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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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結局やっちゃった



未亜と少しだけ中等部の教室を見て回り、遅くならないうちに自身の教室へ戻った。

麻帆が“なるべく早く戻ってきて”と言っていたからね…。

「お姉ちゃん、私まで高等部(こっち)に来てよかったのかな…」

「大丈夫よ。出入りは自由なんだから」

普段は中等部と高等部の行き来はしないからね。とはいえ別に禁止されてもいないのだけど、教師や生徒会くらいしか出入りしないのも事実。

私だって高等部に上がってからは、あちらへ入ったのは未亜を迎えに行った時くらいか。


うちの教室の前には出かける時よりもすごい人の数。

何事かと思い、覗くと中にもすごいお客さん。

今は、通常状態だからギルド風の内装になってて、聖さんが一人で受付をしているはず。

私も受付に入らなきゃと思い、未亜には自由に見て回っていいと伝え、着替えに行く。

何よあの人数!? 校内の生徒の殆どが来てるんじゃ?ってレベルだった。 (さすがにそれは…でもすごい人だった)

だよね!?

ティーと話しながらも急いで受付嬢スタイルに着替え、教室へ戻る。


「アスカ、こっちこっち!」

奈々と花凛が人混みを分けてくれて、なんとか教室内へ。

「ありがとう、助かったよ」

「それはいいから、受付お願い!」

「わ、わかった!」


受付は聖さんだけだし、大丈夫かな?と不安になったけど、そっちには意外と人がいなかった。

対応してくれてたんだね。ありがとう。 (いやー…) 

「聖さん、ごめんね。一人でやらせてしまって」

「大丈夫ですわ。でも来ていただけて心強いです」

私が受付に入り、座った瞬間、行列ができたのは何故…?

「やっぱりこうなりましたわね。皆さんお待ちになっていたみたいで、わたくしは暇でしたの。サポートは致しますから頑張ってくださいませね」

何が何やらだけど、急いで対応していく。


カードに名前と職業を書くための鑑定…。

順番に名前を聞きながら鑑定をしてフィーリングで鑑定小道具のライトをつける。

「剣士様ですね、お名前は…? わかりました……。 はい、できましたよ。今後のご活躍をお祈りしております」

こんな感じで次から次へと対応をしていく。

そのおかげか、徐々に人が減っていった。どうやら食堂を利用した後の名前書きの為に待っていた人も多かったよう。

未亜もプリンチュ○ルをお土産にといくつか購入したようで、受付に来てくれたから記入と鑑定をしてあげる。

「未亜さんは聖女様ですね。冒険者の方々のサポートよろしくお願い致します」

「は、はいっ! ありがとう、お姉ちゃん…」

「いえいえ。構えなくてごめんね」

「ううん。これは仕方がないよ」

未亜は自身の教室に戻ると言って手を振りながら去っていった。



「そろそろお昼の準備だから、一旦お客さん止めるわよ」

「あ、私も手伝うよー」

接客をしていた麻帆と花凛が次の準備を始めているのを見ながら、残りのお客さんの対応をして、また着替えるために更衣室へ走る。

その間に教室は召喚部屋と、おもてなしをするテーブルへと模様替えされているはず…。

受付嬢から王女へ〜と大きな変化があるのは私くらいなもので、みんなは衣装チェンジもないからな。


着ていたものを一旦ストレージに放り込んで、王女のドレスに着替える。

「アスカ、大丈夫そう?」

「花凛? うん、今着替えたから教室に行くよ」

「はやっ! ならエスコートするよ」

更衣室を出ると花凛が待っててくれて、宣言どおり教室まで連れて行ってくれた。

廊下には生徒が沢山いて、目立つものだから助かったよ…。



「教室は準備できたんだけど、お客さんが大変なことになってて…」

「もしかして生徒会?」

「だけじゃないよ! 見たらわかる」

少々げんなりしてる花凛。先着だからそんなに人が来ても…と思ったのだけど、いざ教室に戻ると目眩がした。

さっきの比じゃないんだもの。



「これだけ人がいるのですから抽選にしてもらえないかしら?」

「だね〜。出来たら定員も増やしてほしいけど〜」

生徒会長と副会長が無茶を言って、みんなが困ってるし…。

「あ、花凛、アスカ! どうしよう?」

「奈々、それを私に言われても…。アスカ、どうにかして!」

えーっと…。


今考えられる対応としては……

「とりあえず明日使う整理券を使って抽選にして、鑑定の時に回収させてもらうしかなくない? 料理に関しては対応してくるから、その間に抽選をしてて!」

明日は二回に分けて抽選するから整理券の数は多い。

公平にするため、整理券の番号でランダムに抽選をする。これは、便利なアプリがあったからメイド役をしている数人の子がそれをスマホに入れて対応する。

問題は料理だ。


急いでキッチンに行く。

「アスカちゃん、手伝うわよ」

「麻帆、それなら人払いして! ここに誰も近づけないようにしてもらえると助かる」

「あぁ、わかったわ。奈々にも手伝わせるわね」

「お願い!」

一応、人が近づかないかの確認は自身でもするけど…。 (ティーも見とく!)

ありがと、助かるよ。



急いで下ごしらえから仕上げまで…魔力ドームや魔法を使ってやってしまおう。

明日の材料が足らなくなるかもだけど、そうなったらスーパーで仕入れ直すしかない。 (抽選で増やすのは十人までにしたって!)

ほんと?ならなんとかなるかも…。 (結局やっちゃったねぇ)

やむを得ないから許して…。 (あれは仕方ないの。無茶振りした生徒会のせい) 

ほんとよね。 (その代わり抽選の発表に校内放送使っていいって)

有り難いけど職権乱用レベルでは…。


調理中に花凛の声で校内放送がかかり、当選者の番号が読み上げられた。

これなら間違いもないし、助かるけど…。


ティーから伝えてもらった通りの数、十人分が完成するかってタイミングで、麻帆が確認に来てくれた。

「アスカちゃん、増えたのは十人よ…ってなんでぴったり十人分が出来てるのよ!?」

「説明はあと! ここからはメイドの麻帆達に任せるからね。私は行かなきゃでしょう?」

「そうだったわ! あーもう、生徒会のせいよ…」

間違いないわ…。


私は慌てて教室に戻り、まずはみんなでテーブル等の追加。

それから王女としての寸劇をやり遂げ、メイドの子達がしっかりと対応もして、食事も問題なく行き渡った。

最後に私が鑑定とギルドカードを渡し、引き換えに整理券の回収。

アクセサリーも予備分が無くなってしまう! と小道具係の子達が項垂れてる。

余ったら欲しいとか言ってた子がいたからなぁ。


騒ぎの原因となった生徒会だけど、殆どが抽選に外れたらしい。

唯一当選したのは副会長。

鑑定する列の最後に並んでて、ギルドカードもSランクを当てていた。

「私の職業は何かな〜?」

すっごい圧。あと顔が近い…!

もうイメージとしては魔王なんだけど…。 (あははっ)

さすがに言えるわけもなく。

「適正は魔法使いですね。カードへの記入はどうされますか?」

「もちろんお願い〜。聖女じゃなかったかぁ…。それ、どうやって決まってるの〜?」

「…適正は生まれ持ったものですから」

「…ふ〜ん。ま、いいけど。 ねぇ、それより〜…」

「記入終わりました。今後のご活躍を期待していますね」

「あ…う、うん。ありがと〜」

なにか言いたそうだったけど、切り上げさせてもらう。何かねっとりしてるんだもん副会長…。怖い。


まだなにか話しかけようとしてたみたいだけど、生徒会長が来て回収されていった。

すっと外野として生徒会の人達見てたもんね…。

「もう終わったわよね! 他の人達の迷惑になるから行くわよ」

「あ〜! せっかくのチャンスが〜」

「魂胆なんてお見通しよ?人目のあるところでナンバー2が規約を破ろうとしない!」

「あ、あの!」

「…何かしら?」

「明日も抽選ありますから是非また来てください」

「…っ! ええ。そうさせてもらうわ」

明らかに不機嫌だったし、私にできるのはこれくらいか…。

とはいえ、明日は外部の人達も入るし、生徒会にそんな暇があるかは知らないけども。












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