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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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師匠の変化



お昼きっかりに師匠が様子を見に来た。

当たり前のようにイアリスさんの私室に入ってくるけど、大丈夫なんだろうか。

ここって教会でも最奥に近くて、教会関係者でも入れる人は限られてるって話だったけど…まぁ師匠だからだな。 (それでいいの?)

師匠は常識なんかでは縛れないもの。 (さすが師弟…)

聞き捨てならないんだけど? (それより師匠の相手しないと…) 

あっ…そうね。なんか不機嫌だし…。 (顔を見ただけでよくわかるね)

まぁね…。

「またお前は! アスカ、私と随分対応が違わないか?なあ? どうしてお前はいつもいつも…」

膝枕してただけでそこまで言われるの!?

師匠だって前にしてきたじゃない、酔ってたけど…。


「…それで、どうなったんだ?」

不機嫌なまま、隣にドカッと座った師匠はそう切り出す。

「私はもう疲れましたよ。アスカ様には驚かされてばっかりです。なのでこうして癒やしていただいておりました。ふふっ…ふふふふ」

変な笑い方しながら太もも撫ぜないで…。くすぐったい。

ご自身も纏っている聖衣だからこそ構造を知ってるのがまた困りどころ。いつの間に手を入れたの…。 (教会で聖女様が二人で何してんの!)

私に言わないでよ…。 ちょ…ほんとにやめっ! 手荒なことできないんだから…っ…んっ。 (ママのサービスボイス入りましたー)

なによそれ…っ…ほんともうやめて…!


「おい、コソコソと何してる! アスカ、用事が済んだのならとっとと帰るぞ。メリアも心配しているし、なによりお前のちびっこ達が待ちかねてるぞ」

「わ、わかりました。 イアリスさん、これで私は失礼しますね」

「仕方ありません…。アスカ様、メリア陛下には包み隠さずお伝えくださいませ」

「はい。イアリスさんもゆっくり休んでくださいね」

「ええ。ここ何日か本当に疲れましたから。でも解決できたのはアスカ様のおかげです。ありがとうございました」

何事もなかったように立ち上がり、深々と頭を下げるイアリスさん。あんな事しといて…!

師匠のいる前では何も言えないけどっ! (まったくーママはやれやれなの…)

私被害者なのに…。


教会の裏口までイアリスさんに見送られて馬車に乗り込む。


「…私はこっちのがいいな」

師匠は馬車に乗るなり私の頭を掴み、自身の膝に寝かせた。かなり強引に、だけど。

「師匠…!?」

「いいだろう、これくらい。城につくまでだけだ」

恥ずかしいけど、嫌ではない…かな。

ただ、師匠に甘えた経験が一度もないからどうしたらいいか、頭が混乱してる。

師匠自身、私を撫ぜる手つきが物凄くぎこちなくて、本人も慣れないことをしてるんだなぁと思ったらちょっと落ち着いてきた。


「師匠、無理してませんか?」

「…当たり前だ。恋人などお前が初めてなんだぞ?全てが未経験の領域だ。だがな?お前とふれあいたい、傍にいたいと思う気持ちは本物なんだ。不慣れなのは許せ」

「…はい」

不器用な師匠なりのスキンシップなんだと思ったら嬉しく思える。昔からは想像さえできないなぁ。

会話さえ剣でって人だったから。修行時代の自分に言っても、絶対に信じないだろう。 (あぁ?ふざけんなよ。バカにしてんのか…?)

…言いそうだからやめて。なんで当時の私のモノマネさえできるのよ。 (ふふんっ)


ぎこちない師匠とのスキンシップはお城につくまで続き、少し気恥ずかしかったけど、メリアさんに報告するため移動する。

師匠も照れくさいのかこっちを見ないし…。


メリアさんの私室に向かう途中、シャーラに会った。

「アスカお姉ちゃん、ユウキから伝言を聞いて来てくれたんだね」

「うん、ありがとね、忙しかったんでしょう?」

「まぁねぇ〜。ほら、聖女候補として入ってきた子たち、あの子達の身元をね」

「ああ、問題なかったんじゃない?」

「うん! 家族を血族にあたる六等親まで調べたけど問題なし! こちらへ来るまでの付き添いや護衛も裏はなかったよ。まぁ大聖女様相手に無礼なことを考えるのは愚か者だけだよね」

戸籍とかもない世界でよくそこまで調べたな。さすがシャーラ。当然一人ではなく暗部も動かしてるんだろうけど、この短期間でよく調べてる。

「ボクも陛下に報告に行くから一緒に行こうよ」

「そだね」


シャーラの事だし、私が報告する内容すら把握してそうではあるけど…。いや、さすがに教会内は無理か?出来たとしてもさっきは人の気配もなかったし。

「ところで、この人どうしたの?いつもと雰囲気違いすぎない?」

「…お疲れなんだよ。師匠もね」

「またまたー。どうせアスカお姉ちゃんが何かしたんでしょ?」

「してないよ!」

私からはなにも…。

「ま、いいけど!」



部屋へ向かう間、師匠はシャーラに話のネタにされてても黙り込んでるからよっぽどだよ。こんなのシャーラじゃなくても不自然だってわかる。

「陛下、シャーラです。報告に参りました。アスカ様も一緒です」

「どうぞ」


部屋に入るとリズが駆け寄ってきた。

「お母様、おかえりなさいなのです。 精霊さんたちと遊んできました!」

「ツキかな?」

「はいっ! メリアお母様に案内してもらったのです!」

「ちゃんとお礼は言った?」

「はいなのです!」

偉いねって撫ぜてあげたら嬉しそう。


「メリアさん、ありがとうございました」

「かまいません。アスカ様のお子様なら私にも大切な子ですから」

聞き流してたけど、メリアさんの事もお母様って…。もう今更だけど、本当に大丈夫なのだろうか皇帝陛下として。


ツキのお陰で城の周りの畑が早い段階で本格的に稼働しはじめて、今では食用ではない花もきれいに咲いているんだとか。

リズ達はそこを案内してもらってきたそう。前は花が見れたのなんて城の中庭くらいだったもんなぁ。

こちらは国も情勢も随分落ち着いてきた証なんだろう。


「では報告を…って、どうしたのです、アリッサは…?元気ないですけど」

「い、いや。私は部屋の外で待機している」

師匠はそう言うと、さっさと出ていってしまった。

「……アスカ様、何があったのです?」

「えーっと、報告しますね」

「先にアリッサの事です!」

優先順位ー…。 (メリアさんにとっての最優先事項)


やむを得ず、帰りの馬車での出来事を話す。細かいところは伏せておくけど…。

「あのアリッサが…。ふふっ、そうでしたか。あの戦う事しか頭になかったアリッサが…。これで少しは落ち着くといいのですが」

それはそれで師匠っぽく無いなぁと思うのは私だけかな?


ようやくメリアさんも納得したようなので、本題に入る。 (本題?)

聖女関連だよ! (あー。そだったね)

ティーまでポンコツに…。 (がーん! ママにポンコツ言われたの…解せぬ)

ひどくない!?








誤字報告ありがとうございました。

「ティー姉、確認不足なのです!」

「ティーのせいじゃないのにー。それよりリズ、ちゃんとお礼言わないと」

「そうなのです! ありがとうなのです!」

「助かったのー。ありがとうでした」

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