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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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お礼



打ち上げのあった翌日、月曜日。

今日から普通にまるっと一週間の授業が始まるからか、朝から奈々のテンションが低い。

お祭りの終わった後だから無理もないか。

「あー…授業とかくっそだりぃー」

「口悪いわよ奈々」

「だってー! もう私は燃え尽きたー! 文化祭も終わったし、今日から冬休みでよくね?」

「まだ秋だけどね。 ねぇ麻帆、どうにか奈々のやる気出させられない?」

「それが出来るとしたらアスカちゃんくらいよ?」

ふむー…。


「二人とも、週末に魔法学園へ行かない?」

「行く!!」

「前にも誘ってくれたけど、本当にいいの?」

「もちろん。 だから奈々、一週間頑張って」

「わかった!!」

素直で助かるよ。 (素直っていうかさー)

うん? (ちょー単純)

言い方ね?もう少しオブラートに包もうよ。 (あれきらい!)

ああ、飴についてたのを必死にとってたね。 (ビニールみたいだもん)

わからないでもないけど…。最終的に洗って溶かしてたのには笑うしかなかった。 (取りきれないし…)


ガラガラっと扉の開く音に振り向くと、少し息を切らして教室に入ってきたのは聖さん。

「おはようございますアスカ様。奈々さん麻帆さんもおはようございます」

「聖さん、おはよう」

「よっす!」

「おはよう聖さん。今日は遅かったのね」

「自分のお弁当作りから始めようかと思いまして…メイドに教わりながら作っていたら電車を一つ乗り遅れてしまいましたの」

「練習してるんだね。偉いよ」

「そんな…ありがとうございますアスカ様。出来ることから始めてるだけですわ」

「うむうむ。なら私が味見してあげよう」

「なんで奈々が偉そうなのよ。できもしないくせに」

「麻帆もじゃん!」

「うっうるさいわよ…」

不毛な争いだなぁ。 



そんなこんなでお昼休み。 (授業はぽぽぽーいと進みました!)

今日は皆んなと一緒に中庭で食べる予定だから、先に行っててもらう。

「アスカはどこに行くの?」

「ちょっとお花摘み。 場所確保しといてね奈々」

「おーう、任せろー! 麻帆、聖、花凛いくぞー!」

「ちょっと…引っ張らないで!」

「元気だなぁ奈々は…」

「アスカ様、先に行っておりますわ」

「うん、すぐに行くから」

四人と別れ、お花摘み…ではなく保健室へ。

先生、居てくれるといいけど…。



保健室をノックするけど、返事はなく…。

隣の私室の方にノックしたら返事が。

「はーい。体調不良? ちょっと待ってねー」

「いえ、先生。如月アスカです」

「ふえっ!? えっえっ? きゃーっ!」

扉の向こうで何かが倒れる音や割れる音が響き、先生の悲鳴が…。

心配になって扉を開けたら、お食事中だったみたいで、慌てて立ち上がったせいで扇風機が倒れ…テーブルのコップも倒れた拍子に割れたようで大惨事。

「すみません、突然お邪魔してしまって…」

「ううん! いいのよ! いつ来てくれても…。でもちょっと待ってね、すぐ片付けるから」

私も手伝ってこぼれたお茶や、割れたコップも片して、ようやく一息。


「ごめんなさいね、手伝わせてしまって」

「いえ。お怪我が無くてよかったです」

「私、ちょっとどんくさくてね…。それでどうしたの? 体調不良って訳じゃなさそうよね?」

「ええ。先生にお礼をお渡ししたくて…。また奈々に見つかるとアレなのでこっそり持ってきました」

「えっ!? それって…昨日の…」

「はい。私の不注意もあったのに、お手数おかけしてしまい…。ありがとうございました」

「いいのよ。教師として当たり前だもの! 大切な生徒に手を出されては黙ってられないわ」

「たいしたものではないのですが…」

お礼だし、今回はしっかりと包んできたアクセサリーを手渡す。 (昨日作ってたやつだ!)

うん。欲しそうにしてたのは剣だったからね。それをもう少し可愛くして、天然石とかも付けたから。 


「あ、ありがとう…本当にいいの?」

「はい。 私はもう行きますね。奈々にはお花摘みだと言ってきてますから」

「ううっ…ありがとう…大切にするわ〜」

泣くほど!? (顧問だしナー)

ファンクラブのね…。まぁ喜んでくれたならいいや。

奈々に勘繰られる前に戻ろう。



中庭へ急ぎ足で向かい、みんなと合流。 木陰でお弁当を広げる。

「それでアスカちゃん?お花は渡せたの?」

小声で耳打ちしてくる麻帆。 

本当にもう…私の周り、察しのいい子多すぎない? (だからね?)

私が鈍いのを差し引いてもだよ! (あはっ)


「なーに内緒話してんだよー!」

「なんでもないわ奈々。 聖さん、私も味見させてもらってもいいかしら」

「もちろんですわ。アスカ様もよかったら…」

「ありがとう、もらうねー」

少し形は歪だけど、美味しそうに焼けてる卵焼きをもらう。 (また固くない?)

「美味しい…」 (おー)

「本当ですか!?」

「うん。私、甘い玉子焼きより、聖さんのつくった出汁醤油の味付けのが好きだよ」

「良かったですわ〜!」

時々なら甘いのも有りだけど、基本はこっちのがいい。 (ママのもそーだよね)

うん。私好みにしてるし。甘いほうがいい? (ううん! ママの味がいい)

そっか…。ふふっ。


「ねぇ奈々、アスカって時々母性の塊みたいになる時ない?」

「お、おう…それはやな?やんごとなき理由がやな?」

取り乱すな奈々! (余計怪しい…)

「それはアレよ。文化祭に来てたでしょ?幼い子が」

「ああ! え、まさか子持ち!? んなわけないか…親戚の子とか?」

「暫く預かってるみたいで、ものすごく可愛がってるのよアスカちゃん。食事とかも作ってあげてるから、もう立派なお母さんみたいなものなのよ」

「すごっ…。それで成績もトップクラス維持してるんだもんなぁ…。それはみんな惚れるわ〜」

「アスカ様ですし…」

「アスカだしなぁ」

「アスカちゃんだものね」

言われ方…。でも、麻帆に立派なお母さんって言ってもらえたのは本当に嬉しい。 (ママは世界一のママだよ!)

ありがとうティー…。








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