話し合い
次の日、いつも通り学校に行くと頭を抱えたくなる状態になってた。 (うわー…)
「おはようございますアスカ様」
「おはよう…」
白銀さんは、私と一緒にいる奈々と麻帆にも愛想よく挨拶してるけど、奈々が明らかに敵視してるな。
それにしてもなんで前の席に…。元々いた女子が廊下側って事は代わってもらったのか。
確かに先生は当人同士でって言ったけども。
私も誰かと代わってもらいたいくらい。
でも、この一番後ろの窓辺の席は居心地いいんだよね。
「アスカ、文化祭の考えてる?」
「ううん。特には…」
昨日は帰宅後、みんなと話し合いしたり、鑑定の魔道具作ってたし。
というか、奈々。鑑定したいから私と白銀さんの間に立たないでもらえるかな!? (奈々は奈々でガードしてるつもり)
それは責めにくい…。
「あの! わたくしもお話にまぜてくださいまし」
「は? なんでよ」
「文化祭は初めてなのですわ。だから…」
お嬢様学校にはないのか文化祭。確かにあっても演奏会とかそういうイメージだな。
「奈々、意地悪はしたらだめよ? 転入生には手を貸してあげてほしいって私は先生に言われてるのだから」
「アスカへの過剰な接触は禁止! また生徒会呼ぶよ…?」
「それはやめてくださいまし! それではどうやってお友達になればよろしいの…?」
「アスカから声をかけてもらうのを待つ!」
え?なにそれ…。 (あれと一緒。ほら…高い身分の人に下の者から声をかけちゃだめっていう)
どこの貴族か! (ファンクラブの規約だとそうなってる)
詳しく!! (電話番号等の連絡先も聞かれた場合のみ。困らせるような過剰な接触は不可)
はぁぁぁぁ〜〜〜〜。 (クソでかため息)
私に友達少ない原因正にそれじゃない。 基本、受けの姿勢な私にも当然問題はあるのだけど、こればっかりは…。
逆に昨日生徒会に連行されたのに懲りない白銀さんを尊敬する。
ある意味貴重な人だよ。 (友達認定する?)
それとこれとは別! 得体がしれないんだもん。
鑑定は授業中でいいや。ずっと奈々が反復横飛びのように妨害してるし。 (カバディカバディカバディ…)
またコアなスポーツを…。
先生が教室に来て、席に戻らざるを得なくなった奈々は、白銀さんに思いっきり威嚇してから戻っていった。 (フシャー、んなろーくらぁ!)
まさにそんな感じ。白銀さんが”ひっ“って怯えてた。
ホームルームの間に後ろから鑑定。
………。 (どう?)
何もわかんない! (ズコー!)
ステータスもごく普通の一般人だし、違うのは精々明かりを灯せるくらいの魔力がある事か。
スキルや称号すらないから、異世界へ行った、またはこっちへ来てるっていう線は薄いかな。
隠蔽できるほどの能力があるとも思えないし。
魔法のない世界から来たって言うなら知らないけど、それなら魔力がある説明がつかない。 (ふむー)
鑑定では血筋とかはわからないし、種族も普通に人だから。 (ママ、後でその魔道具貸して)
いいけど、なにするの? (ナイショ!)
危ない事はしないのよ。 (うん!)
白銀さんがチラッと後ろを振り向いて首を傾げたな…。まさか鑑定したせいで何か感づかれたか?
慌てて魔道具をオフにして、窓の外を眺める。
まだまだ外は暑そうだな…。 (わざとらしい…)
ごめんね!?不器用で! (そんなママが好き)
ありがとう?
ホームルームの後、1限目はそのまま文化祭についての話し合いになった。
奈々がまっ先に手を上げて、やりたい案として異世界カフェを提案。
ほかにも定番のメイド喫茶や、お化け屋敷等があげられていく。
幾つか案が出揃った所で、多数決になり…。
クラスメイトがメモにやりたいものを書き込んで回収っていうアナログ方式。
私は当然奈々の案を推しておく。一応ね…。 (何だかんだ愛されてる奈々)
…否定はしない。 (わお)
集計した結果、僅差でメイド喫茶と異世界カフェが並んだ。
「というか、異世界ならメイドも定番だから混ぜればいいじゃん!」
奈々のその一声で、希望者はメイド姿になるらしい。
私はもうヤダけどね! (メイド無双事件)
別に事件にはなってない!! (そうかなぁ…結構騒ぎになったけど)
うぐっ…。
「あの…メイド服でしたらうちが用意できますわよ?」
「さすが白銀さん。本物のお嬢様! それってどんなメイド服?」
「どんなと申されましても、普通にヴィクトリアンスタイルの…」
「何それ?」
「えーっと…ロングのエプロンドレスと言えばわかりやすいでしょうか?」
文化祭のお陰で、白銀さんは早くクラスに馴染めそうね。
メイド服で盛り上がるっていうちょっと意味のわかんない状況ではあるけども。
話を聞いている限り、メイド服は多分、私が着てたのに近いかも。ユリネさんやピナさん、ノアも似たようなものを着てるし。
唯一、夕波王国だけは和ロリだった。あれを初めて見たときシエルが喜んでたなぁ。
ペールブルーにもそれを元に大幅アレンジをした和ロリが展示されてて、かなり人気らしいし。 (あれなー! 多分あの子も着る)
アルフィーだね。 (どうでしょう?)
魔装にする為に私も手を貸してるから知ってるよ。プレゼントもそれに合わせてアクセサリー作ったからね。 (あ、そか!)
私がティーと話してる間にもメイド服やら勇者の服とか、色々と盛り上がってるクラスメイトたち。
口出しにくいなぁ。 (ボロが…)
本当よ…。
「失礼しますね」
突然ノックして教室に入ってきたのは生徒会のトップ二人。
今度は何!?
「先生〜少し時間もらうよ〜」
「ああ。仕方ねぇな」
「ありがとうございます。では…。 今年も各クラス毎に催し物を決めてもらうのは例年と変わらないのですが、今回は学校外からもお客様をお招きするというのは皆さんご存知だと思います」
「それでね〜、一番評判の良かったクラスっていうのを決めることになったのよ〜」
「一番になったら何かあるんですか?」
「勿論よ。何かはまだ伏せておくけど、期待していいとだけ言っておきます」
教室が謎の興奮に包まれて大騒ぎ。
生徒会、どこまで権限持ってんだよ。怖いよ!
「まぁみんな落ち着いて〜。それでね〜、このクラスともう一つのクラスには制限を掛けさせてもらうよ〜」
「「「えーーー!!!」」」
どうしてうちのクラス?あと一つはどこ! (あー、察し)
なんで!? (ママとユウキのいるクラス)
……ファンクラブ関係か! (十中八九そう)
文化祭、ボイコットしようかな…。 (えー! 行くの楽しみなのに…)
うっ…そう言われちゃうとなぁ。
はぁ〜わかったよ。 (〜♪)




