古の
帰宅した私は、心配するみんなに色々と報告。
ティーからも話は聞いていたそうで、今後の対応は私に任せてくれると。
「じゃあ、他に今できそうなのは召喚術の確認かなー?」
「そうだね。母さん頼める?」
「勿論いいよーすぐに行く?」
「え?」
「持ち出しにくいでしょうし、私が行けばいいかなーって」
確かにそうだけど…。母さんをつれて師匠達の元へ!? (おおう…)
なんていうか、親同伴で友達の家に行く様なすっごい複雑な気分…。
「ほらほら、連れてって。夜ご飯は戻ってきてみんなと食べたいからね」
「時間は戻すからいいけど…」
私の気持ちの問題でね?
結局、母さんの押しに負けて、二人で転移するはめに。
リズは師匠に会いたくないって言うから、みんなはお留守番。
「アスカが初めて勇者をした世界でしょ? 楽しみだわー」
ワクワクしないで。私の不安が大きくなるから。
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いつもの豪華な客間に転移したから、母さんは早速キョロキョロと見て回ってる。
「お城の客間だからあまり勝手な行動はしないでね?」
「わかってるよ! ほら、此方にもいるんでしょ?恋人! ちゃんと紹介してね?」
「う、うん…」
によによとしてる母さんに不安しかない。
廊下に出てしばらく歩いていたら魔剣士団の人が声をかけてくれて、メリアさんの部屋に案内してもらった。
「勇者様、少しお久しぶりですね」
「ええ。色々と忙しくて…」
「団長が荒れてたから覚悟したほうがいいと思いますけどね!」
師匠…。
「ところで、そちらの方は…?」
「私の母です…」
「勇者様の!? これは大変失礼しました」
「いいよー。突然来たのはこっちだからごめんね」
「とんでもない! 勇者様と御身内の方なら何時でも歓迎するようにと陛下も仰ってますし」
ありがとう、メリアさん。
メリアさんの私室に到着し、魔剣士団の人が扉をノック。
「失礼します陛下。魔剣士の勇者様がお見えです」
「本当ですか!? すぐにお通しして」
「はっ」
扉を開けてくれた後、魔剣士団の人は一礼して去って行った。
「アスカ様!」
駆け寄ってきて抱きつこうと手を広げていたメリアさんは、私の隣にいる母さんに気がついて急ブレーキ。
「ど、どちらさまでしょう!?」
「すみません、突然お邪魔して。うちの母です」
「アスカの母です。 娘がお世話になったようでありがとうございます」
「い、いえ! お世話になったのはこちらのほうで…。立ち話もなんですから、お掛けください」
さすが皇帝陛下。不測の事態でも切り替えが早い。 (かなり焦ってたけど…)
「あの…何かありましたでしょうか?」
「メリアさんにお願いしたい事があって」
「ま、まさか…お母様のお許しが貰えず、婚約の破棄…ですか!?」
「あははっ。 そんなこと言わないよ。娘の恋愛に口出ししたりしない。無責任な事をしない限りね?」
「は、はいっ! それは勿論。 ではご用件とは…?」
「えっと…」
「アスカが来たって本当か!?」
扉を蹴破るかって勢いで駆け込んできたのは師匠。
「アリッサ! お客様もおみえなんですよ!」
「ん?それがアスカなんだろう? って…まさか!?」
見た目で察したんだろうな師匠。見比べてたし。
「師匠、うちの母です…」
「初めまして。娘がお世話になったようで」
「あ、え…いや…。 初めまして…」
しどろもどろの師匠とか初めて見た!
カチカチに固まった師匠は、不自然な動きでメリアさんの隣に座る。
師匠らしくもない…。 (ポリゴンが荒くなった)
言わんとすることはわかる…。 (64ビットくらい)
かっくかくだな!
「すみません、話が途切れましたね。それで、私にお願いとは…?」
「私を召喚した術式を見せてもらう事はできますか?」
「ええ、もちろん構いませんが…。 アリッサ、用意して…。 アリッサ!!」
「え、な、なんだ!?」
「話を聞いてましたか? 召喚術のスクロールを持ってきてください」
「あ、ああ」
師匠大丈夫かな。 (多分あんまり大丈夫くない)
だよね…。
母さんは気さくにメリアさんに話しかけてて、あっという間に打ち解けてる。
なんで私にはこのコミュ力がないの!? (あははっ)
「ところでアスカ様、どうして召喚術を?」
「それは…」
「私が話すよ。でも、先に確認させてもらえる? その方がわかりやすいから」
「ええ…」
しばらくして師匠も戻り、手には大きなスクロールと本を抱えてた。
「此方が古より伝わる勇者召喚の術式です。本は、私どもが読み解いた時にメモしたものになります」
「ありがとうございます。無理を言ってすみません」
「かまいません。帝国のものはアスカ様のものでもありますし」
極論がすぎる…。
「見せてもらうねー」
母さんはスクロールを広げると、魔法陣を確認。
私に頷いた。ということは…。
「これ、私の祖父母の作り出した魔法陣だね。間違いないよ」
「どういうことですか!?」
驚きすぎて半ばパニックのメリアさんに色々と説明。
師匠も落ち着きを取り戻し、真剣に話を聞いてくれていた。
「なるほどな…。 メリア、これは確か五百年ほど前のものだよな?」
「ええ。記録によればそのくらいです。スクロールにかけられている状態保存の魔法も今は失われた技術です。鑑定の石碑も同じ時期のものですね」
五百年か。ただ、曾祖父母があちこちへ渡っていたのなら、現代と時間の流れは違うかもしれないけど。
でも、母さんが断定したのなら、この魔法陣がうちの家系に関係しているのはもう間違いない。
「このスクロールを託された時の話などは伝わっていますか?」
「ええ。国が危機に瀕した時のみ、異世界からの勇者を召喚するように…と。召喚された勇者は特別な力を持つとも」
「それだけですか?」
「確か、その魔術師の方のお子様を皇族と婚姻関係に…とお願いした所、断られてしまい、変わりにこれを頂いたと」
「魔術師ですか…。容姿等は?」
「そこまでは…。しかし、凄まじい力を持っていたとか、ご夫婦でお子様連れだったとは伝わっていますね」
ふむ…。
「母さん、お祖母ちゃんに兄弟っていた?」
「聞いたことがないね。家族の事は話したがらなかったから。多分聞いても答えてくれないと思う。でも、私があった時は夫婦二人きりだったよ」
ドラゴンだったのは間違いないから歳はとらないし、異世界を渡りながら子育てしてた可能性はあるのか。
そうなると、やっぱり聖さんに確認するしか手段はないのかな…。 (召喚術の確認はなんのため?)
曾祖父母が異世界にどれくらい干渉したか、って事の確認と、私やユウキが喚ばれた縁の確認かな。 (にゃるほろ)




