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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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学園とクリスマス

クリスマス番外編です。24日、25日にも投稿しますのでよろしくお願いします。



「みんな聞いてー。今回はちょっとハードスケジュールだから事前説明させてね」

「お姉ちゃん、急だね? 緊急事態?」

「ううん。イベント! ティーからの報告で、二箇所行かなくちゃいけないのよ」

「ふふーん。みんな待ってるのー」

家族に集まってもらった私は、みんなに順番に説明していく。



「先ずは、魔法学園から。学園街総出でクリスマスイベントをやるから、来てほしいって」

「へぇー。楽しみね! 勿論奈々たちも呼ぶのよね?」

「うん、連絡するつもりだよ」

私の知り合いなら誰を連れてきてもいいって話だったし。 (ふっふっふ…)

なに…? (興味ありそうな人がいるから)

誰!? (内緒ー)

もう…。時々ティーが意地悪だ。 (そんなつもりはないの)

いいけど、後でちゃんと教えてね? (時が来たら!)

はいはい…。


「ハードスケジュールっていうと、学園だけじゃないってことだよなぁ。他にも呼ばれてるの?」

「うん、ユウキ正解。こっちは私にとってはちょっと頭の痛い状況なんだけどね…」

「あー、もうわかったよ。メリアさんとこだね?」

「よくわかるね…」

うちの弟、察しが良すぎない? (さすがママの弟)





数日でこちらの準備やメンバーの予定を合わせて、みんなで魔法学園へ。

土曜の朝にうちに集合。今回は聖さんと弟の聖弥くんも一緒。

異世界のクリスマスいかない?って話たら悩むこともなく行く! って即答。

完全に異世界ハマっちゃってるなぁ。

自前でサンタコスまでしてくるとかノリノリよね。 (言うてママも)

私は拒否権なかったよね!? (まぁ…)

断ろうとしたら制作したシエルは泣きそうな顔するし、未亜とリアは拗ねるし…。

なんで私だけいつもセクシーなわけ? (みんなの希望)

……はぁ、もう諦めたし、行くよ。


ーーーーーー

ーーーー

ーー



グリシア王国にあるお屋敷へ転移すると、待ち構えていたのはストレリチア様。

しっかりサンタコスしてるなぁ。

「ようこそ、アスカ様。みなさまもお待ちしておりました!」

「遅かったな?アスカ、ユウキ」

「えっ!?」

この声…。

「「アルディエル母様!?」」

「ティーから聞いてな。妾も興味があったので越させてもらった」

ちょっとティー! (アルディエル母様がサプライズするって言うから…)

…そんなの、責められないじゃん。もう。

確かにアルディエル母様なら世界くらい平気で渡れるだろうけど、本気でびっくりした。


既にティーが仲介して、ストレリチア様からグリシア王国の王族には連絡がされているらしく、お忍びって体で許可が降りているそう。

「アスカとユウキの驚く顔が見れたから妾は満足だ」

そう言って嬉しそうに笑うアルディエル母様。

本当に母様の笑顔はホッとするというか、こっちまで幸せになるなぁ。 (大好きだねー)

うん…。



「学園への馬車は用意していますので、早速向かいましょう」

「お願いします…」

いきなりびっくりしすぎて、学園街で何を見ても驚かないとか思ってたけど…。


「ここもすごいね、お姉ちゃん!」

「うん…」

「ほう。コレがクリスマスの飾り付けと言うものか…。なかなか良いではないか」

アルディエル母様は窓から見える景色にご満悦なようで何よりです。


学園街に入って少し、みんながもっと外を見たいと我慢の限界。

ストレリチア様もそうなるのを見越していたようで、しっかりと馬車を止める場所が確保されていた。


「妾もお忍び故、大人しい服に着替えるとするか」

アルディエル母様の魔力が動いたな、と思った時にはいつもの真っ黒なロングドレスから、町娘風になってた。

「母様、服を着替えてもあまり効果はないかもしれません」

「ん?そうか…?」

ユウキとも顔を見合わせる。

現役の魔王様であり、とびっきり美しい人が、例え服を変えたところでオーラは消えない。

うちの子たちが大人しいのがすべての答えだろう。

奈々でさえだから…。


上流階級に慣れているからか、聖さんのが普通に接してて驚く。

私の育ての親みたいな人だって紹介したから、仲良くなろうとしてくれてる。

「アスカ、エスコートしてはくれんのか?」

「は、はいっ!」

母様に言われては頑張るしかない。


腕を組まれて学園街を歩く。

イルミネーションやプレゼントを売るお店。果てにはクリスマスカラーのボードが街を走り抜けていく。みんな私達を遠巻きに避けていくのは、間違いなく母様のオーラだろうな…。 (ママがそう思うなら…)

ストレリチア様も力を入れた箇所を教えてくれて、その中でもクリスマス限定のステッキはすごかった。 (相変わらず派手)

こちらは派手なのが好まれるようだし。

記念にと、うちの子たちも一つずつ購入。何やら買っておいたほうがいいと進められたし…。

当然のようにお金は払わさせてもらえなかったけども。

「これは…アスカの術式か?」

「はい、ライセンスとして生産されているんです」

「ふむ…。アスカは面白いことを考えるな」 

母様に褒められて嬉しいやら恥ずかしいやら…。



学園の敷地に入ると、更に凄いことになってた。

召喚獣の子たちまでコスプレして出迎えてくれるし、生徒が制服のようにサンタコスしてる。

おかげで私だけ目立つってのは避けられそう。 (甘い、ママはチョコより甘い)

あ、チョコ達も喚んであげよう。学園内なら喚んでもいいはずだし。 (あ、ティーもプリン!)

喚んであげるといいよ。 (わーい)

ティーとプリンも本当に仲がいい。見ていて安心する。



プリンと戯れてるティーを見ながら喚びだしたうちの子たちまでがクリスマス仕様になってたのにはもう言葉も出なかった。

チョコはサンタ帽子かぶってるし、ラムネはケープ。クッキーは普段青い炎がイルミネーションのように明滅してる…。どうなってるのあれ!


「ますたぁ〜?せっかく準備したのだからなにか言ってほしいわ〜」

「そうですよマスター! 頑張ったんですから」

キャンディは当然、超セクシーサンタ。ノアは可愛らしいサンタコス。

「お、おう…。みんな素敵だよ。 こうなるのを知ってたの?」

「ここに喚ばれてる子達から聞いてたのよ〜」

あー召喚獣ネットワークか。 (あははっ)



「む…なら妾もこの姿ではかえって目立つな」

アルディエル母様…。

セクシーな黒サンタって…。私はそんなエッチな母様見たくなかったです!! (色気やべー…)

キャンディですら負けるでしょこれ…。

「ちょっとますたぁ〜止めないの?」

「私には無理…」

母様に意見するとか出来るわけがないよ。




「ま、先ずは皆さんが一番楽しみでもあると思う場所へご案内しますね!」

緊張しながらもストレリチア様がしっかりと話をすすめてくれて助かる…。


案内されたのは魔法科の教室。

「おっ、姫さんじゃねーか! って…おぉ…」

なによ…。先輩が私を見て目を逸らしたんだけど? (服…)

あっ…。

「いやらしい目で見てるんじゃないわよ! ステッキで遊べるんでしょ?早く案内しなさい!」

「まったくこれだから男子は!」

リアと奈々が庇うように前に出てくれ、怯えて顔を引つらせた先輩が教室に案内してくれた。


「すごい…」

「だろう?他の科とも協力して作り上げたんだ。姫さんも楽しめると思うぜ」

ざっと見ただけでも、魔法科が地形を変えたってのや、騎士科と冒険者科が手を入れたであろう障害物。

敵味方の識別用のベストは魔装科と魔道具科の合作だね…。 (よくわかるね)

地形は単に魔力の痕跡があるし、障害物は騎士が陣営を築く時の物だったり、冒険者が作る塹壕もあるからね。 (ほえー)


ベストには魔道具がついてて、敵と味方が一目瞭然。 (淡く光る色が違う!)

すごいよね…。


早速遊んでみたいっていうみんなと、学園で最強チームと戦うことになった。

「アスカ様、今度は負けませんからね」

「ライオネスト様…」

「僕もいますよ!」

「ライアン様も…」

お元気そうね。よかった…。

他にもいつの間にやらあちらに回ったストレリチア様や、モルチアナにサラセニア。

見知った先輩達やクラスメイトまでがステッキを構えて戦闘態勢。

頑張って作ったステージとかを見てほしくてウズウズしてるってのが伝わってくる。


対して、何やらやる気満々というか、殺気さえ感じるうちの子たち。 (ママにしょーりを!!)

「お母様、リズに任せてくださいなのです!」

ティーとリズまでやる気がすごい。

「妾は見学させてもらうとしよう。楽しんでこい」

さすがに母様は参加しないか。 (パワーバランス的に?)

だね…。私でも勝てないだろうし。 


今回のフィールドステージは魔法科の訓練場を使用してるだけあってかなりの広さ。

本来ならいくつかに分けて使うステージも、こちらの人数に合わせてあちらも大人数だから全面使用。

もう一種の大規模演習みたいになってきたな。


観客席にはたくさんの生徒や保護者に先生方、召喚獣の子たちもちらほら見えるし、学園長と陛下まで…。

王族のご子息が全員いるのだから当たり前か。

とはいえ、うちの子達は加減なんてしないだろうし。 (全力です! フンス!)

だよね…。


ルールにも少し変更があり、フィールドが広いからフラッグは十本。

運営によりランダムに配置され、それを見つけ出して制限時間の間、保守。

保持している子が撃たれると奪われるのは同じ。

最終的に多くのフラッグを保持していたチームの勝利…なんだけど…。

これ、私はすべてのフラッグがどこにあるかわかっちゃう。なんせ魔道具にしてあるから魔力反応がしっかり出てるんだもの。

隠蔽が甘いんだろうな…。 多分うちの子たちも半数以上が把握してるんじゃないだろうか。

ドラゴン姉妹は言わずもがな、ティーやリズ、キャンディとノア。ユウキとスピネルも確実に把握してるだろう。


私は少し自重しようと思い、守りに徹したのだけど、みんながあっという間にすべてのフラッグを見つけてこちらの陣地に持ち帰り、攻めてくる相手を容赦なく撃ちぬいていく…。

流石にこれは…。



十分後…。

結果は言うまでもないよね。

すべてのフラッグを守りきって圧倒的勝利。

あちらの落ち込みっぷりはすごかった。なので…。

「すみません、フラッグに隠蔽魔法かけていいですか?うちの子達はどこにあるかわかってたので…」

「通りで…。練習も何度かやったのだが、すべて発見したことなどなかったからな」

「皆さんすごすぎます…魔道具科渾身の隠蔽術式なのに」

「…アスカがやっては不公平だろう。妾がかけてやろう。十五分も保てばよいのだろう?」

「母様、お願いできますか?」

フラッグそのものに隠蔽術式を書き込んでしまったら、後々回収できないってことが起こり得る。だから時間限定の魔法で…。



母様のお陰で、二回戦目は私もしっかり参加できたし、いい勝負ができた。

さすが母様。私でも一切探知できなかったから。

それでもうちの子たちが勝ったのは、やっぱり今まで戦ってきた慣れとチーム魔王のプライドなのだろうか。









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