表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

666/772

勇者の役目



魔封じも外してもらい、お茶などを出してもらって、まるで客のようにもてなされながらティーの帰りを待つ。

その間にも魔力濃度はぐんぐんと下がっていってるから、魔王ヴィオラさん達も気がついた様子。

「一体何が!?」

「禁足地を破壊でもしたのでしょうか…」

「そのような大事が起きればこちらでもわかりますよ、魔王様」

「ですわね…」

確かにあの魔法陣を破壊ってなるとかなりの規模で魔法を使うしかないからなぁ。

それくらいしっかりと破壊対策はされていたし、その上であそこは魔力が濃かった。

だからこそティーも書き換える方を選んだんだし。


「ま、魔王様! あちらを!!」

窓から禁足地のある方角を見ていたヒルダさんが大きな声を上げる。

「何事ですか、大きな声をだして…」

「そんな悠長な事を言っている場合ではありませんよ! 魔王様、見てください!」

窓辺に行ったヴィオラさんも驚いたようで…

「なんですかこれは!?」

私も窓から外を見てみた。 (まぁ驚くよね…)


あの魔法陣、魔力濃度の底上げをしているっていうのは間違いないんだけど、正確には地面、つまり地中の魔力を吸い上げて空気中へ拡散してた。

そのせいで木々や植物は葉っぱ等から取り込んだ魔力で初めは活性化しても、巨大化しすぎてはいずれ地面からの魔力補給が追いつかず根から枯れていく。

この世界の魔力という物がどうやって生み出されているかはわからないけど、地中で生成された魔力が殆ど魔法陣に吸い上げられてた。

それを逆転させ、魔法陣が吸い取り地面へ還元したらどうなるか…。 (ママが森とかを再生したやつ?)

まさにそれだね。


つまり、今は活性化した土地が凄まじい速さで森等の再生を行なっているわけで。 (魔獣は?)

そっちも何れ生まれるよ。魔獣っていうのは魔力のある所に生まれる獣だからね。

魔力から生まれた魔獣は、そのうち普通に繁殖して増えていく。


逆に考えれば、これだけの魔力を吸い上げてたって事。 (めちゃくちゃだー)

今は地中と地上でバランスを取るようにしたから、最適化されていくよ。 (大繁殖時代)

あながち間違ってはないね。とはいえ、街を飲み込むような事態にもならないし。 (そなの?)

バランスをとって最適化するっていうのはそういう事よ。 (やべー…ママやべーの)

酷いなぁ…。



ティーとそんな会話をしている間にも、窓から見える景色は緑あふれる物へと変化していく。

「…勇者は何をしたんでしょうか」

「異世界勇者というものは、理解の範疇を超えています!」

ティーだしなぁ。 (大半はママのおかげ!)

ティーが見て判断したんだよ?助けたかったんでしょ? (うん!)

私は少し手助けをしただけだからね。 (…そういうことにしておくの)

あばれたかった? (ううん! 一番いい結果!)

なら良かったよ。



暫くして、ティーは付き添った二人を連れて帰還。

ついていった二人の興奮具合は、ヒルダさんの比ではなかった。

「森も街もかつての姿を取り戻しつつあります! 動物や魔獣まで見かけましたよ!」

「見てください! 魔王様のお好きな果実まで…」

そう言ってヴィオラさんに手渡したのは緑色のぶどうみたいな果実。シャインマスカットみたい。 (美味しかったの!)

食べたんだね。 (うん。食べれるからって渡してくれたの)

どうやら行き帰りの道中で仲良くなったらしい…。 (普通に良い人だった)


「何年ぶりでしょうか、シャリーの果実など…」

一つ摘むと口に入れて嬉しそうな魔王ヴィオラさん。

私も進められて食べてみたけど、ジューシーで美味しかった。

こうして失われたものが戻ってきたのなら…


「魔王様、軍を止めましょう! 今なら止める理由も明確です!」

「ええ…。ですが、この事を伝えたとして信じるでしょうか」

「それは…」

「目の前で見た我々でさえ信じられないのですから、難しいかもしれません…」

にわかには信じ難いのは確かかも…。


「大丈夫だよ?」

ティーがそう言って取り出したのはカメプロ。

察した私は、いつもの様に真っ白に色を付けた魔法防壁を展開させる。

「さすママ!」

ティーは自身が魔法陣を書き換える所から森が再生していく過程、ここへ戻ってくるまでの道程も録画していた。

当然、ついていっていた二人も映ってるし、帰り道で驚いている会話もバッチリ撮られている。

「これは!?」

「ママの魔道具でカメプロっていうの! 何でも記録しておけるよ」

皆が一斉に私を見るものだから思わず目を逸らす。悪い事をしたわけじゃないのに、何だか気まずくて…。


「たしかにこれだけ証拠があれば…!」

「ですが、魔王様をあちらへお連れするにも大海を渡るような船はもうありませんよ?」

「勇者様達はどうやってこちらへ?」

「そうです! 勇者様達が使われた船に我々も乗せてはもらえませんか?」

船か…。小型のドラツーできたからなぁ。マークツーにするか。 (やっほーい!)


もうすぐ帰る世界だし、自重する必要もないと判断。

中庭に降ろしたままの小型ドラツーへ案内した。

「「「「ど、ど、ど、ドラゴン!!!」」」」

かなりびっくりしてるけど、此方にもドラゴンはいるんだね。

「……こちらのドラゴンからアスカ様の魔力を感じるのですが…。あっ、こちらに力を割いておられたのですね?」

魔王ヴィオラさんには隠せないか。 (ゆーて魔王だし?)

そうね…。説明するしかない、ね…。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ