表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

654/772

ちょっとした独占欲



私のせいで制限がかかるとか申し訳ない…と思ったのだけど…。

「特定の人と、握手ができる、一緒に写真が撮れる…そんな感じで個人に負担をかけるようなものを禁止するというだけですから」

クラスのみんなが一斉に私を見た。はい、特定の人って私のことね?理解しましたよ…。

でもこれは正直助かる。

私にはアイドルのように愛想よく、なんて不可能だからね! (ぷぷっ)


「そういうことならわかりました! みんなもいいよね?」

奈々が声をあげてくれて、クラスメイトも納得してくれた様子。

合点がいかないのは、多分詳しい事情を知らない白銀さんくらいだろうな。首を傾げてるし。


正直、そんな程度でクラスの順位に変動が起きるか?とも思うのだけど、やりたくは無いから有り難い。

「接客とか調理にまでは制限かけないから〜。良識の範囲内できちんと考えてね〜ってだけよ〜。文化祭はみんなで盛り上げるものだからね〜」

会長と副会長はそれだけ言うと、もう一つのクラスに行くと言って去って行った。

未亜は平気なの? (ファンクラブないし)

納得いかない…。未亜だって美少女なのに! (まぁまぁ…)



「アスカ様はとても人気なのですわね」

そう小声で言う白銀さんは、なんとなく察したらしい。

言われた側の私は、どう答えていいかわからず愛想笑い。 (顔がひくついてるよママ!)

ほっといて…。


想定外の事はあったけど、話し合いは続き…。

カフェのメニューも決まり、メイド服と所作については白銀さんの指導が入るんだとか。

本人はこういうイベントが楽しいみたいで、イキイキとしてる。


役割分担も色々と決まっていく中、私は何をしていいかわからず成り行きを見守るだけになってた。

どうやら、異世界カフェとはいいつつ、奈々はちょっとした寸劇もやりたいらしく…。

王女様が異世界から勇者を呼ぶシーンとか、冒険者ギルドとか…あれもこれも言い出してて。

みんなもノリノリだからどうなるやら…。 (おもしろそう)

シナリオみたいなのも作るみたいで、かなり盛り上がってる。


「というわけで、王女役は一人しかいないと思うんだけど。ね?アスカ!」

ちょっと奈々!?

「だね!」

「うんうん!」

みんなも同調しないで!


結局、抵抗虚しく満場一致で拒否権もなくなり…。

なんで私が………。 (リアル王女だし)

そっちの設定だけでお腹いっぱいだよ! 過剰摂取だ! (しょうがないのだ)

王女を守る騎士役をめぐり、壮絶なじゃんけん大会があったりしたのはもう忘れたい。

一番、騎士にしちゃ駄目な人が騎士にいるんだけど? (奈々…)

麻帆はメイド。

お客さんを、”召喚で呼び出した勇者たち“って体でおもてなしするらしい。



と言うかだね、うちのクラスにも厨二病を患ってる人結構いるよね? (いるねー。魔法陣なら任せろーって人とか)

コスプレ衣装作ってるから作れるよ! って人とか。

小道具、大道具もどんどん役割が決まっていく。


私はなんだかもう少し怖いよ…。実はみんな異世界経験あるのでは? (流石にそれはない)

詳しすぎるでしょう。 (流行りだし)

「さてと、アスカちゃん?」

「は、はい?」

「衣装を作るからサイズ測らせてね!」

そう言ってメジャーを持ってじりじりと躙りよる女子生徒。

「おっと! それは流石に花凛には任せられない!」

「なんで?作るの私なのに!」

「それは…むぐぅ…」

「奈々黙りなさい。 花凛さん。メジャー借りるわ。私が測るから」

「は、はい…」

奈々の口を塞いでる麻帆から有無を言わせぬ凄い圧…。 

女子生徒の顔が引きつってる。奈々でさえ逆らわないくらいに。


そのまま麻帆に連れられて保健室へ。

「麻帆?どうしたの」

「…他の人にアスカちゃんに触れてほしくないの! わかって」

おおう…。麻帆がこんな風に独占欲というか、そういう態度をとったのは意外だった。



保健室に先生の姿はなく、一番奥のベッドへ行き、目隠しのカーテンを閉じる麻帆。

「私だって恋人だから…」

そう、ぼそっと呟かれた。

「うん、そうだね。ありがとう麻帆」

張り切った麻帆に全身くまなく測定され、記録されてしまった…。


「スタイル良すぎでしょう…。さすが魔王様」

魔王だからって訳ではないよ? (アルディエル母様もすっごいスタイルいいのに?)

確かにね。というより、ステータスが高いとスタイルは良くなるはずだよ。 (そなの!?)

ほら、アスリートとかはそれぞれスポーツに合わせたスタイルになるでしょ? (ふむ。ママはステータスオールカンストみたいなものだから…)

そうね?これが前衛特化ならもっと筋肉質だろうし、魔法特化だけなら細くてもいい訳だし。 (全てにおいてバランスよく押し上げた結果がママ…)

多分ね。スキルやらで、当然例外もあるだろうけど。 (ふむふむ)

私で言うなら、魅了や誘惑のスキルのせいもあるでしょうね。 (すっげー納得)




麻帆は教室に戻ると、衣装担当の生徒にメモを渡した。

「見ても絶望しないようにね。それと、絶対誰にも漏らさない事! わかったわね?」

「わ、わかった!!」

メモを見た子がすっごい顔してたのは見なかったことにしよう…。 










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ