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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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上に立つもの



一度、小型のドラツーを消して、ドラマークツーにして再配置。

その姿を見せながら説明をする。

「これは私の魔力体になります。ドラゴンの姿なのは…えっと、私の恋人の姿を模しているからでして…」

「ドラゴンが恋人!?」

「まさかアスカ様も?」

「いえ、私は…」

「ママはセイントドラゴンの血を引いてるよー」

ティー? (ここは任せて)

…わかったよ。


「ティーも…」

そう言ってドラゴン姿に変身するティー。一部始終を見ていた四人が、魔王ヴィオラさんを始め全員跪いた。 

…なにこれ!?


「勇者様方がまさか創造神様と同じドラゴンだったとは…」

「無礼をお許しください!」

創造神?え…?

話が全く見えないから、ドラマークツーで移動しながら詳しい話を聞かせてもらうことにした。


乗ってもらうのにも苦労したけど…。

畏れ多いって恐縮されてしまうものだから大変だった。

ただ、一度乗っていまえば、中は快適空間だし、落ち着いたみたいだね。 (驚き疲れただけ)

ま、まぁ、なんにせよ移動しようか。 (はーい! でっぱーつ!)



リビングのソファーで寛いでもらいながら、此方の歴史を聞かせてもらう。

「この世界を作り出したのがドラゴンだというのは魔族も人族も共通の認識です。どちらでも創造神様として祀られているはずですが、あちらでお話を聞かれなかったのですか?」

「そんな暇もなく戦いに駆り出されましたから…」

「ママが力を隠してたからだよ?」

「無用なトラブルを避けたかったんだよ…」

「確かに今ならアスカ様のお力の凄まじさはハッキリと体感できますものね」

現役の魔王様に言われると複雑なんだけど…。 (ふふっ)


ちなみに、ドラゴンが創造神って話は所謂神話のお話で、そのまま事実として受け取っていいものかは悩むところ…。 (ドラゴンが吐いたブレスで世界ができた!)

羽ばたいた風でうねる魔力から魔族が生まれて、降り立った時の土煙から人族が生まれた…。

魔法のある世界とはいえ、流石に無理があるよね…。 (うん。でもお話としては面白いの)

まぁね。


「魔力風から生まれた者は魔力に恵まれ魔族となり、土から生まれた人族は開拓する技術に恵まれました」

「始めは共存していたのですが、魔力量による力の差によって格差が生まれ、争いが絶えなくなり、別れて暮らすようになったそうです」

「その時、弱き人族に”もし魔族が力に溺れ、道を踏み外す事があれば使うように“そう託されたのが…」

「勇者召喚、ですか?」

「おそらくは…。魔族には伝わっておりませんから」

バランスを取ろうとしたのかな?

多分ドラゴンがしたのは、争っていた種族を分けて、牽制目的で弱い方に切り札をもたせた、とかそんなところだろう。



先ずは魔族の大本営、つまり魔力ドームで閉じ込めてる人たちの元へ向かう。

「しばらくなんの連絡もなかったのは…」

「私が制限をかけてるからですね」

此方には通信魔法のようなものがあり、それでやり取りをしていたそう。

それも魔力ドームで覆ってしまったら使えないのは必然。 (ティーでも出られないし!)

あったね、そんなことも…。狩猟大会の最中に随分叱られた記憶が。 (あれはママが悪い!)

すみませんでした…。


「魔力ドームってまさか…」

窓から見下ろしていた魔王ヴィオラさんがおどろいてる。 

上空からでも大きな屋敷を覆っているのは見えるものね。 (ティーは見慣れてるの)

だよねー。


屋敷の庭へ降り立ったドラマークツーの周りには、大勢の魔族が集まり膝まづく。

どこかで見たような光景だわ。 (アキナさんのとこか、ハルナさんのとこ?)

…ま、まぁそうね?


ドラマークツーから降りた魔王ヴィオラさんに、魔族たちは大騒ぎ。

「ま、魔王様!! 何故ドラゴンとご一緒に!?」

「訳はこれから話します。責任者を呼びなさい」

「申し訳ありません、突然四天王の方々が閉じ込められていまして…指揮系統が混乱しており…」

四天王とか本当にいるんだ。 (最弱は誰だろ)

さぁ…。みんな同じくらいの魔力量だったけど。 (つまんなーい)

私に言われても。 (やつは四天王でも最弱! とか聞きたかったのに)

あー。うん…。言いたいことはわかったよ。



慌てる魔族達へ、魔王ヴィオラさんの鋭い声が飛ぶ。

「落ち着きなさい! ドラゴンの方々が居られるのですよ」

騒いでいた魔族が大人しくなったところで、ティーと私はヒルダさん達側近の方にエスコートされるように外へ。

なんてVIP待遇。 (頭が高ーい! ひかえおろー)

既にみんな平伏してるから。 (あはは!)


いたたまれない気持ちのまま外に出て、覆っていた魔力ドームも解除。

飛び出してきたのは例の四天王。


「魔王様!?どうやってこちらに…? ってドラゴン!?」

「ど、ど、ど…ドラゴン!!」

四天王の人達もかなり驚いて慌ててる。

対して落ち着いているヴィオラさんは、私達を勇者でありドラゴンだと紹介。

私は違うんだけど、今否定するとややこしいから流石に黙っておく。 (血は引いてるし、ドラツーはママだし)

そう言われちゃうと何も言い返せないんだけどね。


膝まづいた全員に、カメプロの映像を見せつつ、土地が衰退していた原因と、今現在改善しつつあるのをヴィオラさんが説明。

始めは私かティーに話してほしいと言われたのだけど、やっぱりここはトップでもある魔王ヴィオラさんが説明しないと、納得しない人や信じない人もいるかもしれないから。

特に魔族の場合は…。

移動中に詳しい話もして、ヴィオラさんが説明できるようにしておいた。


故郷の再生に湧く魔族の人達。

だけど、それだけでは済まないのが戦争なんだよね…。

大変なのはこれからだ。

停戦命令が魔王ヴィオラさんから出された以上、すべての戦闘はとまるだろうけど、ね。



私とティーもこちらの現状報告を聞いたのだけど、民間人に犠牲者はなく、みな一所に集めて保護してるそう。それを聞いてホッとした。

非戦闘員へ危害を加えるのだけは許さないと魔王様の絶対命令が出ていたそう。

無体な事をしていたら庇うことも出来なくなるから。

兵士の損害に関しては流石に口を出す訳にいかない。 (そなの?)

うん。兵士の人たちは国を、そこに住む民間人を守るために訓練を受けて、お給料をもらってるのはわかる? (うん)

平和な時なら命の危険も無くお給料も貰える。でもそれってこう云う有事に備えてのものなんだよ。

例えば冒険者も依頼を受けて成功すれば報酬がもらえるよね? (うん)

でも、時には大怪我をしたり命を落とすこともあり得る。そういう覚悟をもって仕事につくの。

覚悟がないのならそういう仕事を選んではいけないよね? (あー。なるほど)


だからってそういう人達の生き死にを軽く考えてはいけないけど、それを考えるのは国だったり、軍の仕事。冒険者ならギルドの仕事。

私達が口を出してはいけないよ。 (わかった!)

国のトップにいるというのは、そういったすべての責任を負うものだからね。

立場の上にふんぞりかえり、甘い汁だけすって、責任は負いたくないなんてのは以ての外。 (元魔王のママの言葉は重い…)





















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