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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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友人



(ママー空き教室に一人で来て!)

はいはーい。

休み時間にコソッと現れたティーの分体に鑑定の魔道具を手渡した。

「何をするか大体予想はできるけど、気をつけてね?」

「あい!」

元気よく返事をしたティーは、すぐに姿を消した。


ティーの事だから上手くやるだろうけど、心配だわ。 (大丈夫!)

油断して足元掬われないようにね。 (はーい)

私は私で探索使ってないと白銀さんがすぐついてくるんだよね。

今も空き教室に行くために、わざわざ撒いたくらいだ。



お昼休みも、奈々と麻帆に混ざってついてくる白銀さん。

「なんでついてくるの?」

「みなさんと、その…お、お近づきになりたくて…。駄目…かしら?」

「奈々、これくらいなら許容範囲でしょう?」

「麻帆はどっちの味方だよ!」

「アスカちゃんが困ってて嫌って言うなら考えるけど…」

そこで私に振らないで。白銀さんも悲しそうな顔をしないでくれる?

私が悪者みたいじゃない。

「別にいいよ…」

「アスカ!」

奈々は納得いかないって顔だけど、歩み寄ろうとしてる人を払いのけるのは余りにも…。


中庭に行き、お弁当を広げる。両脇は奈々と麻帆にガードされて…。

「アスカちゃんのお弁当は今日も手作り?」

「ううん。今は母さんがうちにいるから」

「えー。残念」

母さんのが料理上手だからね?


「お母様の手作りですか…」

「白銀さんは違うの?」

「うちのはメイドが」

「うわーガチのお嬢様じゃん」

「奈々、言い方!」

どこか寂しそうな白銀さんを見てると、お嬢様にはお嬢様の悩みがあるのだろうと予想はつく。


「うちもお母さんの手作りだけど、交換してあげよっか?」

「本当ですか!?」

奈々は察しが良いと言うのか、相変わらずコミュ力が高い。

あれだけ敵視してた割に打ち解けてる。これが奈々の良いところだろうなぁ。

私と麻帆もおかずの交換をして、普通におしゃべりにも花が咲いた。


「三人は…なにか特別なご関係なのですか?」

「そこ聞いちゃう? ふっふっふ…」

「奈々!」

「うっ…」

「親友だよ。私達はね」

納得いかない様子の奈々には申し訳ないけど、学校ではそう振る舞うって約束したし。


「うらやましいですわ…。わたくしには親友と呼べるような方はいませんから」

「そうなの?お嬢様なのに!」

「だから、ですわ。 寄ってくるのはわたくしの家柄を利用しようと下心のある方ばかりで…」

「大変なのねお嬢様も。 もっと華やかなイメージだったわ」

「確かにそういった側面もあるにはありますが、わたくしは普通にお話をしたり、悩みを打ち明けられたり、そういった事のできるお友達に憧れてしまいますの…」

俯く白銀さんは、きっと辛い思いをしたり、悩みを抱えてるってのは想像できる。


「し、仕方ないなー。私が友達くらいなってあげる!」

「本当ですか!?」

「私もいいわよ。お嬢様っていっても、私達と同い年の女の子だもの」

「…アスカ様も?」

「うん?いいけど…。友達ならその、様ってつけるのはやめてほしいかな」

「わかりましたわ! アスカさん…でよろしいですか?」

「うん」

うるうると嬉しそうに…。子犬か!


友達になったなら、と私から連絡先の交換を持ちかけ、お互い無事にアドレス帳に登録。

スマホ抱えて泣いてるのだけど…。 (ママ!)

どうした? (弟見てきた!)

元気にしてた? (うん! 隣町のマンションに引きこもってた)

もう元気なのに? (身体はそうでも、ずっと入院してたから…)

今更学校とかに行きにくいのかな。 (みたい。 それより、鑑定結果!)

どうだったの? (なーんも! 魔力があるだけ。姉よりは多い)

……ふむ。 もしかしてだけどさ?異世界に行ったことがないからスキルやらが可視化されてない可能性ない? (あー! 有り得そう)

これは、詰んだね。 (こうなったら…)

うん? (リアに見てもらう!)

確かにそれも一つの手段か…。それと、取り敢えず師匠のところで召喚術を見せてもらうか。 (それもあり!)



放課後は白銀さんたっての希望で、少し寄り道。

友達ができたらやりたかったことがあるって言われたら、断る理由もない。

ゲームセンターやウインドウショッピング、カフェにも入った。

本当に楽しそうにしてる姿を見るとほっこりする。

「今度はカラオケにも行ってみたいですわ」

「お、いいね! 私も賛成!」

「いいけど、奈々は宿題とか疎かにしないのよ?」

「楽しい時にそういうこと言う? これだからクラス委員は…」

「何よ?」

「真面目すぎる! アスカもそう思わない?」

「それが麻帆のいいところでしょ」

「さすがアスカちゃんね」

「…みなさん本当に仲がよろしいのですね」

「白銀さんも、よ?」

「では、聖と…そう呼んでいたはだけませんか?」

「いいよ! じゃあ私達には敬語もなし!」

「これは癖ですので…。でも善処いたしますわ」

「奈々、無理言わないの。白銀さ…じゃなくて聖さんにもお家の都合とかもあるんだから。話し方くらいいいじゃない」

「むー」

そんな会話をしながら、駅まで聖さんを送り、私達も家路についた。

悪い人ではないんだよなぁ…。お嬢様だからって傲慢なわけでもないし、どちらかというと腰が低いくらい。

まだ遠慮がちではあるけど、多分そのうち自然になってくれるでしょう。 (いいの?)

警戒はしておくけどね。 過剰に距離を置くようなことはしたくないって思うくらいには…。 (ママがいいなら!)










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