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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第一章

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ギルド試験



廊下に出ると階下のギルドロビーは未だ大騒ぎになっている。

少し懐かしくなる。

緊急依頼とかで魔物の大群〜とかドラゴン襲撃〜とか参加したなぁ。



部屋に戻るとユウキがソワソワしてた。

「アスカ姉ちゃん! どうだった?」

落ち着け弟よ。


「話すから! 落ち着いて座って」

「わかったよ」

ユウキは素直に向かいのソファーに座る。

未亜ちゃんは私の隣が定位置になりつつあるね?


「王妃様からの許可はでたよ」

「よかった〜」

「ただし、一般の冒険者として。ね」

「うん?それで問題ないよ」

まぁそうだよね。慣れたものだから。


「ギルド証の発行に試験があるみたいだから頑張ってね」

「お姉ちゃん、ギルドって試験があるの?」

そっか未亜ちゃんは知らなくて当然ね。


「そうだね、必ずあるわけじゃないけど、ある程度の能力がないと危ないからね」

「討伐依頼しかないのがほとんどだからね〜。戦えないと命が危ない」

「へぇ〜。なら私は無理だね…」

未亜ちゃんも冒険者になりたかったの!?今は流石に止めるよ!


「未亜姉ちゃんはアスカ姉ちゃんに鍛えてもらってからじゃないと。魔力が高いならアスカ姉ちゃんのが適任でしょ?」

「そうだね。まぁ焦らなくていいよ、ゆっくりね」

「うん、そうする。まだわからない事ばっかりだし」

賢い子でよかったよ。


「あ、ちなみにユウキ。多分試験の相手ギルドマスターだよ」

「ほんとに?うわ、ちょっと楽しみだ」

ユウキまでニヤ〜って笑ったよ。

弟が戦闘狂で心配です。 (アスカが言う?)


「試験の準備できたら呼びに来るって言ってたから、ユウキも準備しといたら? あと私は戦闘狂じゃないからね?」

「いや、誰もそんなこと言ってないし。それに準備って言っても特にすることないからなぁ」

あれ?なんか最近たまに幻聴みたいなの聞こえるような…。


「ねぇ、お姉ちゃん。その試験って見学できるのかな?」

「どうだろう?見たい?」

「うん、ユウキ君の戦うとこ見てみたい」

この部屋でお留守番ばっかりだったものね。


「ギルドの人に聞いてみて大丈夫なら見に行こうか」

「うんっ」

「ええ〜姉ちゃん達に見られるの恥ずかしいな」

「いいじゃない。未亜ちゃんの前ですごいとこ見せてあげなよ」

「いや、アスカ姉ちゃんに言われてもなぁ…」

なんだよー。



そんな話をしてたらギルドの人が呼びに来た。

見たことない人だな。

「試験の準備ができましたので、お迎えにあがりました。ついてきてください」

「わかりましたっ!」

ユウキがワクワクしてるのがわかる。


「あの、試験の見学ってできますか?」

「お知り合いの方なら大丈夫ですよ〜。では一緒に行きましょう」

「ありがとうございます」

ギルドの人についていき一階へ、入り口とは別の扉に向かう。


「中庭が訓練場になっていまして、試験はそこで行われます。それにしても凄いですね?ギルマスが直々に試験をする事なんてまずないんですよ」

やっぱりギルドマスターが相手か。嬉しそうだったもんね。


「ギルマスは認めた人だけしか相手をしてくれませんから…それに、ギルマスの合格が貰えれば高ランクのギルド証が貰えますよ」

案内をしつつそんな説明をギルド職員さんがしてくれた。


「良かったじゃないユウキ、ここでも高ランクで有名人だね」

「あまり目立ちたくはないのだけど」

経験上ギルドで目立たないっていうのは無理だと思うなぁ。 (うんうん)



「この扉の先が訓練場です。頑張ってくださいね。 見学の方はギルマスの指示に従ってください。それではご武運を」

「ありがとうございます」

扉を開けると中庭とは思えない広さの訓練場が広がっていた。

空間の拡張でもしてるのかな?



「よく来たな! 試験の前にルールだが…これは試験であって命のやり取りではない。

まぁ君ほどの手練なら大丈夫だろう。全力で行かせてもらう」

「わかりました」

「ここはな、武闘大会なども行うから広い。存分に戦えるぞ」

訓練場の真ん中で地面に何種類か武器を突き刺し、仁王立ちしたギルドマスターが宣言する。


「見学したいんですが大丈夫ですか?」

「ああ。適当に観客席にでもいてくれていい」

「わかりました」

適当にね…。まぁ何かあっても大丈夫なように魔法防壁張るからいいけどさ。


「じゃあ未亜ちゃんいこうか」

「はぁい。どこがよく見えるかな?」

「近くでもいいよ。ちゃんと守るから」

「じゃあ一番前の席に行こ」

そう言って未亜ちゃんは向かい合う二人の真ん中あたりの最前席の客席へ私を引っぱって行く。


私達のいる場所に魔法防壁張って、これで未亜ちゃんは大丈夫。

あとは念の為、訓練場の壁全体にも。 (壁だけ…?)

これで万が一の時にも訓練場から外に被害は出ない。 



ユウキがストレージから剣を取り出し構える。

あれってこっち来る前に私が折っちゃって直した魔剣かな?


「すまない、アスカさん。始まりの合図を出してもらえるか?」

「わかりました。二人とも準備は大丈夫?」

「うむ」

「いつでも」



「じゃあ、始め!!」


キーン!

私の合図の直後、ユウキの姿は消えギルドマスターの剣がへし折れ弾け飛ぶ。

「え? 何が起こったの? 何も見えなかった…」

「ギルドマスターの構えてた武器を、飛び込んだユウキが斬ったね」

「お姉ちゃんは見えてたんだ…」


さすがユウキ、早い。あの距離を一足飛びかぁ。

ギルドマスターは直ぐ様次の武器に手を伸ばすが、掴む前にユウキの剣がギルドマスターの首筋に…。


両手を上げ降参のポーズをするギルドマスター。、

「参った…。まさかここまでとは。 武器を振ることさえできなかったな。勝てないとは思っていたが、もう少し戦えるかと」

「先手を取るのが一番早いかなと思いまして」


「では次は斬り結んでくれるか?あと武器はこれを使ってくれ。 その剣を受けられる武器がないのでな」 

そう言って地面に刺してた剣を抜いてユウキに投げる。


「わかりました」

投げられた剣を器用に受け取り、持っていた魔剣を仕舞い少し距離を取るユウキ。




「じゃあまた合図しますね」

「頼む」



「それじゃあ  はじめ!!」



今度はユウキは動かずギルドマスターの剣戟に合わせて受ける。


キンキンキンキン…とリズムよく斬り結ぶ音が響き、まるでダンスのよう。

「今度はちゃんと見える! なんか…キレイだね。踊ってるみたい」

ギルドマスターの動きもかなり早いけど、未亜ちゃん見えてるんだ。凄いな。



「受けるだけでなく打ち込んでくれて構わないぞ」

「なら、遠慮なく…」

ガキン、キンキンキン…

「くっ…ぐぅっ」


リズムが最初より早くなる。見た感じギルドマスターは受けるのにぎりぎりだね。

対してユウキはかなりセーブしてるなぁ。

「早くなっちゃって私にはもう見えないよ…」 

未亜ちゃんの視認できる速度を越えたみたいだね。


そろそろ止めたほうがいいかな?

ユウキの事だから剣を当てるようなことは無いだろうけど、ギルドマスターが自分でストップをかける余裕がなさそう。


「そこまで!!」


ユウキは後ろに飛び下がり剣を下ろす。

ギルドマスターは片膝を付き大きく肩で息をしている。

「はぁ…はぁ…。受けに回るのがこうもきついとは。しかも徐々に速度を上げてくるとか…止めてくれて助かった」

やっぱり?止めてよかったよ。


ユウキは不完全燃焼だったのか、少し不満そう。

私達は蓄積してきた年数や経験がかなりあるからね。

ある意味それが一番の強みでもあるから。


「あわよくばアスカさんにも手合わせを頼もうかと思っていたが、そんな余裕もなかったな」

そんな事考えてたの!?私はギルド証いらないし堪忍してください。


「いや〜参った参った。手も足も出ないとはこういう事なのだな。問題なく試験は合格だ。 すぐにギルド証を準備させよう」

二人ともお疲れ様です。



「アスカ姉ちゃん、魔法無しでちょっと相手してくれないかな?」

何を言い出すの?この弟は。


「おお、それはいい。私からもぜひ頼む、見てみたい」

いや、ギルドマスターは止めなさいよ!


「お姉ちゃん。私も見たい!」

未亜ちゃん貴女もですか。


「頼むよアスカ姉ちゃん」

むー。


「はぁ…わかったよ。でも加減してね?私に魔法使わせてくれないなら」

「わかったわかった(加減なんかできるわけないけどね)」 (だよねぇ)


観客席にいた私とギルドマスターが入れ替わる形になる。

未亜ちゃんの側なら魔法防壁もあるからいいね。


でも、なんでこんなことに…。


「姉ちゃん、武器は剣でお願い。 ギルドマスターさん、合図お願いします」

「任された」


剣ね、勇者時代の聖剣でいっか。

よいしょっと、ストレージから取り出した懐かしい聖剣。

振るのはいつ以来だろう。


「双方、準備はいいな?  では 始め!!」







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