新しいもの
王妃様たちの準備が出来るまでの間に、通信用の魔道具とティー希望のゲームを作成。
今回は新しいものも…。 (なんですと!?)
渡す時に説明するね。 (うっはー!! やったぁ!)
先ずは通信魔道具。
セイントドラゴンとして覚醒した王妃様と婚姻の契約を結んだ旦那様にあたる陛下は、魔力も相当に跳ね上がってる。
だから魔道具のデザインは大きく変えずに、魔石だけは透明にしてコール機能など便利なものを追加しておく。
見た目で一つ変えたのは、魔石を宝石のような形にしたくらいか。王妃様、お気に入りだからね。
「魔石の形が簡単に変わるの意味わかんないよねー」
私の作業を楽しそうに見ているティア。
「でもキレイでしょ?」
「うん! シエルの店でもおいてるアクセサリー、すごい人気だし」
「相変わらず品薄?」
「うん、一人一個まで! って王妃様が制限したけど、私が店を開けると必ずお客さんが来るくらいに」
シエルと一緒に定期的に作り足してはいるけど、まだ売れてるのか。
魔道具としてはかなりお手頃価格にはしてあるとはいえ、普通のアクセサリーよりは高いのにな…。
「服の方は?」
「そっちも値段の割に注文は多いよー。シエルも時々きて、デザインの相談を受けたりしてたし」
私が学校に行ってる間にも忙しくしてるのね。
確かに私にも魔装部分に関しては仕事が回ってきてたけど、まだデザイン段階のものも複数あるのね…。
「聞いた話だと貴族間のパーティとかでペールブルーのドレスを着るってのがステータスになってるみたい」
「ああ。なるほどね」
見栄は張りたいものだからなぁ貴族って。
魔装だから、色や多少のデザインは変わるから…使い回しも可能だもんね。
高位貴族なら複数注文しててもおかしくはないし。
これはアレだ、またアクシリアス王国の街で素材等購入して経済回さなきゃ。
預けておくだけではダメだね…。金額が大きすぎる。
魔道具も作り終わり、ティアとのんびりしてたらみんなの仕度も終わり、私は謁見も兼ねて陛下にご挨拶。
直々に王妃様達のことを頼まれ、通信魔道具に陛下の波長も刻み、お二人に進呈。
多額のお金を渡されてしまい、断ることもできず…。
王妃様からも”受け取って“と言われてしまっては…。 (ギルドに預ける?)
今は買い物する時間もないし、また時間のある時に持っていくよ。
謁見も無事終了、いつもの部屋から転移する。
「アスカおねえさま、しばらくいっしょにいられますか?」
「うん。私が学園に行っている間はティー、リズとお留守番しててね?」
「わかりました!」
「アスカちゃん、どういうことかしら?」
「アルフィーも一人だとつまらないかと思いまして。ティーとリズはお屋敷に残ってくれるんです」
「助かるわ。歳の近い子がいてくれると違うでしょうし」
私もそう思ったからね。ただ待ってるだけより、遊びながら学んでてくれれば尚いい。
ーーーー
ーー
ドラゴライナ王国へ転移。
アルフィーに会えたアキナさんがデレデレになってるな。
「いらっしゃいアルフィー! まだ学校はできてないからごめんね?来るのは許してもらえた?」
「はいっ! おとうさまがいっていいと」
「よかったー。 あれ、じゃあ今回はどうするの?うちでのんびりする?」
「お祖母様、その説明は私から致します」
王妃様がアキナさんに説明している間に私もうちの子たちに説明。
…………
……
「みんな基本は私達のお屋敷に滞在になるからよろしくね」
「にぎやかになるわね。でも護衛が少なすぎない?王妃様もいるのに…」
「リア、そこは大丈夫。お屋敷なら完全に守られてるし、キャンディ達も喚ぶから平気よ」
「それなら安心ね! アリアさん一人では負担がおおきくないかしら?と思ってたから」
お屋敷周辺には警備の騎士様が巡回してくれてるけど、お屋敷内っていうと確かに少なく感じるかもね。 (戦力で言うなら過剰)
「アルフィーはかなりアクティブだからねー。お城でもよくメイドとか騎士と追いかけっこしてるよー」
あの子何してるの。 (ティーに会いに来たり、つまんないお勉強はサボって逃げたり?)
まぁ、そういう時もあるか。まだ幼いし、遊びたいでしょう。
というわけで!
「新作を用意しました!」
うちの子たちに見せるのは二つの魔石。
「また何が始まるのよ…」
「いいじゃん! 絶対面白いよ?リアちゃんもわかってるくせに!」
「うるさいわよ奈々。 それでもアスカはやらかしかねないから不安なのよ!」
ひどいよリア…。 (まぁまぁ…)
いいけどね。子供が学校で遊びながら学べるものとして考えた訳だし。
基本ターゲットは幼い子なんだから。
手持ちのカメプロを設置して、まず一つ目の魔石を嵌める。
床に映し出されるのは最大10✕10のマスの中にバラバラになった道路の絵柄。
今回はお試しだから5✕5。
ゲームを始めると、スタートからグリシア王国のトローリーみたいなトロッコが走り出すから、道をうまく組み替えつつ、いくつかマスの上にあるアイテムを集めてから、ゴールに行かなくてはいけないっていう、スライドパズル。
集めるアイテムは数十種類の中からランダムに指定されて、盤面の右側に表示される。
「いわゆるパズル形式のお使いゲームだね。道のマスは少し魔力を纏わせた手で触れればスライドさせて移動できるから、先ずはやってみせるね」
今回集めるのは卵と生クリームと砂糖。集めるアイテムが食材なのには訳があって…。
「ママ、一緒にやっていい?」
「いいよー。元々何人かで遊べる様にはしてあるからね。やってみたい子は参加していいよ」
一斉にみんな来ちゃったな。わかってたからかなり大きめにはしてあるけど…あまり人が多いと失敗しかねない…。ま、お試しだし、それでもいいか。
理解力のあるうちの子たちは少し説明しながらやってみた私のプレイで把握したらしく、道から外れることもなくトローリーは進む。
途中から私は抜けたけど、本当に器用だわこの子達。
無事に食材を集め終わり、ゴールすると集めた食材で作られた料理の絵が画面に映し出されてクリアー。
今回ならティーの好きなプリンが出来上がる。
集めたアイテムが足らない場合は料理が完成しない。 (多かったら?)
余るだけだから取りすぎる分にはいいよ。ただ…物によっては料理が豪華になるものもあるから組み合わせは色々試してみるといいよ。 (すっげーー!)
プリンならフルーツを追加で取ればプリンアラモードになったり…。 (拾えばよかったの!)
すぐに二つ目を紹介しようかとも思ったけど、楽しそうだし…しばらくは見守るか。
あーでもないこーでもないと悩んでいる姿は微笑ましい。
これ、実はかなり拡大できるから大人でも遊べるし、いいんじゃないかな。
「お姉ちゃん、これ…カメプロで映してるんだよね?」
「そうね。なにか不具合があった?」
「ううん。映してるのを身体で遮ってる気がするんだけど、影にならないから…」
「未亜、それはね魔法だからだよ」
「まほう…」
まぁ実際はカメプロそのものが、投影する時に遮るものがあっても透過してしまうだけなんだよね。
カメプロProは特にスクリーンの投影も自前でしているから、そのスクリーンにしか映らない。
元々のカメプロにも遮るものを透過する術式が仕込んであるから壁や床に映したとして、その前を誰かが横切ったりとかしても問題はない。そうじゃないと街での使用とかに不都合だから。 (未亜が遠い目をしてるけど…)
理屈を説明してみるか…。理解してくれるかはわからないけどね。




