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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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買い物は見て回るだけでも楽しいよ



「市場での用事はすんだから鞄を探しに行こうか?」

「やった〜!」

「ではご案内いたします」

「お願いしますね」


市場通りから横道に入ると急に静かになる。

やっぱり市場の活気は凄かった。

「この辺は市場で働く者の住宅街になります。ここを抜けると服やアクセサリーなどの店が多くなります。 所謂職人通りですね。以前行ったユリネお勧めの店もある通りです」

「ギルドの通りにも似たようなお店がありましたけど、違うのですか?」

「あれはメイン通りですから、腕のいい職人や、ギルドがあるので冒険者向けの店が多いです」

「なるほど。そういえばアクセサリーも魔道具でしたね」

「はい」


ギルドのあったメイン通り、市場通り、職人通りと大きな通りを三つを一日で私達は歩くことになる。

「ここの職人通りは一般向けのアクセサリーや服飾品が多いので、アスカ様が魔道具を作られるのでしたらこちらのがよろしいかと」

「アリアさん、ありがとうございます」

「はっ」


確かにこっちはメイン通りと違って普通の服やアクセサリーが並んでる。

質もピンキリだけど…。

魔道具に仕立てるなら普通の鞄で未亜ちゃんの気にいるデザインの方がいいからありがたい。


「未亜ちゃん、気になるお店があったら入っていいからね」

「わかった〜!」

私の腕を引きつつ歩く未亜ちゃんはキョロキョロとお店を探す。


まぁもし、今日見つからなくてもまた来たらいいし、ゆっくり未亜ちゃんに合わせよう。




何店か入ってみてみたけど、気にいるものが無かったみたいで落ち込んでる。

「未亜ちゃん、焦らなくていいからね?また来たらいいし。お気に入りを見つけよ?」

「うん、ごめんね。あちこち行ったのに…」

「気にしなくていいよ。そういう時もあるからね」


「申し訳ありません、お役に立てず…」

「アリアさんも! 何も悪くないどころか今日はあちこち案内してもらって。ありがとうございます」

「はっ、しかし…」

二人とも気にしすぎ!


「ほら、また来ればいいんだし。その時はまたアリアさんのお世話にもなりますから。 ね?二人とも今日は帰ろう。もう夕方だし」

「そうだね、またお姉ちゃんとお買い物来れるって思えば…」

「確かに…」

二人とも納得したようで何よりだよ。



「では、馬車までご案内いたします」

「お願いします」


少し距離があったので、アリアさんが馬車を捕まえてくれてそれに乗ってきた。


門に止めてあった馬車に戻ると見知った顔が。



「良かったです〜合流できました」

行きに一緒だった騎士のルニアさんだ。


「ルニア、もう少しゆっくりしていても良かったのだぞ?」

「いえ、姉も出発しましたし、幼馴染みと話もできたので大丈夫です」

「そうか、ならば一緒に城に戻るとしよう」

「はい、隊長」



ルニアさんの操る馬車に揺られ王城へ。

夕焼けに染まる穀倉地帯の麦畑は本当にキレイで…未亜ちゃんと言葉も少なく見続けていた。

気がついたら王城に到着していたってくらい見惚れてた。


「到着しました〜。お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

ルニアさんにお礼を言って馬車をおりる。


「アスカ様!」

うん?ルニアさんに呼び止められる。


「今日は本当にありがとうございました。おかげで姉や幼馴染の事もこれで安心できました」

「いえ、元は私にも責任がありますし。 でも…良かったです」

「はいっ!」

そう言って深く頭を下げてくれたルニアさんの表情は行きと違って晴れやかだった。



「ルニア、馬車を戻しておいてくれ。私はこのまま報告に向かう」

「了解です!」





ルニアさんと別れ、アリアさん、未亜ちゃんと自分の部屋へ。

自分の部屋って言うのもアレなんだけどね。


「では、私は一度王妃様へ報告へ向かいます。その間は別のものが部屋の外で待機しますので何かありましたらその者にお申し付けください」

「あ、アリアさんちょっと待ってください」

「はっ」


ストレージからお昼に買ったタルトを取り出す。

「これ、食べてください。今日も一日ありがとうございました」

アリアさんに手渡すが…何やら様子が?


「あ、あ、ありがとうございます! 私のために…。家宝にします」

「いや、食べてくださいって。傷んじゃいますから」

「…はい。本当にありがとうございます。この御恩は必ず!」

いや、それも私のがいっぱいお世話になってるからね?

そう思いつつも口には出さない。言っても絶対否定されちゃうから。


「ちゃんと食べてくださいね?」

「わかりました。ではまた後ほど」

扉をでるアリアさんを見送る。廊下から何やら奇声が聞こえたけど気のせいだよね。


「アリアさん喜んでくれてよかったね、お姉ちゃん」

「だね、ただちゃんと食べてくれるか心配だよ」

「あははっ」

お礼にお菓子じゃなくアクセサリーとか作ろうかな?それなら持ってても大丈夫だし…。

タルトが傷む前に考えよ。



はっ! 

「未亜ちゃん、扉開くよ」

タタタタ…バーン!


「アスカ様お帰りなさいませー!」

「ただ今戻りました」

王女様の魔力酔いも治まったようで良かった。

以前より顔色も良いような?


「聞いてくださいっアスカ様! 魔法が思い通り使えるようになったんです!

王宮魔術師の方もビックリしてました。これもアスカ様のおかげです! なんてお礼を言ったらいいか」

良かったー。魔力制御が上手くできないって話が出てたとき本当にツラそうだったから。


「その笑顔が見れただけで私には充分です。本当に良かったです王女様」



「アスカちゃん、なんてキザなセリフ…。うちの娘を口説く気かしら?」

王妃様来てたのですね、バーンってしないから油断してた。

ふふふって笑いながらなんて事言いますか。


「そんな…アスカ様〜。でも私アスカ様なら…」

ちょっと! 王妃様が変なこと言うから、王女様がクネクネして変なこと口走ってる!


「お姉ちゃん…?」

「ひぅ…」

未亜ちゃん…目が、目が怖いから。目だけ笑ってないから。


話題、話題を変えないと…。

あ、そうだ。



「今日アリアさんに紹介してもらったお店で王妃様と王女様にお土産を買ってきたんです」

「なにかしら?楽しみね」

「アスカ様に頂けるものでしたら、それだけで〜」

まだ王女様がちょっとアレだけど…ストレージからイチゴのタルトもとい、ベリータータだっけ?

を取り出してワンホールずつ手渡す。


「スイーツ好きな未亜ちゃんのお墨付きです。食べてください」

未亜ちゃんも横でうんうんって頷いてる。


「ありがとう、アスカちゃんも、未亜ちゃんも。後でゆっくり頂くわ」

「ありがとうございます! 凄い。こんなにベリーがいっぱい」

二人とも喜んでくれたようで良かった。

メイドさんを呼んでタルトを渡して冷やしておくように指示してる。抜かりないね。

あ、メイドさんと言えばあの人のこと忘れてた…。 (アイツはアスカを押し倒したし、もうご褒美貰ったようなものじゃん)



「もう少ししたら夕食の仕度ができるけど、その前に昼間の報告だけお願いできるかしら?

アリアからも報告は聞いたけどあの子も全部を見てたわけでもないでしょ?」


あ〜…。ギルドでの事かな。

怒られるかもだけど嘘つく気はないし、話しますか。




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