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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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秘密の契約



集まった子供たちに、イアリスさんは順を追って説明していった。 

現状は聖女の適性はなく、このままでは聖女になるのは不可能だ、と。

その上で希望を示すのね…。 (なんでそんなことを…)

修行に時間がかかる可能性があるから、かな。 (かかるかなー)

おそらく年単位でかかるでしょうね。 (いやーどーだろ)


「大聖女様のお力で、貴女達も聖女として覚醒する可能性にかけてみますか? その代わり、大きな秘密を抱えることになります。当然、覚醒できない可能性もありますが、その場合も秘密は守って頂きます。それに聖魔法というのは魔力の消費も激しいのです。いくら魔道具で補助していただいたとしても枯渇の可能性は常について回ります。 魔力の枯渇、その意味はわかりますね?」 

………。(枯渇するの?)

私の魔道具はどれも一度魔力を込めてから使う訳だし、込めるにも枯渇が起こらないよう安全装置はつけてあるよ。 (ふふーん♪)

ただ、それくらいの覚悟があるのかをイアリスさんは知りたいんじゃないかな。 (あー)

なので私は黙っておく。


「私達は今のままでは聖女様になる資格が無いと…そう仰るのですね…」

そこはやっぱり気にしちゃうよね…。落ち込むのは当然だよ。その為にすべてを捨ててここにいるのだから。

「そ、それは…資格のある無しではなくてなくてですね…?」

言い淀むイアリスさん。ここは私の出番かな。


「それについては私が説明するよ。 貴女達も全員、僅かだけど可能性はあるの。イアリスさんの様に才能を開花させれば成れると言う程の適正ではないから、この魔道具で可能性を大幅に底上げする…つまり貴女達の眠っている力を最大限引き出せる魔道具なの」

「全く可能性がないわけではないのですか?」

「うん。この中にそういう子は一人もいないよ。全く可能性がない場合は、たとえこの魔道具を使ったとしても聖女には絶対になれない」

全員それを聞いてホッとした様子。


「ありがとうございます、アスカ様…」

「私の作ったものですから」

一度、全員に魔道具となる指輪をはめてもらい波長を拾う。

修行次第で聖女として覚醒、そして扱える聖魔法も頑張り次第で増えていくと伝える。

当然、個人にしか扱えないよう魔刻刀でしっかりと波長も刻んだし、もし他の誰かが使おうとしても絶対に不可能。


「いいですか?そちらは大聖女様から賜った聖具です。本来なら個人が持てるようなものではありません。それ一つで国さえ買えるような値段が付くでしょう。決して無くすことなどないように」

「「「「は、はいっ!!」」」」

そこまで脅さなくても…とは思うけど、口は出さない方がいいか。 (事実だし)


「最後に、私と契約をしていただきます」

え…?それは予想外! (うーん?)


「拒否する権利はありませんし、もしどうしても拒否するというのなら、この場でその命を捨てて頂きます」

ちょっと…!?それはあまりにも…。

「イアリスさん?」

「(お任せください。悪いようにはいたしません)」

何か考えがあるのね…。


数人、契約と聞いた時点で魔力が大きく乱れた子がいたけど…、さっき鑑定で見た限り、スキル等にも不穏なものはなかった。そもそもそんな子を教会にいれるはずも無いだろう。

びっくりしただけか…怯えたのかも。まだ幼いものね…。

命を〜の下りでは全員乱れたしな。無理もない。


イアリスさんは、前に私がメリアさんのところで学ばせてもらった血の契約を子供たちと結んだ。

全員、嫌がる素振りも無い。

これはつまり、そういう事だよね。秘密は明かせないし、イアリスさんに危害を加える等、裏切ることも不可能。

一番安全ではあるけど、子供相手に少し酷なのでは?と思ってしまう。


「明日から聖魔法の訓練を始めますから、今日は身を清めたら速やかに休息をとるように。いいですね?」

「「「「はい」」」」


修行の時以外、指輪はイアリスさんが管理するからと一度預かり、子供達を退室させた。

イアリスさんもストレージは持ってるから大丈夫だろう。


大切そうに指輪を仕舞い込んだあと、イアリスさんは説明してくれた。

「今はまだ世界情勢が不安定でして…。他国から修行の名目で来ている子達も、元々は国交のない…つまり友好国ではない国の出身の子もいるのです」

「それで念の為、という訳ですか」

「ええ。疑いたくはありませんが、スパイの可能性も捨てきれません」

「鑑定で見た限りその心配はありませんでしたよ?」

「え…?」

「ですから、全員が普通の女の子です。スキルも家事スキル系統や農業、裁縫等といった平和なものしか持っていませんでしたし、光魔法への適正以外は魔法の適性もありませんでした」

「……そういう大切なことは初めに教えてくださいませ…。 でもまさかそこまで鑑定でわかるものなのですね」

「すみません…。 魔道具による鑑定と違い、深層まで探ってますから。悪意を持ってここにいる子はいませんでしたよ」

「安心いたしました。 もし教会から不穏分子が生まれた、なんて事態が起きてしまったら…アスカ様にもメリア陛下にも合わせる顔がありませんでしたから…」

そこまで考えての行動だったのね。


「心配されるような子はいません。 ただ、数人…契約と聞いた時点で魔力が乱れた娘がいましたから、怯えているかもしれないので、気にかけてあげてください」

「わかりましたわ。やましい事があってというわけでは無いのですね?」

「ええ。そのような兆候は何も」

心底安心したのかイアリスさんはソファーにぐったり。

あまり人に見せられない姿だけど大丈夫? (聖女様にも休息は必要)

うん、間違いないわ。


「アスカ様ぁ…少し甘えさせてください! 本当にもうですよ! もしもに備えて気を張っていたのに…」

「ごめんなさい!?」

甘えるといっても膝枕くらいなら構わないけども。

撫ぜてあげると嬉しそうにするのはみんな同じよね…。 (むー)



そもそもがあの魔道具は安全面について徹底的に対策してあるんだけど…。それも今言ったら叱られそうだ。 (何したの?)

さっき波長を取るために一度装着した時点で、私が解除しない限り二度と関係者以外には秘密を話せない。

今みたいに指輪を外しててもあの場にいたメンバー以外には話そうとしても声にならないよ。

だって…もし悪意がなくてもポロッと話されたらイアリスさんに迷惑がかかるからね。 (教えてあげてよ先に!)

それはそうね。でも、効果の説明義務はあるとしても、こういう安全対策は本人達に知らせないほうが良いものでしょ? (うん…。でも聖女様にくらいは)

全くもってそのとおりです。 説明する暇がもらえてたならね? (あー)

まぁ、イアリスさんも子供達を呼びに行ってる間に完成してるとは思わなかったようだけど。 (結局はママのせい)

うぐっ…。 後でメリアさんには伝えとく…。 (あははっ)







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