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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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ママメイド



「一先ず皆様お食事をしてください。アキナさんには私もお話があります!」

「な、なに!?うちの王女が怖いっ!」


変装は解いたまま食事のお世話を終わらせ、陛下と王子夫婦は王妃様に追い払われるように退席。

なんかすみません…。


「アスカ、説明ー!」

「ちょっと待ってね…」

自分で始めたことくらい最後まで終わらせないと…。

「片付けはお任せください。後はすぐ済みますから」

そう言ってくれたネネアさん達に仕事はさせてもらえず…。


私はみんなに説明しなければいけなくなった。

せめて夕食の後片付けが終わるくらいまではきちんとメイドさんしたかったな…。

早く早くと急かすティアに捕まってしまってはそんなことも言ってられないか。



…………

………



「嫁たちの女心を理解するため、女の子としての修行ね〜。アスカちゃんは難しく考え過ぎじゃない?」

「そうでしょうか…」

「陛下に似て美人…大丈夫」

嬉しいけど、そういう問題では…。


「それよりアキナさん! なんですか?メイドにセクハラするのは挨拶だなんて!」

「えっ…? ナンノコトカナー」

「陛下…またやったの…?」

「ちがっ! 最近は控えてるよ!」

最近は?控えてる? (墓穴掘ったナー)


「私はそれを見て育ったんだもの」

「セルナ!!」

「アキナさんですよね?元はといえば…」

「だって可愛い子は手を出しておかないと!」

スノウベルさんが氷のように冷たい目をしてるけど良いのだろうか?


「…アスカちゃんの嫁になろうかな…」

「スノウ!?」

とんでもない事言い出したし! (修羅場だー)

巻き込まないで…。 (これが寝取り)

取ってないし、またどこで覚えてきたの!! (リアの実家でリアと未亜が言ってた)

あーもう…。



「お祖母様のせいでお母様が私のフィアンセにセクハラしたんです!」

「シルフィーまで!」

「おばあさまだめだめです」

「アルフィーその目はやめて? 謝るから! スノウも、お願い!」

あちこちから責められてあたふたするアキナさんはめずらしい。 (え?しょっちゅうだよ?)

はい!? (嫁が多いから…)

あぁ…。って! 知りたくなかった情報!


「ひゃんっ… 誰!?」

「へぇーちょっと楽しいかも」

「ティア!!」

うちの子達が変なことを覚えていく!!


「それなら私だって!」

「アルフィーもー」

もうめっちゃくちゃ!


「今のアスカちゃん、とっても可愛らしくて女の子よ!」

「王妃様、私が求めていたのとこれは違います! シルフィー、触ろうとするのはやめて!! アルフィーも!」

「なんか楽しそう!」

「アキナさんは本当に自重してください!!」

「陛下…帰ったらみんなでお説教…」

「そんなぁ…。 セルナ、今夜泊めて」

「うちは構いませんが…。大丈夫なのですか?」

氷点下の視線を送るスノウベルさんがすべての答えだよね。 (なむー)

縁起でもないからやめなさいって。




最後は大騒ぎになって私のメイド修行もお終い。

得るものもあったけど、失ったもののが多いような気がしてならない…そんなメイド修行だった。

「アスカ、リアたちにもちゃんと説明してあげなよ?心配してるから」

「わかったよ。ティアもごめんね…」

「いいよー。私達のためって考えてくれてたんだし」

裏目に出てないか不安だけどね…。


「こっちは大丈夫だから待ってる人の所に行ってあげなさい」

「ありがとうございます王妃様」

「アスカ様…せっかく専属メイドになっていただいたのに…」

「さみしいのです…」

「ごめんね、また会いには来るから」

二人も私の修行で振り回しちゃったかな。 (楽しんでたし!)

ティーもありがとね。 (あい! 向こうで待ってる!)

了解。



すぐに転移しようと思ったのだけど、せめて寝るまではメイドでいてほしいとシルフィー、アルフィーに頼まれては断る理由もない。

私も中途半端は嫌だったから。


お風呂のお世話やベッドメイキングなどをして、今夜は一緒に寝るという二人に本を読んであげた。

アルフィーは直ぐに寝てしまい、スヤスヤと可愛い寝顔。


「アスカ様、今はアスカ様ですよね?」

「うん。もう変装もしてないからそうだね」

何が言いたいかわかったから、シルフィーに朝のお返し。

「んっ…あすかさまぁ…」

「アルフィーが起きちゃうよ?」

「…っん… また来てくださいね?」

「…ん。約束するよ」

私だって会いたいもの。


撫ぜてあげてたら眠ったシルフィー。

部屋のテーブルに二人へのプレゼントとしてお菓子をいくつか置いて、そっと部屋を出た。


廊下にでると巡回中の騎士様が。

「アスカ様、お疲れ様です」

「アリアさんも。 夜勤ですか?」

「はい。その為、お会いできませんでしたが…」

昼間に会わなかったものね。


巡回するアリアさんとしばらく一緒に話しながら歩き、少しだけど二人の時間も取れた。

いつもの別棟まで一緒に来てくれたアリアさんとハグをして、グリシア王国へ転移。


ーーーー

ーー


「ママ!」

「お母様!」

待ち構えていた我が子が飛びついてきたから抱き止める。

「ただいま」

「おかえりなさいなのです!」

「こんな遅くまで起きてて眠くないの?」

「お母様と一緒に寝るのです」

「じゃあ一緒に寝ようか。ティーもね?」

「うん!」

甘えてくれる二人が愛おしくて仕方がないよ…。


二人を抱えてベッドに潜り込む。

「リア達は明日ーって言ってた」

「わかったよ…」

今夜は我慢してくれたってことね。 (みんなリズのお母様だし)

そっか。うん、そうだね…。


ティーを片手に抱いて、反対側で安心したように眠るリズを撫ぜていたら私も眠くなってきて、ぐっすり眠った。



翌朝はドタドタと部屋に駆け込んできたみんなに揉みくちゃにされて…。

「お姉ちゃん、大事な用事ってなんだったの?でかけたまま帰らないから心配したよ…」

「本当によ! 嫁と子供を置いて帰らないとか酷いわ!」

「なの…何か問題があったの…?」

「あ、シエル! これにサインしよう」

「お姉様…、これは?」

「シエルのお店の準備ができたからって王妃様が持たせてくれた書類だよ」

「お姉ちゃんの用事ってそれだったの?」

「うん、これも一つの用事なんだけど…」

「歯切れ悪いわね? 正直に言いなさいアスカ!!」

「話すから!」 

取り敢えず着替えさせてほしいな。


「うるしゃーのー!」

「うぅ…お母様達、リズもいるのに…朝からはしたないのです」

「ごめんね!? リズちゃん。おはよう」

「おはようなのです、未亜母様」

リズとティーも目を覚まし、ようやく開放された私は着替えながらもみんなに説明。


………

……


「ティー、アスカの証言は本当?」

「ママは嘘なんて言ってないの!」

「ならいいけど…よりにもよってなんでメイドなのよ。それなら私だってアスカに専属メイドになってもらいたいわ!!」

「リアちゃんズルい!!」

「…羨ましいの」

「お母様のメイド姿見てみたいのです!!」

「それでしたら私におまかせを! さぁマスター。お着替えですよ!」

「ちょっと、ノア!? 今着替えたところだから!」

「ますたぁのメイドねぇ〜確かにそそられるわぁ」

キャンディまで!


抵抗虚しくメイド姿にさせられた私は、その日一日グリシア王国のお屋敷でメイドをするはめになった。

「アスカ様!?何をされているのですか!!」

当然ストレリチア様達にも見つかる訳で…。

「折角だからストレリチア様達も今日はメイドをお休みしてください。私がお世話しますから」

「アスカ様にそんなことをさせられませんわ!」

「はい。メイドではなく王子様ですし…」

それも違うからサラセニア。


結局、うちの子達に説得されて、ようやく了承したストレリチア様達にも今日はお嬢様になってもらおう。

この際だから徹底的にお嬢様扱いしてやる。

照れてもだめだからね未亜! やってほしいって言ったのは貴女達なんだから!! (ママが本気だ…)


「マスターにこれ程メイドを完璧にこなされては、本職として立つ瀬がありません!」

「ノアお嬢様、何かご希望はありますか?」

「ひゃいっ! えっと…でしたらお姫様抱っこというものを…」

「畏まりました」

「ふわぁ〜…魔王様のお姫様抱っこ…」

「ずるいわ〜ますたぁ…私も〜」

「少々お待ちください、キャンディお嬢様」

「はぅっ…ますたぁが私をお嬢様って…夢かしらこれ〜」


………………

…………

……




「ママは一日みんなをお嬢様としてちやほやしまくって、みんなが先に真っ赤になってダウン!!」

「お母様の完全勝利なのです!」


「ティー達のママさいきょー!」

「さいきょーなのです!」


「やっぱり私の目指してたのとなんか違う!!」

「お嬢様は何をなさっているのですか…」

「言わないでピナさん。私ももうわかんないの」

「お客様がおみえですからお嬢様がメイド姿では困ります。お着替えください」

「わかったよ…。お客様ってだれ?」

「こちらの王太子様です」

「はい!?」

ライオネスト様が何故にうちを訪ねてこられたの!?

















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