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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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新しい授業



魔法科の先生が気を取り直した途端、私の腕を掴んで学園長室に連行され、どうなるかと思ったのだけど、報告を受けた学園長と、たまたま一緒にいた王妃様は冷静そのものだった。

「私は知ってたわよ?それにドラゴライナ王国の継承権一位の王女なのよ、アスカちゃんは。聖女だとしてどうするっていうのよ」

「確かに聖女様の存在はありがたいし、国に滞在してもらいたい気持ちはあるわよ?でもそれはそれよ。大体うちの娘の婚約者なんだから充分過ぎるくらいよ」

「あっれー? 私がおかしいのですか!? 聖女様ですよ!?」

魔法科の先生は納得できないようだけど、私は助かったらしい。ただ…

「あまり目立つような事はしないでね?大きく世間に広まってしまうと周囲に期待されてしまうわ」

「気をつけます…」 (王妃様に釘刺されたね)

その程度ですんでよかったよ…。


聖さんに関しても、基礎として魔力の扱いは学園で学ぶけど、聖魔法に関しては私が個人的に人目のないお屋敷なりで指導するように、と。

うん、これは仕方ない。ただ…聖さんが聖女様になりたいというのなら、それでもいいと思う。

こちらへ来たとしても将来が安泰になるのだから。自由はなくなるけどね…。

私達も、弟の聖弥くんでさえおいそれと会えなくなっても不思議はない。

果たしてそれを望むのか…?


もういっそ魔力循環をしてしまって、他の属性も扱えるようになってもらい、聖女適性を隠してしまうのも一つの手ではあるか…。確実にそうなる保証はないけども。 (多分なるよー)

根拠は? (全属性に適正のある勇者で魔王のママの魔力を全身で受けたら、ねぇ?)

なるほどね…。

例外は魔力循環を出来なかったシエルだけど、あの子はエルフだから元々魔法適性は高いもんなぁ…。


ん? でもその理屈だとうちの子達はみんな聖女適性もあるの!? (あるかも?ただ聖女だけはかなり特殊だから、要確認!)

ひぃ…。一度相談してしっかりと確認するべきだな…。



午後から魔道具科のある私と、ストレリチア様、サラセニアを残し、みんなはお屋敷に帰ってもらった。

未亜は”リズちゃんが待ってるから。お姉ちゃんが遅くなるなら私達が早く帰ってあげないと“ってしっかりお母さんしてくれてるのが頼もしい。


久しぶりの魔道具科ではみんなに歓迎されて、それぞれが作ったという新しい魔道具を見せてもらった。

幾つか面白いものもあって、私自身勉強になる。やっぱりこうでなくてはね!

みんな生き生きとしてるし、楽しんでるのが伝わってくる。


「はいはーい! そろそろ授業始めるから席についてね」

「学園長から正式に授業について方針が決められたから、その説明もします。 アスカさん、協力してくださいね?」

「はい…」

取り敢えずステッキの的あてゲームだけは作って持ってきてるから…。それのことだよね。

「アスカ様、期待しています!」

「私にできることがあれば何でも言ってください」

私の両隣にいるストレリチア様とサラセニアからのプレッシャーがすっごい! (教室中からも期待の眼差し)

期待が大きすぎて、がっかりされないことを祈るよ…。



教室の壁に向けて的あてのゲームを設置して起動。

経験者のストレリチア様とサラセニアにプレイしてもらいながら説明をする。

「みんなにはこのステッキの作成をお願いしたいの。これが学園で使う教材になるから…」

「すげー!! めちゃくちゃ楽しそう!」

「姫さん、そのステッキはサバゲーのステッキとは違うのか?」

「基本は似たようなものですけど、込めた魔力を目視でわかるようにインジケーターというものが付きます。専用の魔石はこちらで用意しますから、みなさんが作成するのは普段のステッキとほぼ同じものになります」

「それならなんとかなるな!」

「デザインはどうしたらいいの?全く同じものを作ればいいのかしら」

「試作品はこれと同じものをお願いします。正式なデザインは、その試作品を魔装科に渡して依頼します」

「じゃあ、本番は魔装科からデザインが上がってきてからになるのね?」

「そうなりますね。 一度みなさんも遊んでみてください。普段使っていたステッキとは扱い方も少し異なりますし、これを使いこなせたら魔法そのものの扱いも上達しますから」


喜んだ生徒たちが遊び始め、ストレリチア様とサラセニアが指導もしてくれている。

「じゃあアスカちゃんには書類、書いてもらおうかな!」

「…はい」

先生に手渡された書類が前と少し違い、友好宣言をした国の名前がズラッと書かれていて、自身がどの国に所属しているか明確に記入するようになっていた。

「これは新しく導入されたもので、所属している国と開発者に権利が帰属します」

「私の場合は、ドラゴライナ王国ですけど、国にも利益はあるんですか?」

「勿論です。利益はまず国から国へとまとめて支払われ、そこから権利者へ国ごとに決められた割合が支払われます」

それならよかった。お世話になってるアキナさんに少しでも還元されるのなら一番いい。

しかもライセンスのやり取りとかは全部国にお任せになるのだから、私は楽なものだし。


権利者はどこの国に権利を預けるかも選べるらしいから、ハルナさんに預けた権利とかもそのままでいいのは有り難い。 (無くなったら落ち込むだけじゃ済まない…)

でしょうね…。あれだけ喜んでくれてたからそのまま維持されて良かったよ。 




授業が終わり、お屋敷に帰宅後…。

全員に集まってもらい、事前説明をして鑑定した結果、聖女適性があったのは未亜と、当たり前だけどリズも適性は持っていた。 (ママの後継ぎみたいなものだし)

まぁ、リズに関してはとりあえず保留かな。今話してプレッシャーをかけたり、未来を決めてしまいたくはないからね。

リズの場合は他にもすべての適性があるわけだし。


はぁ…ホッとしたよ…流石に全員聖女とか笑えない。

ただ、もれなくみんな光属性への適性は持っていたから、僅かな可能性ではあるけど自然と聖魔法適性へグレードアップするかもしれない。


「未亜も聖魔法を覚えたかったら聖さんと一緒に勉強しようね」

「うんっ! えへへ…お姉ちゃんと一緒だー」

「まぁ二人とも聖女になりたいのでもなければ、あまりおおっぴらにはしないように」

「もちろん! お姉ちゃんやみんなと離れ離れになるのなんて嫌だから」

「わたくしも…ですわ」

「うーん……。 じゃあ聖さんも魔力循環を試してみる? それくらい私が信頼してもらえてるといいのだけど、魔力循環ができれば他の属性魔法も扱えるから、聖女適性も隠しやすいからね」

「いいのですか!?」

「うん、私は聖さんを信じてるよ。それに何があっても守るし、傍にいるからね」

道を踏み外すような結末にはさせない。一度でも師匠とよんでくれたのなら尚更…。

「は、はいぃぃ……。お、お願いいたしますわぁ…」

顔真っ赤だけどどうした!? (ママ、言い方…。まるで愛の告白…)

うぇぇ!? (今更だけどねぇー)













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