますの…?」

「だって今より待遇が良くなる契約を持ちかけられて断るかな?」

「ない…ですわね」

「だから大丈夫」

モルチアナもホッとしたのかやっと笑顔を見せてくれた。モルルと仲良くなってるのに契約更新を嫌がるわけが無い。


モルチアナを含め、私が留学する以前に喚んでいた生徒はもれなく全員契約更新。

半数以上が相当な魔力を吸われてたから、それだけ枷がかかってたんだろう。  (もし再契約の時点で魔力足りないーとかなったらどうなるの?)

今ここにいる人たちに限ってなら、ならないね。仮に越えそうになったら召喚獣側で力を調整してくれる。 (えー?)

だって既に契約して、仲良くなってるんだよ?心のある召喚獣の子達がそんな無茶すると思う? (思わない…)

でしょ? 初めて喚ぶ時だと相手のこともわからないから自分でセーブなんてしてこないし、する必要もない。 

信じてる相手だからこそ自分から合わせてくれるんだよ。 (すげー)

喚びだしたあとの維持も少しキツくはなるだろうけど、仲良くなればなる程軽減されていくからね。 (友情出演!)

上手いこと言うね。ほんとそのとおりだよ。とは言っても相手によって最下限はあるから、うちの子達みたいに強いと、いくら軽減してくれていたとしても限度があるけどね。 (普通の人で維持は…)

まず無理だね。桁が違うから。それくらいみんなは強いって事よ。 ((それを全員維持できてるママが一番やべーの))



あと、契約更新の時に起こりうる一番嫌なパターンとしては、召喚獣側がどうしても契約破棄したいと思っていた場合だね。 (どうなるの?)

多分、魔力を吸い尽くして召喚主を殺して、自身も輪廻の輪に戻るっていう選択肢を選ぶと思う。 (悲しい結末はヤー)

だね。だからこそ大切にして、仲良くしていかなきゃね。家族なんだから。 (うんっ!)

今回はうちの子達を通じてみんなが仲良くなっているという確信があったからいいけど、わからない場合は悩むね…。自由にしてあげたいと思う反面、悲しい結末にはしたくないもの。



「師匠…わしもお願いしたいのじゃ…」

「私もお願いします、師匠!」

先生のお二人には方法ごと伝えたほうがいいかもしれない。今後の為にも…。 (ママお疲れ様…)

うむ。でも召喚獣のみんなにとってプラスしかないしいいことだよね。









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