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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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尾行



ホームルームも終わり、後は一限だけで今日は終わり。

宿題の回収やら、2学期のお知らせ等だから授業と言うほどのものはない。

「いやーびっくりしたよ! 麻帆は知ってたの?」

「ええ。一応クラス委員だから、転入生が来るって話だけは聞いていたわ」

「アスカも気がついてたよね?なんで?」

「…机が多くなってたからね」 

「マジ? よくそんなの気がつくね。さすが!!」

そう言って抱きつく奈々。まぁこれくらいならいいか。


「ちょっとよろしいかしら」

「何かしら。困り事ならクラス委員の私が手を貸すけど…」

「いえ、そうじゃありませんわ。少し、顔を貸してくれませんこと?如月アスカさん」

めんどくさいな…。


「はー?ちょ…私のアスカに何の用?」

「…少しお話をしたいだけですわ」

「ならここでいいじゃん!」

「アスカさんが困るんじゃなくて?」

「いえ。私は別に困りませんけど?」

「っ…」

困るのはそっちだけだろうし。奈々と麻帆は事情をしっている。それに私は対策してるからね。 (絡む相手が悪すぎるの)


「言い方が悪かったのなら謝りますわ。お願いします。わたくしに少し時間をくださいませんこと?」

今度は下手に出てきたね。どうしたものか…。

確かに私も話を聞いた方がいい気がするけど、厄介事の気配しかしないんだよなぁ。

「いかせねぇよ!? 私のアスカだって言ってんじゃん!」

「ちょっと奈々!」

「麻帆も言ってよ!」

はぁ…。仕方ない、私が折れますか…


「はい、そこまでよ!!  転入生の白銀聖さん、生徒会室までご同行願います」

「はい?なんでわたくしが…」

「問答無用〜! ここでは生徒会がルールだからね〜」

あれって…。 (生徒会長と副会長。アスカファンクラブのナンバーワンとツー)

頭痛い…。


引きずられるようにして連れて行かれたけど、大丈夫か…。

お嬢様なのに容赦ないなぁ。 (生徒会がルールだ!)

どこの覇王だよ…。

「奈々!」

「グッジョブ!」

クラスの女子が教室の入り口から奈々にサムズアップして、奈々も返してるんだけど何あれ。 (多分ファンクラブに報告した)

あぁ…。なるほどね。


1限目の始まるまでには教室に戻ってきた転入生、白銀さんだけど…グッタリとかなりやつれた様子だった。生徒会室で何があった…。 (調教)

不穏すぎるよワードが! (ファンクラブとして警告と厳重注意がされた)

そか…。なんか申し訳なくなってきたよ。 (お嬢様でも容赦はねぇの)

本当に大丈夫なのかそれ…。



宿題の提出やら、いつも通りのお知らせ等があり、最後に文化祭についての資料が配られた。

「1学期から言っていたが、文化祭にクラスで何をやるか、早めに決めなきゃならんからな。それぞれ明日までに意見をまとめておけよ」

「明日!?」

「マジかよ!」

「夏休み中、考える時間があっただろうが!」

教室内のそんな会話を聞きながら、私もなーんにも考えてなかったなぁと。

もう学園祭は終わったし。 (それ魔法学園の…)

こっちで、かぁ。 私には何もできない気がするな。

ある意味全ての能力に制限がかかるようなものだし。 (料理くらいなら)

んーまぁそれくらいなら。



帰り道。奈々、麻帆と文化祭について相談してみるも、二人とも異世界カフェの話題で盛り上がっててついていけない。 (一番詳しいのに)

だからだよ! 自重しないとボロが出るじゃない。 (ぷぷっ)

笑い事じゃ…はぁ。何でついてきてるかな。 (学校で話せなかったから)

だろうけど、コソコソあとをつける? (いろいろあるのです)

やれやれ…。



今日は奈々達を家まで送り、わざと遠回り。

途中で路地に入って隠れる。敢えて隠蔽はかけずに…。

「あら…? たしかにこっちに行かれた筈ですのに!」

ふむ、この程度か。


「何か用ですか? 後をつけてましたよね?」

「ひゃいっ… びっくりしましたわ。 バレてましたの?」

「ええ。それで、何ですか?」

「お、怒らないでくださいまし…。別に危害を加えたりとか、そんなつもりはありませんの」

「…私の周辺を嗅ぎ回らせてましたよね?」

「どうしてそれを…」

やっぱりか。 (よくわかったね?)

カマかけただけよ。 (がーん! ティーがネタバラシしたかったのにー!)

それはごめん…。



話をするのに道端でってのもアレだから、近くのファミレスに入った。

「これがお友達と入るファミレスというものなのですわね!」

なにやら感動してるけど、お嬢様はこれだから。 (王女で魔王がなにを…)

ちょーっと黙ろうか? (はーい。 ぷぷー)


 

「それで、何ですか?話って」

「ここでよろしいのですか? その…周りに聞かれたりとか」

「大丈夫です」

「そうですか…。 では…先ずはお礼を。助けて頂いて本当にありがとうございました」

そう言って深々と頭を下げる白銀さん。

私は何をお礼言われてるのやら。助けた記憶なんてない。初対面なんだし。


「わたくしの弟が、難病で長く入院してまして…」

「それは、お気の毒に…」

「いえ! 今は全快して元気いっぱいなんです」

「良かったですね」

「ええ。本当に…。アスカ様のお陰です」

様!? って私が何をした…。 (えっと…奈々を治したときにね?)

まさか、そこに入院してた? (そう。で、ママも気がついてると思うけど…)

魔力だね。白銀さん、波長どころか、しっかり魔力持ってるからな。

警戒したのもそのせいだし。


私みたいに召喚や転移の経験者なのか、或いは…。

だから記憶が残ったんだよね? (そう…あの時、お見舞いに来てたその人もいて)

色々と嗅ぎまわって私に行き着いた、と? (うん)

厄介だわ…。


「我が白銀家は、先祖代々四百年以上続く家なのですが…。時折病弱で長く生きられない者が産まれます。その者には必ず共通の特徴がありまして」

「はぁ…?」

「アスカ様のように白銀の髪を持って生まれます。瞳の色も…」

「私はそちらの家庭と無関係ですよ?」

「それは存じております。失礼ながら調べさせていただきましたから。白銀家とは縁もゆかりもないのはハッキリしています」

「じゃあ何ですか?」

「アスカ様は、体調におかしな事などは…?」

「無いですね。私の髪は母親からの遺伝ですし」

「お母様ですか…。今もご存命ですか?」

「あの、失礼じゃないですか?人の事を調べまわったり、うちの母親を勝手に居ないみたいに言わないでもらえます?」

「す、すみません! ですが、アスカ様のお母様については何も記録がなく…」

それはそうだろうね。異世界から来てるわけだし。当然、こちらに戸籍も何もない。

言ったら不法滞在みたいなものだもの。

恐らく、父さんは未婚のまま二人の子持ちになってるだろうから。 (え?)

こっちはそういうの細かいのよ。母さんはこちらには何処にも存在しない人だからね。 (変なの)

こればっかりは仕方ないね。


「わたくしの事や、弟の事、何かご存知なのでは…と。病院でも弟が突然治ったのに誰も不思議に思わないのです」

「知りません。初対面ですし」

「でも弟は…」

「私が何かした証拠でも? それとも私を脅すつもりですか?」

「そんな!! 決してそんなつもりでは…。 大切な弟を…長く生きられないと言われていた聖弥を助けていただいたお礼を言いたかっただけで…」

これってシラをきっていいの? (大丈夫。証拠なんてないし、この姉と弟が気がついてるだけ)

それでよく私にまでたどり着いたな…。 (ほんまもんのお金持ちだし)

お金に物を言わせたって事か。その調べ回った人たちから何かうちの事漏れてる? (その辺はティーの強制力で何とでも)

ありがとう。となると、問題はこの人が何者かって所だけど…。




 





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