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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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リハーサル 後編



メインの寸劇は一通りやってみたから、次は突発で行う寸劇。

こっちの場合は、教室内がギルドと併設された食堂っていう雰囲気で、私と聖さんはギルドの受付嬢になって教室前方に設置されたカウンターに座ってるだけ。 (ママたちが選ばれた理由は言わずもがな)

多数決だったんだよ! (受付嬢の制服かわいいの)

それは、うん。奈々と麻帆が監修で、花凛達が頑張ってたし。 (ちゃんとそれっぽい)

ディアンドルっていう民族衣装をアレンジしたらしいよ。 (ほえー)


他の生徒は(たむろ)する冒険者って格好でうろついてたり…。

ウエイトレス、ウエイターとして接客する子達は忙しくなる。 (こっちの劇は?)

えっとね、私は知らされてないのよ。 (それ、大丈夫?)

さぁ?私は座ってればいいって言われてるし。


「よっし、じゃあ料理担当の子達はこの後の準備初めてね。 “トラブル1”を演じる人は準備お願い」

不穏なワードが! (ほらぁ!)

だって! 私は料理の下準備とかも手伝ってるから、こっちは座ってるだけでいいって言われたんだもの!


何が始まるのかとハラハラしてたら、男子生徒がケンカを始めた。

「低ランクのくせにいきがってんじゃねぇ!」

「…高ランクなら言動に余裕を見せたらどうです? 弱く見えますよ?」

「てめぇ!!」

怒ってる高ランク?の冒険者が腰の剣を抜くか…って所で相手の抜いた剣が喉元に突きつけられるる。

「なっ…」

「敢えてランクを上げてないだけでしてね」

うわー…なんかすっごい嫌味なキャラだな! (ぷぷっ)


「いいね、いいね。なんかどっちもウザくていいよ!」

「ひどっ! 誰だよこのシナリオ書いたやつ」

「何?文句でもあるの?」

奈々かよっ! (あははっ!)


「はいはい、次は…“依頼を受ける冒険者1”ね」

「はーい! すいません、この依頼を受けたいんですけど」

奈々が突然私にそう言いながらメモを渡してきた。

「…え?」

「(適当に受付して処理する感じでいいから。見慣れてるでしょ?)」

座ってればいいだけでは!? (こうなると思ったの…)

もう…。


「…こちらの依頼ですね。ギルドカードの提示をお願いします」

「はーい」

手渡してきたのは、麻帆と小道具を作ってる子達渾身のファンタジーっぽいカード。

ランクに合わせて違う色で、表には名前と職業が書かれてる。

「Aランク確認しました。依頼頑張ってくださいね。無事にお戻りになられるのをお待ちしております」

「任せろー!」

元気に教室を出ていく奈々。 (Aランクなのウケる)

だって金色のカードに、Aって書いてあったし。

ちなみにこのカード、食事をするとランダムでS〜Fのどれかがもらえる。名前と職業は自分で書けるように空欄だけどね。 (ほうほう!)

「あ、アスカと聖さんは、カードに記入希望のお客さんがいたら書いてあげてね」

「わかりましたわ」

「わかったよ…」

おい、花凛。座ってるだけでいいって言ってなかったか!? (受付嬢は忙しい)

…確かに。私もいつもお世話になった。


「他のは各自練習しておいてね! 今のでおおよその流れはわかったと思うし」

「花凛、全部やんないの?」

「時間もないし当日のお楽しみ! アスカと聖さんは合わせてくれればいから」

無茶振りがすぎる…。

「わかりましたわ! 楽しみですわね!」

「う、うん…」

私は不安しかないんだけど。 (わくわく!)

文化祭初日の、お客が生徒だけって状態の時に慣れるようにしよう…。



「次は料理だけど…。担当の子は試食用に一通り用意してくれたんだよね?」

「もちろん! アスカちゃん監修だからめちゃくちゃ美味しいよ。見た目もすっごいから!」

確かに“どうしたらいい?”って聞かれたから答えたりはしたけどそれで監修したことになるの? (サラダ以外は飾り付けの見本も、味付けもママなんだからそうでしょ)

だって! 料理担当なのに料理できる子が殆ど居ないんだもの! お客さんに出せないようなモノが出来たらどうするのよ…。 (得意な子が名乗りあげたんじゃ…)

自称だったの!! できる気がする、とかそんな感じの。 (うわぁ…)

なんか料理できるアピールをしたかった娘とかもいたな…。 (なんだそれ!) 

クラスに気になる相手がいるからって言ってた。 (あー。上手くなった?)

コメントは控えさせてもらうよ…。 (ごしゅーしょーさま)


最大戦力は小料理屋の子で、跡を継ぐから〜と日々修行してるその腕はかなりのもの。

ただ、和食がメインの店だから洋食はあまり経験がないそうで…。それでも基礎ができている分、全然違った。


「先ずは前菜ね。生野菜サラダと温野菜サラダなんだけど、盛り付け次第でこんな感じになりました!」

異世界っぽく! って調理担当が悩んでたのを奈々と一緒に、普段やんない盛り方したら?と伝えて…。

そのお陰というのか、そのせいでと言えばいいのか。独特な見た目になった。 (アレがいせかい…?)

まぁ地球っぽくはなくない? (それはそう)

蒸したジャガイモにスティック野菜が刺さってたり、ソースも見た目だけは色が凄い。 (真っ赤で辛そう!)

食紅をマヨネーズに混ぜたのよ…。辛くはないから大丈夫。最初は青とか混ぜてて、食欲失せる色してたからそれよりは…。 (あー…)

いざ出してみて、クラスメイトには面白いって評判ならこれで良かったんじゃないかな。

料理の腕は上がらなかったけど、見た目にインパクト出せて満足そうならなにより。 (その子かぁ…)



「メインは骨つき肉と、トロットロに煮込んだビーフシチューだよ」

骨つき肉は大きくないとつまらないって話だったから…。 (ほんとにでっかい!)

でしょ? でもあれ、実はハンバーグ…。 (え?)

実際に骨つき肉を仕入れようかって話になったけど、大きなのは当然高くてね。

骨部分はそれっぽい形に型抜きしたパンをカリッとトーストして刺さってるだけ。逆に言えば全部食べられる。 (おー!)

ビーフシチューの方は圧力鍋で肉を柔らかくしてるから本当にトロットロよ。 (ゴクリ…)

ドラゴライナ王国でメイドさんが作ってくれたのをこちらの素材で再現してある。 (未亜もつくってたやつ!)

それそれ。私なりに再現したものだから微妙に違うけどね。 (どっちも食べたい…)

抽選、当たるといいね? (ぐぬぬ) 



「最後はデザート! 可愛らしく飾り付けしたよ!」

まだ昼間は暑いからね、手作りのアイスクリームと… (あっちのなに!?)

なんだと思う? ティーの好きなのだよ。 (じゃープリン!)

アタリ。見た目ではわかんないでしょ? (うん!)

持ち運べるデザートって感じで、パックできる袋に液を充填して蒸して固めてるの。 (ちゅーって吸えそう)

まさにそれ。異世界で冒険に持って行っても手軽に食べられるデザートってコンセプト。

だから持ち帰りもできるよ。 (面白い!)

麻帆と試行錯誤して考えたデザートだからね。袋そのものは百円均一でお菓子用にいっぱい種類があったし。



すべて出揃った所で、少量ずつだけどみんなで試食。

「サラダ類以外はアスカさんのレシピだから感謝して味わえよ!」

実際作ったのは貴方だけどね。 (小料理屋の子?)

そう。一応調理するための会話はしてたんだけど、必要最低限だったんだよね。話しかけるとビクビクするんだもん。 (あー…)  

男子とは結局ほとんど仲良くなれなかった。みんな要件だけ伝えたら逃げるように去っていくし、話しかけてもビクビクしてて、なんとか答えてくれる程度。

私が未だ魔王のせいだろうか?と本気で悩んだくらい。 (……笑)


「…美味しい。すっご…トロトロ…」

「ハンバーグ美味い、もっと食う」

みんな語彙力どこやった…。 (気持ちはわかるの)


「プリンチュ○ルは数がないからジャンケンしろよ」

「「「「「…!!!」」」」」

そんな真剣にならなくても…。 (これは当日真っ先に来なきゃ)

たくさん数は用意するよ? (多分足んない)

さすがにそれは…。

…ないよね? (………)








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