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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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過酷な訓練



島に戻った私は、キャンディ達召喚獣を全員呼び集めた。

「ますたぁ、みんな集めてどうしたのよ〜?任務かしら〜」

「確かに任務といえば任務だね。 ノアを鍛えてくれてる貴方達にお願いがあるの。ノアもよく聞いていてね」

「はい」

何をするのか知っておく必要があるし…。

知っていたところで…ではあるのだけど。



「ますたぁ、訓練でもするのかしら〜?」

「うん。ノアはまだ魔力操作に慣れてないし、魔法を使っている時、不意の事態に弱いから、それを補うためにね」

これは私自身師匠にやられてかなり過酷だったから、緩めにはする。

でも、この訓練を乗り越えればどんな状況でも冷静に判断ができるようになるから。

私が不意な戦闘等にある程度冷静でいられるのはこのおかげ。

それでも未だに経験の無いことには焦ったりと対応できない時も多々あるけれど…。


訓練方法をキャンディ達に教えておく。

こちらにいる時は私自身も実行するつもり。 (ティーも!)

お願いしていい?一番この訓練に向いているのはティーとキャンディだから。 (任せて!)



みんなには解散してもらい、ノアには再度確認のため、説明しておく。

「今から暫くノアには一人で行動してもらうからね。勿論夜に眠るときも一人で」

「訓練の為に必要なのですね。わかりました!」

「そう。過酷だけど頑張って」

「魔王様直々に鍛えてくださるのですよね? 嬉しいです!」

無邪気に喜んでるから罪悪感が…。 (しかたないのー)

うん…。本来一人になる必要はないのだけど、うちの子を巻き込まないためにはやむを得ない。



それからノアはありとあらゆる状況下で、不意打ちを受けたり、ティーに突然なぞなぞを出されたり…。

食事中だろうが、休憩中だろうが、一切の容赦はない。

私も危なくない方法で、何度か不意打ちを仕掛けた。

魔召界にもどってもチョコ達からもそれは続く事になる。

寝ていても叩き起こされ、魔法に関する問題を出されたり、魔法を使わさせられたり…。

対応できなければペナルティが発生して、チョコ達とのガチめな模擬戦に突入する。


私もこれを師匠にやられた。

寝ている夜中だろうが、対応できなければそのまま訓練場に連れて行かれて、ボロボロにされ…。 (ママが戦闘に関して冷静なのは…)

うん。この訓練のおかげ。師匠にはまだまだだって言われてたけどね。

ある程度対処できた時点で時間がなくなり、魔神討伐に出発したから。 (完璧ではない?)

そういう事。

師匠曰く、100%を求めるのは無理だろうって。

そんなのは感情をなくした戦闘狂だとも言われたよ。 (そんなママはヤー!)

ならないよ。今も違うでしょ? (うん!)


どうしたって初めての出来事や不測の事態は起こる。その時にある程度冷静に判断できるようになれば充分だって言ってた。 (ママは恋愛系の不意打ちには弱い…)

…うるさいよ? 師匠だって私がそういう不意打ちしたら慌てると思うよ? (見てみたい!)

後が怖そうだからやだ…。 (ちぇー)

気にはなるけどね。 全く取り乱さなかったらそれはそれで悲しいかもしれない。 (乙女心は複雑)


 


島の開発と並行して、この訓練は続けられてる。

ハルナさんが、たった一日で手配してくれた資材は、リア達が運んでくれて、うちの島に並べられた。


私がその資材をブロック状に加工してたら、プリンが上空から急降下でノアに不意打ちを仕掛け、それを躱したスキをつくようにティーが仕掛けてるのが見えた。

ティーにも魔力操作で飛ばせるボールを作ってあげたからそれを使って。


ナイフにしなかったのは遊びとして使いたいって言うから。

実戦用も一応用意はしてはあるけど、まず使うことはないんじゃないかな。 (また狩りとかになったら使いたい!)

じゃあその時になったら渡してあげるね。 (やったー!)


トリッキーな動きをするボールを間一髪で躱したノアは、手持ちの同じもので応戦。

訓練だからノアにもティーのと同じボールを渡してある。

「アスカ、昨日からずっとなんだけど大丈夫なのかしら…」

「ちょっと可哀相だよ…お姉ちゃん」

「そろそろ一度休憩は挟むつもりだよ」

みんなにも事情は説明してあるとはいえ、傍から見てても心も体も休まらないのは確か。


一度ケアする頃合いかな。

「キャンディ、そろそろ休憩しようか」 

「わかったわ〜。みんなにも伝えておくわ〜」

「お願いね。ノアには私が伝えるから」

ティーもね。 (はーい!)


「お母様…」

「ごめんね、リズ」

この訓練を始めてから、多少なりとも空気感の違いを感じ取ってるリズは、私にベッタリになってる。

ノアから常に緊張感というかピリピリした雰囲気がでているからな。

リズのケアもしてあげないと。

でも、原因は私だから未亜やリアに任せたほうがいいのかも?


「リア、未亜。しばらくリズを任せていい?」

「いいけど、アスカはどうするのよ?」

「訓練を始めたのは私だからね。ノアのケアもしないと…」

「わかったよ。任せてお姉ちゃん!」

「お母様!!」

「リズ、大丈夫よ。一旦訓練は終わり。ね?」

そう言ったのだけど、縋り付いてイヤイヤと離れない。



「連れて行ったら?ノアが落ち着けばリズも落ち着くんじゃないかしら」

確かにリアの言う通りかも。リズが私がいいというのなら私が見てあげたい。

リズを抱き上げノアの元へ。


「ノア、訓練は一旦休憩だよ」

「……本当ですか?」

「うん。嘘は言わない。今夜は私と過ごそう?」

「マスタぁ…。 キツかったですぅ…」

へたり込むノアは相当まいってるね。

「ごめんね…ノア」

甘えてくるから撫ぜてあげてたら、ノアも抱いているリズも少し落ち着いたみたい。

私は師匠みたいに鬼畜なことはしない! (何されたの?)

”今日は休憩だ“って言われたのに、当たり前に不意打ちされたのよ。 (ひどっ!)

まぁ、私の場合は命がけの戦いに行くわけだからね。仕方なかったんだろうとは思う。多分…。

ノアはそうじゃないから。 (うんっ) 



その日の夜は、ノアとリズと三人で過ごした。

リズは私の隣ですぅすぅと寝息をたててる。

でもノアは…。

ノアってこんなに甘えたっけ?私に抱きついて離れない。

「マスタぁ…」

「うん?どうしたの?」

「マスターにくっついていると安心します」

「そっか。やっぱり辛かった?」

「はい。片時も気を抜けないのは…。 でも、徐々に対応できるようになっていくのは実感できてますから…」

「だね。見ててもわかったよ。プリンとティーのコンビネーションが完璧な不意打ちをしっかり躱してたからね」

「マスタぁ…。 この訓練が終わったら私をマスターのものにしてくれますか…?」

「え?でもそれって…」

「それくらい大きなご褒美がなきゃ辛すぎます…」

「私は嬉しいけど、ノアはいいの?」

「…意地を張っていただけなんです。 再会した魔王様には大切な人がたくさんいて…。もちろん私より強い方もいて」

「……そうね」

「でも、想いだけは誰にも負けない自身があります。それに気がつけましたから!」

そう言って笑うノアは私をまっすぐと見つめ、記憶にあるいつも私に向けてくれていた優しい笑顔だった。


「わかったよ。じゃあもうしばらく訓練頑張ろうね」

「はいっ!」

頑張れるようにって、ノアのおでこにキスしてあげたら真っ赤になってて可愛かった。


















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