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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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ヘルプ!!



ブロックのように積み上げられ、外観の完成した宿。

うちの子達の力作で、水族館に行った時に宿泊した宿の影響も大きく出てる。

内装はこれから手を入れていくようで、未亜とシエルが布製品を、リアとキャンディ達は細かい内装の装飾や、部屋割をするそう。


私はティー、リズと露天風呂や、館内の魔道具関連を進める。

ユウキとスピネルはすでに次の工事に入ってて、整地やらを始めてるからまたそちらも早めに資材の発注が必要になるかもしれない。


「あれ…レウィは?」

「プリンと見張り! また誰か来そうだし」

「立て続けだったもんね」

ハルナさんに夕波陛下とお客様が目白押しだったから。



露天風呂はやっぱり石造りがいいなと思い、大きな石類で囲って浴槽部分を作り、床も敷石を並べて石畳に。

周囲はぐるっと目隠しになるよう竹で囲いを作った。

正確には竹ではないのだけど、似たようなものがあったから…。

夕波王国の島でしか取れない植物らしい。


リズもお風呂は見慣れたものだし、シャワーとかも大好きだから、希望する場所に設置していく。

「お母様、温泉は一つだけなのです?」

「ううん、ユウキやレウィもいるし、父さん達も来るかもしれないから壁で二つに区切るよ」

「わかったのです!」

リズとティーは、区切るなら〜とシャワーの魔道具等の設置場所を追加していく。



部屋に仕切りをつけて、あとはお湯を張れば使えるって段階で、転移の通知。 (ティアー?)

ううん、ファリスだね。ノアが喜ぶな。


そう思って許可したのだけど、転移するなりファリスに助けを求められた。

「魔王様! いえ…アスカ様、助けてください!!」

「どうしたの? 助けようにも内容を話してくれないと…」

「は、はい!!」

こんなに慌てるファリスとか魔王現役時代にもあまり見た記憶がない。



「実は…」

ファリスの話の内容を纏めると…


今現在、ファリス達魔族の人達がお世話になってるバサルア共和国。

そこも夕波王国のような島国だけど、各島が独立した国であり、それらが纏まって共和国制をとっている。

そのため、数年毎に元首国が変わるという複雑なもので…。

時には国の名前そのものが変わる事もあるそう。

まぁここまではユリネさんに聞いていたのと同じ。

私の知ってる共和制で例えるなら、元首国が大統領みたいなものと思えばいいのか。

選挙をしているわけではなく、交代制だから意味合いが違うけど、こちらはそういうものらしい。



「次の元首国になるのが、所謂草食系獣人の国でして…。新たな国と交易等を始める時に、任せて大丈夫なのか?という声が出たようでして」

「うん?草食系獣人さんの何がだめなの?」

「平和的すぎると…。未知の国と関わるには不安が残ると言われたようです」

ファリスの話では、島毎で種族が違うらしく、不安の声を上げているのは、当然猛獣やらの肉食系の獣人さん達。


ファリス達魔族がお世話になっているのは草食系獣人さんたちの国だから困っていると。

「肉食系対草食系で、意見が真っ向から割れていまして…。最終的に海戦をして決めようとまで言い出されたそうなんです…」

「それは演習とか模擬戦のレベルではなく?」

「はい…。下手したら大きな戦争になりかねないと上層部が頭を抱えてます。それで私達には逃げるようにと…」

巻き込まないようにか…。どこまでも優しいね。


「しかし、これまでお世話になっておいて、逃げるというのは余りにも…」

「そうね…。かと言って戦争に加担したくはないんでしょう?」

「ええ。守るためになら戦う覚悟はしていますが、できれば戦う前に止められないかと、お知恵を借りに参りました」

難しい問題だな。

国の事に他人が口を出していいのかわからないし、かと言って放置するわけにもいかない。


「少し時間はある?」

「はい。直ぐに戦争とかそういった切迫した状態ではないので」

「じゃあ、今後交易をする、各国に状況の説明をしてくるよ」

「各国のトップと面識がお有りなのですか!?」

「まぁ…そうだね」

アキナさんに至っては叔母だし、夕波王国の陛下は面識がある。

アクシリアス王国とグリシア王国はどちらも王女が恋人だし…。 (そう聞くとママの交友関係ヤヴァイ)

だね、改めてそう思う。


「あ、ファリス。ノアがいるから会っておいで」

「はい!? え?魔王様…?何を仰っておられるのか…」

「ティーとリズが案内するよー」

「なのです!」

二人に手を引かれていくファリスは、未だ訳がわからないといった様子。

事情は本人から聞いたほうがいいね。きっとびっくりするよ。


私は…まずはアクシリアス王国かな。

バサルア共和国から近いのはアクシリアス王国かグリシア王国だし。


ーーーー

ーー


アクシリアス王国へ転移したら、ユリネさんがちょうど部屋の掃除をしてくれてたから、会うことができた。

「アスカ様! ひどいです!!」

「え!?」

会うなり怒られてるのはなんで!?

「あのメイドがアスカ様の変装だったなんて!」

あー…。

そういえばユリネさんはお休みをもらったとかで、正体がバレた後には会ってなかったな。


拗ねてるユリネさんはちょっと新鮮で、可愛らしい。

「ごめんね、私のわがままだったから…」

「目の前にアスカ様が居られたのに気がつけなかったのが悔しくて…」

変装してたからなぁ。


お詫びも兼ねてハグしてあげたら、真っ赤になった。

押し倒したり散々してきたのに…。 (するのとされるのは…)

そうなのね…。

座り込んでしまい、仕事にならなくなったユリネさんの代わりにドラゴン姿のティーが王妃様を呼びに行ってくれた。 (任せてー)

助かるよ。


ユリネさんをソファーに誘導して座ってもらい、様子を見ていたらティーとアルフィーがすごい速さで移動してくるのがわかった。

相変わらずの機動力…。

追いかけるように王妃様とシルフィー。


バーンっと飛び込んできた勢いのまま飛びついてきたアルフィーを抱き止めると、嬉しそうに甘えてくれる。

「おねーさま! またせんぞくになってくれるのですか!?」

「ごめんね、今日は違う用事だよ」

「そうでしたか…」

しゅんとしてしまったから可哀想になるけど、もうメイドは懲りたよ…。

周りへの迷惑がえげつないんだもの。


「おねーさま、こっちのメイドはどうしたのですか?」

「少しそっとしておいてあげて」

ユリネさんを見ながら可愛く首を傾げてるけど、幼いアルフィーには説明しにくい。 (ママパワーでヤラれた!)

言い方ね? (あってるよ?)

まぁ…そうかもね。ハグしただけなんだけどなぁ。







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