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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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専属メイドと王妃様



王妃様が何処にいるか聞いてなかったけど、意識すれば魔力の高い王妃様はすぐに見つけられた。

場所は、以前魔道具の勉強会を一緒にした一番奥の部屋か。


重い扉をノック。聞こえてるのかわからないけど…

「キサラです」

「入っていいわよー」

すぐに返事をしてくれたから待たせてしまったかも。


「ひにゃあっ!」

部屋に入ると、横から不意打ちをされた。

敵意がないから反応できなくて…。

「可愛い声出すわね」

「な、なにを!?」

「え?メイドにはセクハラするものでしょう?」

聞いたことないし、いきなりお尻を…。


「…シルフィー様に報告しますね」

「だ、ダメよ!! それだけはダメ!」

「アルフィー様が変な言葉を覚えていたのは王妃様の責任ですね…」

「…あの子何を言っていたの?」

「お母様はメイドにセクハラするから気をつけるようにと」

「なんで知ってるのあの子…」

「事実だったのですね…」

何してるのよ本当に。


「だって! お祖母様がいつもメイドにしてたから。挨拶なんだよーって」

発端はアキナさんか。でもすごい納得。


「ご用事だと伺ったのですが…」

「せっかく専属になったのだからちょっと手を出しておこうかと」

「…帰ってもいいですか?」

「冗談よ。 これはただの挨拶。本題はこっちよ!」

王妃様が指差すのはオーブンの魔道具。


「グリシア王国から購入されたのですか?」

「ええ。すごく便利だからって自慢されたの! これもアスカちゃんよね」

「私はキサラなんですが…」

「今だけはそれ置いといて。真面目な話なの」

「わかりました。 私の魔道具で間違いないです。なにか不具合でもありましたか?」

「ううん! 凄すぎて! ライセンスとして購入したから真似して城用に作ったのだけど…本来より機能を絞ってるわよね?これ」

「流石、よく気が付かれましたね。扱いやすい様にと、作りやすいように単純化したものを申請してますから」

温度も低中高の切り替えと、時間も五分と十分の2パターンしかない。

それだけあればなんとでもなるし。長くしたい時は繰り返せばいい。

予熱は魔道具だから必要なく、一瞬で設定した温度にできる。



「本来はどうなってるの?」

「温度設定や時間の設定もイメージ通りに自由に出来ます。でもその術式は複雑になりますから」

「なるほどね。アスカちゃんが作ったにしては簡易だとは思ったのだけど、この無駄のないキレイな術式は間違いないと思って」

「言ってくだされば作りましたよ?」

「嬉しいけど、お金を動かすのにはこういうのも必要なのよ」

それもそっか。


「本来の物もみせてくれる?」

手持ちのオーブンを出して、見てもらった。

「さすがね…。これはまだ書き込めないわ。だから簡易化したのね」

「ええ。魔族の人なら何とか作り上げるとは思いますが…」

「夕波王国にいる人達ね」

「はい。多少なり衰退したそうですが、腕のいい子が居ましたから」

「羨ましいわ…。引き抜けないかしら」

ハルナさんが手放さないと思う。あちらで作ってる魔道具はドルチェが要だし。


「他にも便利なものはある?」

「厨房用品でしたら幾つかグリシア王国でも申請しましたが、してないものもありますね」

興味を示した王妃様にハンドミキサーや冷蔵庫、申請してない小型コンロなども見てもらった。


「へぇ〜相変わらずすごいわ。 うちもしっかりと権利とかの申請を始めようかと思っていてね。まぁ、作れるのが本当に少数だから時期尚早だとは思うのだけど、法整備だけでもしておくつもりなの」

「そんなに職人さんが少ないのですか?」

「ええ。私を含めても五人だけよ。殆どは明かりの魔道具をなんとか作れる程度だし」

力を入れてるグリシア王国との違いがすごいな。


「アスカちゃんもうちでなにか売りたかったら申請してもらうからね」

「今のところ売るつもりはないです。既にグリシア王国と夕波王国からの権利料で大変なことになってますし…」

「でも、ドライヤーとシャワーはうちで申請してあるわよ?」

「いつの間に…」

「広まる前にしっかりとアスカちゃんのものだって証明しておかないといけないから、勝手に済ませてしまったわ」

「お手数おかけしました」

「いいのよ。申請書類等の作成をする基準にもなったから。と言うわけで、はいこれ」

渡されたのは話にあった申請書類。


「サインだけしてもらえれば、すぐに権利料が入ってくるから」

「どこに売れてるのですか…?」

「当然筆頭はグリシア王国よ。お祖母様の所も、夕波王国からも申請が来てるわ」

またとんでもない事になりそう…。


「うちは作れる職人が少ないから、基本はグリシア王国から輸入する形になるけどね」

ややこしい事になってるなぁ。

つまり、権利はアクシリアス王国にあって、グリシア王国でライセンス生産、それを買うと。

いや、権利は私にあるのか。アクシリアス王国は仲介してくれてるわけだね。


「王妃様、アクシリアス王国としてしっかりと手数料を取ってくださいね」

「手数料?」

「今回の話で言うなら、私が持っている魔道具の権利を、アクシリアス王国が仲介してくれてますよね?」

「そうなるわね」

「仲介する手間賃みたいなものです」

「なるほど…そういうのもあるのね」

「簡単に言えば、荷物を運ぶ人に払う輸送料みたいなものです」

「わかりやすいわねそれ。つまり仲介してるうちがいくらか貰っていいということね?」

「はい。色々と手間が掛かっているはずですから。それに書類等もタダではありませんよね」

「わかったわ。でもアスカちゃんの取り分が減ってしまうわよ?」

「構いません。私の生まれ故郷では当たり前の事なので」

「またその話詳しく聞きたいわ」


取り敢えず、今回はそれぞれの取り分の割合を話し合い、しっかりとアクシリアス王国にもお金が入るようになって私は安心。

王妃様は民間にも広めようかと話してたけど、いきなり変更するとややこしくなるからと止めた。

先ずはテストケースとして、私達だけで運用してみて確認してほしいと。


「それもそうね。いきなりで市場が混乱したら大変だわ」

「はい。現状で問題がないのなら無理に改変する必要もないかと思います。今はここだけで充分かと」

王妃様も納得してくれたから大丈夫かな。


「あ、もう一つ。これ持っていって」

渡されたのは数枚の書類。

「シエルちゃんのお店を出すために必要なものだから、アスカちゃんと、シエルちゃんのサインをしたらまた持ってきて」

「わかりました、ありがとうございます」

「メイドが終わってからでいいからね」

「助かります」

今、みんなの所へ戻ったら、こちらへ戻れなくなりそうだものね。



「では、私はメイドに戻りますね」

「そうだったわね。また何かあったら呼ぶからよろしくね?」

「ひゃんっ…王妃様!!」

「挨拶よー」

本当にもう! アキナさんに苦情言わなきゃ!!









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