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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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ドラゴライナ王国の王女



島に上陸してきたのは、ハルナさんとドルチェ。

「絶対なんやおもろいもん作ってると思てこの子連れてきたんやけど、予想以上やな…。なんやのんこれ…」

「魔王様、こちらは…?」

「見てたらわかるよ。もうすぐうちの子達が降りてくるから」


浮き輪に乗ったティーとリズが滑り降りてきたのを見て、遊具なのは理解してもらえたようで、ハルナさんが自身の島にも欲しいと。

でも…

「すみませんオーナー、僕では再現不可能です…」

「どうもならんの?」

「水流の魔道具は作れても、ガラス製のパイプ等、僕ではとても無理です」

見た目重視にしたからな…。


「そうかー。なぁアスカちゃん。これ、他のもんで代用できへんかな?」

「耐水性や、人が乗るのでそれ相応の強度が必要になりますから…」

「キッツいな、それは…。木材じゃあかん?」

「そうですね。水着で滑るので、表面がささくれたりしたら怪我の原因にもなりますし」

「石材では重すぎるしなぁ…」

こっちはプラスチックとかないものね。


「私が作ってもいいですよ?」

「ありがたいんやけど、そうもいかへんのや…。アキナと契約書交わしてるからな」

契約書?

どんな内容かと思ったら…。


ハルナさんの抱えてる職人で再現できるものなら、前と同じように直接私と契約できるけど、私しか作れないものの場合、アキナさんというか、ドラゴライナ王国との交渉になるんだとか。

「せやからな、うちがアスカちゃんに頼んで作ってもらっておしまいって訳にいかへんのや」

知らない間にそんな契約が…。 (ハルナさんが無茶言わないようにって)

アキナさんがストッパーになってくれた訳ね。 (そうそう)

知らない所で助けてもらってばかりだよ。


ハルナさんは、アキナさんとどうやって交渉しようかと難しい顔で考え込んでしまった。

「あの、魔王様? このガラス、どうやって作られたのか教えて頂くことはできますか…?」

「勿論だよ。ただ、真似できるか保証はできないよ?」

「はい。好奇心ですから…」

ドルチェも職人だね。


魔力ドーム内でガラス玉を作るのを見せてあげたけど、やっぱり再現は不可能らしい。

一応、魔力ドームは教えてあげたのだけど、その中で高熱をかけて、砂をガラスにして成形するというのはあまりにも高度過ぎると。

「やはり魔王様は魔王様です…」

そう言ってキラキラした目で見られるとくすぐったいのだけどなぁ。



結局、ハルナさんはまずアキナさんと交渉してくるって帰っていった。

結果次第では、私に工事の依頼が来るかもしれない。

一つ助かったのは、うちの子達が希望している建物等を建てるための資材を手に入れる目処が立ったことだろうか。

ハルナさん御用足のお店に話を通しておいてくれるらしい。



さてと、次はユウキ達の様子でも見に行こうかな。 (いってらっしゃーい)

いい子にしてるのよ? (うん!)

皆もいてくれるし、大丈夫よね。 (伝えとくー)

お願いね。



ーーーー

ーー



ドラゴライナ王国のお屋敷に転移したけど、建物内に家族は誰もいない。

メイドさんに確認したら、ユウキ達はギルド。両親は屋台らしい。


取り敢えず顔だけでも見せておこうと思い、まずは両親の屋台へ。

すごい行列ができてたからすぐに見つけられたけど、なんで私の名前で唐揚げを売ってるの?

”アスカ王女の特性レシピが食べられるのはココだけ!“ って…。

父さんなんて隣でビールみたいなお酒売ってるし…。


「母さん、これどういうこと?」

「あ、アスカ! 凄いでしょー?王女の名前は効果抜群だね!」

「いや、勝手に私の名前使って何してるの…」

「だって、アスカのレシピでしょ?」

「確かにニンニク醤油はそうだけど…」

母さんと話してたら、私に気がついたお客さん達が騒ぎ出してしまい、警備の親衛隊の人達に迷惑をかけてしまった…。


「アスカ〜、久しぶりじゃねぇか! ほれ、飲んでけ!」

「父さん酔ってるね?私、未成年なんだからお酒勧めないで!」

「四百越えた魔王だろ?」

「…殴っていいかな?」

「いいよ、酔いも覚めるだろうからガツンとやっちゃって!」

年齢に関しては母さんも触れられたくないからか、許可がもらえた。

「待て待て!! ジョークだから!」

「全く…」

私は手を出さなかったけど、結局母さんにひっぱたかれて、周りの酔っぱらいが大騒ぎ。


「勇者様、負けるなー! ヤラレっぱなしでいいのー?カッコいいとこ見せてよー!」

「巫女様ー! やっちまえー!」

…何これ。観客付きの夫婦喧嘩とかやめてほしいよ!? (それ、毎日やってる)

はぁ!? うちの両親は本当に何してんのよ…。 (お客さんも喜ぶし、売り上げ伸びるからって)

よし、関わるのやめよう。 (それがいいの)



喧騒を後に屋台エリアを離れて、街のギルドへ向かう。

さっきの様子からして、街に一人で行くと大変な事になりそうだし、変装していくか。 (……)


ユウキ達は、街の中心地にある一番大きなギルドをいつも利用してるそうだから、転移門を使い移動。

転移門の騎士様にだけは事情を説明して、ギルドカードを提示。

変装している理由を察してくれるから有り難いよ…。



ギルドは狩猟大会の精算で来て以来か。

中は相変わらずの賑わい。

ワクワクしてしまうのはもうクセというかそういう身体になっちゃってるな。

こういう雰囲気は懐かしくなるら仕方ないね。

依頼とか何があるのかな?待ってるだけなのも暇だし、ちょっと見てみるか。

……やっぱり、狩り依頼が一番多いなぁ。


「あーーー!! いたーーーーー!」

なに!?

「黒髪ニンジャ!!」

「確保ーー!!」

え? え? (あちゃー…)

依頼の掲示板を見てただけなのに、隣にいた女の人に叫ばれて、ギルドの人たちに囲まれてしまった。


私なにかした!? (したっちゃーした)

何を? (ギルド試験…黒髪ニンジャ)

あー…。 え?まさか恨まれてるの? (ううん)

じゃあ何! (まぁ、話聞いたらわかるから)

何よそれ…。


ジリジリと包囲を狭めてくるギルドの人たちが怖すぎるんだけど、逃げていいかな?

「姉ちゃん、なにしてんのさ? 変装なんかして」

「ユウキ! 助けて!」

ナイスタイミングで帰ってきた!

「わう?主様!!」

人混みをすり抜けてきたレウィは目の前に来て尻尾を振ってて可愛いけど、今はそれどころじゃ…。

…撫ぜるけどさ。


「ユウキ…どーんってする…?」

「ダメだってスピネル。大惨事になるからそれ」

「でも…アスカお姉ちゃん困ってる…」

「自業自得だけどな」


ひどいよユウキ。うぅ…なんでこんな目に…。











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