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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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オ-プン



店舗契約三日目には、居住スペース用の家具等もすぐに届けられ、重たいものはユウキやキャンディ、ノアが運んでくれると言うから、私達は仕入れに行くことにした。


ドラゴライナ王国に転移したのはシエルを始め、未亜、リア。それにリズとティー。

お屋敷ではピナさんが待っててくれて、そのまま直ぐに案内してもらった。


未だお祭りの続いている王国内はどこも賑やかで。

しかも今回行くのは商店が並ぶエリアだから、余計にかも。

街を歩くと相変わらず私は目立つようで、みんなにガードされてても声をかけられる。

髪色を変えたかったのだけど、黒は黒で問題があるし、茶色はうちのみんなが嫌がる…。

諦めるしかないね。


程々に対応しながら目的の店を巡り、色々と仕入れることができた。

一切お金を払わさせてもらえなかったのは遺憾だわ…。また何かで恩返ししないと…。 (それ、飴くれるおばあちゃんと一緒…) 

だって受けた恩は返さなきゃ! (恩を返してもらってる側だとは思わないママ)

なによそれ…。 (ママだなぁと)


まぁとりあえずシエルの欲しかった物は手に入れれたし。

何より魔装にする為に使いやすいドラゴンの鱗が格安なのは大きい。

一番必要な魔石は山のようにあるから…。


「シエルちゃん、真剣だったね」

「それはそうよ。やりたいことをやれるのよ?」

「シエル姉様、かっこいいのです!」

私は手助けをして見守る立場だけど、一番気にかけなきゃいけないのはシエルが気負い過ぎないようにする事だと思ってる。

よく言われてる様な、好きを仕事にしたら嫌いになる…そんな結末にはしたくないから。 (……)

好きな事を好きなまま、楽しんでやって欲しいっていうのが一番の願いだし。

これはもちろん本人にも家族にも伝えてある。

だからこそ、受注生産だったり、受ける数も少なくしてあるわけだし。

最悪、店を閉めるのだって手段としては頭に入れているくらいに。

そうならないのが一番だけど、何より守りたいのはシエルの心だから。



私のそんな密かな決意とは裏腹に、数日の間にトントン拍子で進んだ準備も終わり。

ご近所へのオープンの挨拶には手作りのお菓子を持っていった。シエル、未亜と頑張って作ったし! (んまかったー)

みんなも食べたもんね。焼き菓子詰め合わせ。 (可愛い箱入り!)



目玉となるシエルデザインの魔装も何着か展示され、王妃様も喜んでくれた。

早速王家から注文があったくらいには…。 

「さて、シエル。いよいよオープンだけど、みんなに何か一言もらえる?」

今日はうちの子達も集まってるし、ここは店長のシエルにビシッと決めてほしい。

「…えっと、準備とかたくさんたくさんありがとうなの…。みんなのおかげでここまでこれました。これからもいっぱいいっぱい迷惑かけたりするかもしれないけど、よろしくお願いしますなの…」

普段大人しいシエルが、しっかりと伝えた言葉だ。

私達はそれに笑顔で頷く。


「当たり前よ! 頑張りましょうねシエル!」

「だねー! 忙しいときはいつでも私が店番するからね」

「リア姉様、ティア姉様…ありがとうなの…」


「妹の夢の一歩だからね。 僕とスピネルからはお祝いにこれ」

「おめでとう…シエル」

ユウキはいつの間に花束なんて用意したのやら。

「兄様、スピネル姉様…嬉しいの…」

「ボクは店を守ります!」

「ありがとうなの、レウィちゃん…」

頼もしいガードだね。

キャンディやノアも守ってくれるって言ってたし、何よりシエルにはぼたんもついてる。

今も隣に控えてるくらいだし。


「すごいわね。まだ幼いのに…。しっかりと夢を持ってるなんて。私も頑張るわ!」

「え、麻帆の夢って何?」

「こちらのいろいろな歴史を知りたいの。いわゆる歴史学者ってやつかしら」

「うぇ…私には無理」

「奈々には何も頼まないから大丈夫よ」

「それはそれで酷い!」

この二人も相変わらずだなぁ。麻帆はドラゴライナ王国で話してた事、本気なんだ。

なら私も全力で応援したい。 (奈々は?)

んー、今は特にかな。やりたい事見つけたらその時は、だね。 (ほー)

ティーはやりたいことないの? (あるよ!)

教えてくれる? (ママのサポート! これは譲れない)

ふふっ、ありがとう。でもね、他にもやりたい事見つけていいんだからね。 (んっ!)


「アスカ、シエル。 そろそろ開店しないと! 外にお客さんいっぱいだよー」

「わかったよティア。  シエル、大丈夫?」

「……はいなの!」

シエル自らOPENへと看板をかえ、鍵を開ける。


「いらっしゃいませなの」

お店にはオープンを今か今かと待っていたお客さんが入ってきた。

私達も説明やらの接客をしながらシエルをサポート。


始めだから受ける受注は10着まで。

値段もそれなりの額だから、恐らく一般庶民では手が出ないとは思う。

この値段設定は王妃様からの要望でもあるのだけど…。

並べられた服を見た王妃様から、この店の服や魔装の場合、設定すべき値段というものを教えてもらったから。

受注の数を制限するという意味でも妥当らしい。

言うなれば高位貴族くらいしか手が出ない、そんな値段。

お店を出している場所も、そういう高級店が並ぶエリアだしね。

王妃様や私が関わっている以上、仕方ないともいえるらしいけど。

当然の様に近衛騎士様が外にいてくれてるし…。




お店に来た人の大半は、値段を見て真っ青になってた。

アクシリアス王国にも当然貴族階級はあるけど、初めて関わった気がする。

下位貴族のご令嬢には手が出ない。そんな値段らしい…。

でもまさか、貴族の人ご本人が来るとは思わなかった。 (ママと王妃様のネームはつよつよ)

シエルの負担にならないのならいいけど…。


店に並ぶのは高額商品ばかりってわけでもない。

お手軽に買えるものが無いっていうのはシエルも心苦しいみたいだったから、相談して用意したのは、シエルのデザインを魔道具にしたアクセサリー。

光ったり、可動したり、色が変わったり…。

ドラゴライナ王国のお祭り出たした景品の上位互換とでもいえばいいのか。かなり豪華に仕立ててある。

こちらはオープンセールの目玉として、本当にお手頃価格に設定。

なんせ私が大量生産してるだけだし。

シエルのデザインを広めるにはこういった物も必要だからね。 (メッチャクチャ売れた)

みたいね…。あれだけ用意したのに。 (リア達はそっちの対応に追われてる)

お陰でシエルの商談の方は落ち着いて出来てるみたいね。 (うむ)


別室でデザインの注文を受けて、その場でサラサラっと描きあげるシエルは流石だね。

対応そのものにはティアやユウキがそばについててくれてるし。

特にティアはシエルの代わりをする可能性もあるからね。


待ち時間はお茶やお菓子も出してるし、展示を見てる人もいるから、大丈夫かな。 (問題ないの!)

まぁそっちはノアがメイド姿が対応してくれてる。 (ママのためならエンヤコラ)

本当に助かってるよ。 (キャンディは、霧化して防犯)

あの子からは逃げられないからなぁ。 (万引ダメ絶対)

ないとは思うけどね。







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