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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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友達の適正



翌朝、みんなで制服を着て玄関ホールに集まった。

それぞれアレンジがしっかりされてるのはシエルのおかげだろうか…。手直しもしてくれたそうだし。


「今日は魔法科が午前からあるのだけど、私もみんなと一緒に顔を出すからよろしくね」

「アスカも来てくれるの?やったぜー!」

奈々を始め、みんな喜んでくれてるけど、私は少し気が重い…。なんせ魔法科の先生と学園長から昨日行った講義をもう一度、魔法科の生徒に行ってほしいと言われているから。

魔法科の先生も協力はしてくれるけど、私も教師みたいな立ち位置になってしまうし…。 (ママもいずれ先生するかもならいいんじゃない?)

そうね…前向きに考えよう。ありがとね、ティー。 (アルフィーとリズは任せてー!)

お願いね。ピナさん以外のメイドさんは残ってくれるから何かあったら頼りなさい。ノア達もいるし。 (あいあい!)


ティー達お留守番組に見送られ、昨日のうちに作った大きな馬車に乗り込む。

外観は少し大きな馬車程度だけど、中はスクールバスくらいに広くしてある。内部には明かりと空調くらいしか魔道具はつけてないけど、それで十分でしょう。

当然揺れ対策はバッチリ施してあるから、もし長距離移動になっても問題はないけど、そんな使い方をするタイミングはないと思う。


少し回り道をして、学園の生徒用ギルドに立ち寄り、ユウキ、スピネル、レウィ、聖弥くんとはここでお別れ。

みんなも興味津々だったから、少し学園の管理するギルドの中を見せてもらった。

食事スペースを兼ねた教室部分も有り、街のギルドと遜色ないもので、冒険者になるっていう雰囲気はバッチリ味わえそう。

聖弥くんはかなり張り切ってるから、空回りしないようしっかりユウキがみてくれると信じて託す。


聖さんはここで離れる聖弥くんと話をしてるから見守る。

「聖弥、ご迷惑をおかけしないよう、しっかりと学ぶのですわよ」

「うん! 大丈夫! 頑張るよ僕」

聖さんは聖弥くんを撫ぜると、それ以上は何も言わず、ユウキに一礼。師匠だからなユウキ。

私もユウキに目配せだけして何も言わずにおいた。師匠になったユウキに私があれこれ言うのは違うからね。


代わりに可愛いレウィを撫ぜとこう。

「レウィ、みんなのことお願い」

「わう、任されました主様!」


「よしっ、私達は学園に行こうか」

「「はーい!」」

馬車に乗って、今度こそ学園へ。


校門で従者エリアに向かうピナさんと別れ、私達は魔法科へ向かうのだけど、今日は魔道具科と召喚科のサラセニアとモルチアナも同行してる。

「王女様、私達もご同行させていただいてよろしかったのですか?」

「大丈夫です。学園長には許可をもらっていますから。貴女達も魔法の扱いに関しては学んでほしいというのが正直なところです。強制はしませんけどね」

ストレリチア様は魔法科にも通い始めたものね。それに称号のせいで基礎ステータスが上がった二人も確かに学んで損はない。



魔法科ではうちの子たちを含めた生徒に、昨日先生に説明したままを実演も含めて披露。

扱える属性に隔たりもあるから、イメージに関しては実際にそれぞれの魔法を見せたりしながら説明したのだけど…。


「やっぱり常に一定の魔力で魔法を扱うっていうのは簡単にはいかないわね…」

「みたいですね…」

先生と魔法を使う生徒を見守りながら、説明の難しさを痛感してしまう。

簡単に理解してしまう、うちの子たちが優秀すぎるんだよね…。

慣れない未亜はもちろん、奈々や麻帆もなんなくこなしているし。


もちろん、ドラゴライナ王国から留学したお二人も安定しているし、なんの問題もない。

二人の扱える属性に差はあれど、イメージをするのもしっかり出来ていて、注意点もなく、安心してみてられる。


手こずっているのは聖さんくらいだから、手を貸そうと傍についたのだけど…。

聖さんは魔力がまだ少なく、得意な属性どころか、扱えるものと扱えないものの判断すら出来ない。

悩んだ末、無属性に分類される魔法防壁を教えて、それを安定して扱えるようになってもらうことにした。


見せて説明すれば理屈として理解はしているようなのだけど、それを魔法として具現化するところで躓く。

イメージしやすいように、文房具の下敷きとか、防具の盾など色々見せてみたのだけど、なかなか上手くいかない。

「すみません…アスカ様のお手を煩わせてしまって…」

「ううん、私こそ上手く伝えられなくてごめんね…」

理解力のある麻帆はともかく、奈々でさえ全属性を扱えているのに、この差はなんだろう?そう考えて思い至ったのは、魔力循環と称号。 (他に考えられないの)

だよね…それ以外に要因が思いつかない。 あ、待って!! まさか…


「聖さん、申し訳ないのだけど、しっかり鑑定させてもらってもいいかな?」

「は、はい…アスカ様になら全て見て頂いて構いませんわ。わたくしのすべてを見てくださいませ!」

誤解を招く言い方しないでほしい…。 (あながち?)

まぁ、身体的な数値まで見えてしまうけども…。


本人の許可も貰えたので、深層まで探って判明したのは、まさかの聖女適性…。

これは属性魔法が使えなくても納得だわ…。 (そうなの?)

うん、私みたいな勇者とか魔王みたいな特殊な称号持ちじゃない場合、聖女適性があると、他の属性の魔法が扱えなくなる可能性はすごく高いの。

聖女を探す時の指針にするくらいにね…。私が普通に扱えてるから完全に失念してた。 (ママは普通じゃないの)

色々と言い返したいけど、今はやめとくよ…。 (見逃されたぜー)



…となると、聖女候補の子達に持たせてあげた魔道具を渡したほうがいいな。


「聖さん、貴女の適性がわかったよ。それをサポートする魔道具を渡すからちょっと待ってね」

「は、はい! わたくしにも適性が…!」

嬉しそうにしてるなぁ。何も扱えないかもと凹んでたくらいだし無理もないか。


急いで作った指輪を聖さん専用にして手渡した。

「いい?聖さんの適正は光魔法、それの最上位に当たる聖魔法なの。適性を持つ人がものすごく少ないレアなものだよ」

「性魔法…?もしかしてわたくしはいやらしい魔法しか扱えないのですか…?」

「え…? ……違う違う! 神聖な魔法。聖さんの名前にもなってる方の”聖“!」

そんなぶっ飛んだ魔法あってたまるか!! (キャンディなら…)

なんでよ…。あの子はミストの使い手だよ? (あー…ウン、ソウダネー)


「ではわたくしはどういった魔法が扱えるのでしょうか」

「そうね、一通り簡単なものは見せてあげるから、現状で理解できそうなものを探してみて。適正のある魔法なら感覚的にわかるはずだから」

「はいっ! お願いいたしますわ師匠!」

師匠呼びはちょっと…。でも取り敢えず今はいいか。やる気出してるんだし。 (………)


聖魔法の一番簡単な部類のものを一通り使って…

「アスカちゃん!? ちょっと待って…今貴女が使った魔法ってまさか!!」

「先生? えっと聖魔法です。最下位のものですが…」

「待って待って…嘘でしょ!? じゃあ貴女は聖女様!?」

あれ…もしかしてまたやらかした!? (ママ言ってたよね、聖魔法を扱える人は?)

かなりレア…。  畜生め!! (大聖女様降臨!!)


ま、まだ大丈夫。聖魔法の最下位魔法を使っただけだし…。 (王妃様と魔王討伐した聖女様の扱える魔法もそのレベルだよ?)

嘘でしょ!? (ほんまやでー)

なまってる場合じゃない!! イアリスさんは最上位まで扱えるから油断したっ!

そういえばこっちの魔法の技術って師匠のところと比べたらダメだった…。 (フィリアータだとアキナさんのところが一番だねー魔法に関しては)

ああもう…。聖さんにやっと適正を見つけてあげられたのに…。


「アスカは大聖女様よ?街規模での祝福はすっごかったんだから!」

「うん! お姉ちゃんかっこよかったよねー」

「お姉様が輝いてたの…」

待ちなさい貴女達!! 今そんな話をしたら…

「そんな…」 (先生、真っ白になって固まったなー)

終わった…。 (ママも崩れ落ちたので、今日はここまでー。そもそもママはコッチだと王女だから平気だと思うんだけどなぁ…)













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