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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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邂逅



アクシリアス王国、ドラゴライナ王国、グリシア王国、夕波王国。

四国間の話し合いの間、私は一度ファリスとバサルア共和国へ行ってみる事にした。


危険もあるから、連れて行くのはキャンディ達召喚獣と、ティーの分体だけ。 (何かあるまで隠れておくの)

そうね。危ないからそうしてもらえると嬉しいよ。


未亜達はギリギリまでついてくると言って抵抗してたけど、戦争になりかねない場所だからと説得。

リズを見ててほしいという理由もあるし、お願いして納得してもらった。

当のリズもついて来たいと言ってたのだけど、私もファリスも許可しなかった。

多分思いは同じ。幼いあの子を巻き込みたくない…。

リズなりに現魔王としての責任を感じてるのもわかるのだけど、リズの安全のが優先事項なんだよ。

私の自己満足でしかなく、過保護なのかな。やりたい事をさせてあげるべきなのだろうか…。


悩んでいたらリアがリズを抱きかかえた。

「リズはアスカに勝てる?」

「絶対に無理なのです! お母様は最強なので…」

「じゃあ任せちゃえばいいのよ。今はまだ私達母様に甘えていいの。ね?」

「…はいなのです」

「ありがとね、リア」

「アスカは無茶しないでよ?」

「うん」

不安そうに見つめてくるリアと、今にも泣きそうなリズを撫ぜる。


「未亜もみんなの事お願いね」

「わかったよ、お姉ちゃん。私達は留守を守るね」

「ありがとう。シエルとレウィの事も任せるから」


今回、珍しくついて来ると一番食い下がったのがレウィだった。

獣人の国なら役に立つかもしれないと。

気持ちは嬉しいのだけど、あの子は厳密には獣人ではなくフェンリルだ。

ましてや草食系獣人の人達のもとへ行くのに。

私達にとっては可愛いわんわんだとしても、パワーバランスを考えると連れて行くのは…ね。



レウィは前回のドラゴライナ王国で起きた、ダンジョンへの奥様たちの救出作戦の時に、魔力切れで足手まといになったから?とひどく落ち込んでしまい、違うと言ったのだけど…。

今はシエルが慰めてくれてる。

悪いことしちゃったな…。 (ティーも見とく!)

お願いね。



「魔…、アスカ様。あちらへ行かれますと確実に騒ぎになりますからお覚悟を」

「うん。わかってる」

ハルナさんの島で経験したから理解してる。 



ーーーー

ーー




ファリスに渡した魔道具から拾てあった座標に転移したのだけど、島とは思えない広さ。

探索を広げたけど、大陸と言っても過言ではないくらいに広い。

目の前には広大な牧草地が広がり、遠くには風車らしきものが見える。 (ママ、あれ! かわいい!)

うん? あー、あの子達だよ森で見たの

ティーが言ってるのは、可愛らしい耳の短いうさぎみたいな子達の事だね。 (そうそう!)

「ファリス、あの子達って?」

「今年生まれたばかりのウサウラの子供たちですね」

そんな名前なんだ…。


大人になると小型犬くらいのサイズになるらしく、ふわふわの毛を春になると刈り取り、毛糸になるんだとか。羊みたいだな…。

ファリスからそんな説明を受けていたらドドドっと足音が。 (キターッ)


駆け寄ってきて平伏されるものだからいたたまれない。

ロウがついてるなら止めてほしかったよ?

「ようこそ。まさか魔王様がおいで下さるとは思いませんでしたぞ」

「ロウ! 早く仕事に戻らせなさい。貴方がついていながら何をしているのです」

「しかしファリスよ。止められると思うか?」

「…それは」

揉め始めた二人を止めて、魔族の人たちに声をかける。


「出迎えてくれてありがとね。 でもやらなきゃいけない事を優先してもらえる?」

元気に返事をした魔族の人たちは、一人ずつ私に頭を下げると各々仕事に戻っていった。

「流石は魔王様ですな。未だ衰えることのない統治力!」 

「そんなんじゃないから」

この程度で国が統治できたら世話ないよ…。


「それよりロウ、懐かしい子に会いたくない?」

「懐かしい…ですか?」

ファリスと顔を見合わせふふっと笑い合う。

「懐かしい子ですよ。私もびっくりしましたから」

再会したファリスは、ノアを抱きしめて一頻り泣いた後、鈍ってないかと戦ったらしい。 (凄かった!)

まぁ、ノアの師匠だからなぁ。


キャンディ達と一緒にノアを呼び出す。

チョコ達とは当然面識のあるロウは、召喚獣としては見慣れないノアを見て固まった。 

「お久しぶりです…ロウ様」

照れくさそうに笑うノア。

「…まさか!?」

ロウだって決して忘れてないノアの姿に、抱きつこうとしてファリスに殴られた。


「何をする!」

「年頃の娘に抱きつくジジィがいますか!!」

「久々の再会を邪魔するでない! ノアは嫌がったりせんわ!」

「いえ…流石に抱きつかれるのはちょっと…。私は魔王様のものですし」

「なっ…」

ノアのそのセリフにショックを受けているロウが少し可哀想になる。


キャンディはそんなロウを見てころころと笑う。

「あははっジジィが振られたわね〜。 それよりますたぁ、どうしてここへきたのよ〜?」

「一度どんなところか見ておきたかったのと、一目みんなに会いたかったからかな」

私の治めていた国の人達だもの。その子孫だったとしても一度無事な姿を見たかった。

ハルナさんの所より人数も多いし、こちらで産まれたであろう幼い子達もいた。

本当にこちらで幸せに過ごしているのだろう。

そんな姿が見られてホッとした。



ファリスとロウに先導されて、今住んでる場所を案内してもらっていたら、大きなうさぎ耳をぴこぴこさせた人達が数人こちらへ向かってきてる。

「アスカ様、今お世話になっているこの島のトップの方々です」

そうファリスが耳打ちしてくれた。

なるほど…。じゃあ私もお礼を伝えなきゃ。


そう思っていたのだけど…。

「船の準備が出来たので避難してください! こちらがアクシリアス王国、国王陛下と王妃様への書状になります。これを渡せば無碍にはされないはずですから」

挨拶をする間もなく、そうまくし立てられた。


「私達は逃げないと申し上げたはずです…」

「いえ、逃げてください! このトゥルーグラス島が包囲されるのも時間の問題です! そうなる前に…」

「まさか…」

「はい…。交渉は決裂しました。元首国として交易をするのなら、退けてみせよと…」

そんなに切迫してるの!?

「ファリス、説明してもらえる?」

「はっ…」

「あの、こちらの方は…?」

「最強と謳われる先々代の魔王様ですぞ」

「ちょっとロウ!?」

「こちらの方々には真実を説明してありますから」

ならいいけど。その紹介のされ方は複雑だわ…。 (間違ってはないし)

まあ魔王ではあるけどね…。もう否定するつもりもないし。


「でしたら、皆さんを連れて避難してください。私達では退ける事は不可能ですから…」

とはいってもなぁ。見捨てるのも…。

「いくつか質問してもいいですか?」

「はい?構いませんが…」

私は疑問に思ってる事を訪ねてみる。

できるなら戦いは避けたいし…。 (ママなら威圧だけで止められそうだけど)

それは最終手段。まずはそうなる前に止められないか、だよ。

よその国の事に部外者の私が直接手を出すのは、本当に最後の最後だ。 (はーい!)










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