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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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どちらにつくか



一通りの説明の後、ステータスの確認をすると言われ、初召喚の時にメリアさんの国でも使ったような石版のある部屋に通された。

これも下手したら曾祖父母の残したもの?流石に考え過ぎかな…。 (でもそっくり)

なんだよねぇ。うちの曾祖父母はあちこちに行って何をしてるのだろう。 


私とティーに向き直ると、改まった様にひと呼吸置いて説明を始める王女様。

「此方で適正などの確認を行い、訓練等必要であれば直ぐに手配いたします」

目一杯偽装しなきゃ…。 (またぶっ壊れる!!)

本当によ。見た感じ術式も似たような石版だから間違いなく壊れる。


まず測るのはティー。

当然、ティーのもある程度は偽装はしつつ、しっかりと強さはアピール。

「これは…!! さすが勇者様ですね。訓練の必要など無いくらいです」

「ですから勇者の適性のある者が喚ばれると申し上げましたのに…」

「だとしても幼い子に戦いをさせるなど…」

「我が国の子ども達も日々戦っています!」

「他所からお喚びした相手とは訳が違うでしょう」

確かにね。自国を守るために戦うのと、無関係なのに無理やり喚び出されて戦うのとは比べるまでもない。


「では、アスカ様も…」

「は、はい…」

魔力も抑えられるだけ抑えて、スキルや称号も勇者以外はすべて偽装したけど、大丈夫かな。

恐る恐る石版に触れると、表示されるステータス。

ピシッとかパキッって嫌な音もしなくてホッとした。

「あら…」

「……此方は只の一般人ですか。チッ、使えない」

悪かったね…。 (イッラァ…)

ティー、大丈夫よ。侮ってくれてるほうが動きやすいから。 (むー。どれだけ抑えたの)

街の人にみえるくらいに…。 (やり過ぎぃ!)

壊した記憶があるから不安で。 (もー)

それに、私も初召喚の時はこんなステータスだったからね。 (あ、そっか)

勇者とかの称号は見えるようにしてるのに、そちらは気にしてないっぽいから。 (無能…)

ティーのステータスを見た後だから仕方ないね。



訓練の必要はないと判断されたティーは、側近の進言により、直ぐ様戦いに駆り出されることとなった。

逆に雑魚認定された私は扱いに困る存在になってしまい…。 (誰よりも強いのに) 


それでも私と離れるのだけは嫌だと言ったティーのお陰で、なんとか二人で街へ出られることにはなった。

明らかに私への態度の悪くなった側近の人は、城を出る門のところで仕度金としていくらかのお金を渡してきた。

「どうせ戦えないお前には過ぎたものでしょうが、陛下のお気持ちですから。無駄にしないように」

そう言って放り投げられた小さな革袋には小銭が幾らか。

ティーには装備一式と、大きな革袋でお金が渡された。

「勇者様には此方を。街のギルドで仲間を集めてください」

仲間集めも自前か…。此方としては都合がいい。 (こいつムカつくの!)

まぁまぁ。どうせすぐに街を出ちゃうし、いいよ。 (はーい…)



城下街は比較的落ち着いてはいるけど、兵士や武装した冒険者らしき人が多いのは仕方ないのだろう。

みんなそれぞれ戦いに行くための準備をしてるようで、そういった人達は忙しない。

食料も武器類も自前で持っている私達には関係はないけど…。


「ティー、取り敢えず情報を集めよう」

「うん! 城にも分体置いてきた」

「流石だね」

一応ギルドにも顔を出し、会話に耳を傾けるも、お城で聞いた話とさして違いはない。

やっぱりここの街での聞き込みは限界があるな。



早々に街を出た私達は、その足でフロントラインへと向かう。

「ママ、渡された装備しょっぱいの」

「多分子供用だし、軽さとか重視してるからだと思うよ」

「全部いらない…」

ティーはそう言うと貰った装備類をしまい込み、私の作った魔剣だけを装備した。


「ママのくれた魔剣と魔道具さえあればへーき!」

「私も今回はそれを使おうかな」

お揃いで拵えた刀…にみえる魔剣を腰に装備。 (おそろー!)


服も目立たない物にお城で着替えさせられたけど、隠蔽した状態で駆ける。

かなりの速度だし、目立つからね…。 (風が吹いたか?って測度だもん)

抱きかかえようかと思ったけど、しっかりついてくるティーは流石だね。 (まかせてー)



走り続けてたどり着いたのは現在のフロントライン。

魔法の炸裂による衝撃や、戦いの喧騒、血の匂い。嫌でも戦場に来た事を自覚させられる。

「ティーは平気?」

「うん! だいじょーぶ」

魔力の乱れも無いし、嘘はないと判断。

そのままフロントラインも駆け抜け、魔族達の実行支配エリアに入る。



小さな街を見つけて寄ってみたけど、目を覆いたくなるような惨状だった。

無残に破壊された建物、占領統治されてはいるようだけど、復興するような物資はないのか残った人たちも汚れていたり、怪我をして治療されていたりと見るに耐えない。

後ろ髪を引かれる思いで街を後にし、魔族の大本営を目指す。

ここまで見聞きしてきた内容で、何方へ加担するかはほぼ確定はしてるけど、最終確認のためには行くべきだろう。



更に移動。

大きな街…、だった筈の場所が大本営になっていて、そこら中に魔族がひしめいてる。

子供と思しき幼い見た目の人もいる。ただ、魔族の場合一概に子供とも言えないから判断に困るな…。

人族は全く見ないのは逃げたのか、隠れてるのか…。それ以外は考えたくない。


魔力量からして、幹部クラスであろう魔族が四人集まり、会議をしているのを盗み聞く。

「今攻めている国さえ落ちれば、魔王様も諦めてくださるだろう。そうすればこちらへお呼びできるな」

「ええ。各方面もほぼ制圧できていると報告が来ています」

「おせぇよ。全戦力を投入してんだぞ? とっとと踏み潰しちまえばいいだろうが。早くしねぇと人族には切り札があるんだろ?」

「馬鹿ですね…。そんなのは迷信です。 それに、すべてを破壊して踏み荒らしたら住むのにも不便でしょう」

「本国が住みにくくなったから侵略したのに、住めない状況にしたら意味がない」

「チッ。わぁったよ! めんどくせぇな」

ティー、どう思う? (真っ黒!)

だよね…。切り札ってのは多分勇者召喚だよね。 (たぶん?)


魔族にも侵略するだけの理由があるんだろうけど、こんなやり方は認めたくない。 (ここで潰しちゃう?)

ううん。むしろ魔王へ会いに行こう。こっちに全戦力を持ってきてるのなら手薄だろうからね。 (なるほど!)

とはいえ、こいつ等を自由にさせておくつもりもないけど! (ヒャッハー!)

それ、こっちが悪者みたいじゃない。 (ふひひ)


建物そのものを魔力ドームで覆い、出られないよう制限をかけた。

最悪そのまま潰すこともできるけど、それは最終手段。


さてと、魔王は海の向こうらしいから…。 (アレの出番!)

だね!









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