表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

715/772

聖女の衣装に秘密あり



今夜は師匠のところで一泊。

嬉しそうに食堂で夜呑みする師匠にお酌はしたけど、今回はちゃんと客間でうちの子達と過ごした。

前に朝帰りとか言われて散々叱られたからね…。

なによりリズをこれ以上不安にさせたくもないから傍に居てあげたい。


みんなは”早く帰らないの?“って言ってたけど、一応聖魔法を行使できる魔道具を渡した責任として、一度使っているところを確認するべきだとおもうから。



そんな訳で、一夜明けた今日も早朝から聖衣に着替えて、師匠と一緒に馬車で教会へ。

またお留守番させてしまうみんなには申し訳ないけど、こればっかりは…。

「また昼くらいに迎えに来るからな」

「お願いします。手間をかけてすみません師匠」

「かまわんさ。馬車の中だけならこうしてお前と二人きりになれるしな」

それはいいんだ、うん。でもね、これはおかしい!

なんで師匠の膝に乗せられてるの私。しかも向かい合うような体勢で…。

カーテンが閉められてて、中が見えないのをいい事に自由すぎでしょう?


この服、どんな服よりも重苦しいのに…。まるで鎧みたい。

だからなのか、なんなのか…前垂れで見えない部分はロングスカートにがっつりとフロントスリットが入ってて、大きく脚を開いたり、前垂れをめくられたら大変なことになるの!

イアリスさんはそこに手を入れてきた訳だけど…。


「こんな抱え方をして、私は子供扱いされてますか?」

「そう思うか?」

わかんないよ…なにこれ。

「なんだろうな、その姿のアスカを見ていると無性に(けが)してしまいたくなる…」

「言ってる意味がわかりません師匠!」

「清らかな大聖女様なのだろう?アスカは…。そんなお前を私だけのものにしてしまえたら…とな」

目がガチだよこの人! 私何されるの…。


師匠が突然私の頬に触れてきたからビクッとしてしまった。

「いい反応するな…。やはりお前は可愛い」

師匠はそう言うと力いっぱい抱きしめてきて苦しい…。ほんと馬鹿力なんだからっ…!

「…装飾過多の服が邪魔でアスカを感じられん。なんだこれは!」

聖衣です! 聖女様と同じ衣装です!

「師匠、ダメですってば! それ捲らないで…見えちゃう…」

「……下はこんな風になってたんだな」

ううっ…。朝から何でこんな辱めを受けなくちゃいけないのよ…。


それから教会につくまで師匠に散々おもちゃにされた…。

やめてって言ってるのに、言えば言うほど悪化する。

こんなの訓練場で手合わせしていたほうがマシだったよ。


「アスカ、帰りも迎えに来るからな」

「…はい」

師匠の馬車を見送り、教会の裏口から一歩入ったところで乱れた衣装を整えていたら、イアリスさんが迎えに来てくれた。

先触れで来ることは伝えてもらってあったから…。


「…馬車の中で何をされたのです?アリッサ様に」

カンがよすぎない?これだけで察するとかどうなってるのよ。

「昨日、イアリスさんにされたような事です…。この衣装、普段は見えないとはいえ、実はかなり無防備ではありませんか?」

「アリッサ様にバレてしまったのですね。 前垂れは重く、風などでは決して捲れません。ですが、見えないその下はしっかりと女性らしさを忘れていないのです。それがいいと思いませんか?」

もう何言ってるのか全然わかんない。同意を求められても困る。

「そんな顔をなさらないでくだはい。本当のところは、いざという時に困るからです。馬に乗って逃げるにも不便ですから、見えない部分にそういった“もしも”に備えた工夫が色々とされているのです」

なるほど。そういう理由なら納得。


「とりあえず、移動しませんか?本来の目的も果たしたいので…」

「ええ…。ですがアスカ様?今朝はなにやら色気が凄くないですか?」

「知りません!!」

本当にもう! (ママの周りはおっさん化していくの…)

やめてよ…。そういうティーはずっと大人しかったね? (リズと二度寝してて今起きたの)

ならいいけど…。 (分体から報告はもらったの!)

忘れなさい。いいね? (はーい…)

我が子にあんな姿を見られてたとか…。


イアリスさんは今の私をそのまま聖書候補の子供たちに会わせるのはよくないからと、私室でお茶を淹れてくれて、少し休憩。


私、そんなにだった…? (言っていいの?)

客観的に言ってくれるなら。 (ちょーえろかった!)

……決めた。この衣装を着るときは窮屈でも更に下に着込んでおく! (抵抗したらいいのに)

力入んないのよ…。何箇所か触れられるとそうなる部位があるのは最近認識してきたけど、太ももは知らなかったの…。 (とりあえずゆっくりして落ち着いて)

そうする…。


「アスカ様、大丈夫ですか?」

「ええ、なんとか…。お茶を頂いたら落ち着きました。 ですのでそろそろ始めましょう。待たせてしまっては子供達に悪いですし」

「わかりました。では学びの間へまいりましょうか」

お茶のリラックス効果なのか本当に落ち着いたし大丈夫よね。 (うん、普段通り)

子供達の今後に関わる大切な事だからしっかり確認しておかないと。

よしっ!



学びの間で全員に指輪を配り、イアリスさんと二人で実際に聖魔法を見せながら扱い方を伝えていく。

魔道具にしてあるから当然だけど、全員簡単な聖魔法を使う事ができた。

先ずは聖魔法の中でも下位に相当する、僅かな回復や状態異常の解除。

魔道具には作成時に私が魔力を込めておいたから、下位程度なら複数回使っても問題はない。

「えっ…」

「あっ…」

「どうしました? 何かわからない事でもありましたか?」

「そ、それが…」

「称号の通知が…」

「アスカ様!」

まさかよね?


声を上げた二人を魔力ドームで包んで鑑定。 (わくわく!)

…おおう…。 (聖女様誕生?)

うん…見習いだけどね。でも“聖女見習い”の称号がついたのなら、確実に聖女への道は開けた事になる。

「イアリスさん。こちらの二人、将来は安泰ですね」

「……」

フラフラとしたイアリスさんはそのままソファーへ倒れこんだ。

「昨日の今日ですよ…。何なんですか本当に。心臓が保ちません…」


私もびっくりだけどね。それにこれ…どうしよう。 (またなにかやっちゃった?)

聞き捨てならないけど、実際そう。 (わくわく!)

聖女見習いの称号の他に、”大聖女に祝福されし聖女“って称号が…。 (ほらぁ!!)

うう…。 (効果は?)

聖女としての能力値、つまり聖魔法を使うための能力にバフがかかる。 (量産されるつよつよ聖女…)

やめなさいって…。


でも、これらの称号自体には成長速度の補正はないんだよね…。 

あ…、これってもしかして精霊女王になったツキのお陰? (あー!)

まさかのタイミングだったなぁ。またお礼にお菓子でももっていかないとね。 (プリンチュ○ル喜んでたの)

ツキもプリン好きよね。 (おいしいし!)

でも、外で買わなくない?スーパーとかで。 (ママのプリンしか受け付けません!)

そっかそっか! また作るね。 (うんっ)



結局、その日のうちに半数近くが聖女見習いの称号プラスαを手に入れ…、数日後にはティーから全員が称号を手に入れたらしいと報告をもらう事になるのだった。

そのせいか、イアリスさんはお疲れで数日お休みになったとか…。 (教会からの帰りの話はしないの?)

しません!! 師匠のばかぁ……。 (大聖女様へのセクハラで魔剣士団長失脚か! 昼下がりの馬車内で行われた秘事とは!?)

ありそうな見出しやめなさい。実際に私の表情から察したメリアさんにかなり叱られてたからね。 (ついでに皇太后様にも連行されてったの。大聖女様に何したの! って)

師匠唯一の弱点だもんね。 (ママの弱点も判明したけど)

ううっ…。










 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ