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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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専属メイドと王女様



翌日の朝食も手持ちのもので簡単に済ませ、メイド服に着替える。

食堂でまたユリネさんに会ったらいい加減バレそうだし…。


呼びに来てくれたネネアさんと、先ずは王女様エリアへ。

「シルフィー様が、キサラさんに起こしてほしいと仰られてまして…お願いしますね」

「は、はい…」

シルフィー、ここぞとばかりにわがままをねじ込んできたね。

まぁでも、これくらいなら許容範囲か。



早朝の王女様エリアはものすごく静かで、人気もない。

シルフィーの部屋の扉に”起こすならキサラでお願いします“ってメモが…。なるほどね。

お部屋をノックするも返事がない。

起こす為に来てるのだから仕方ないけど、嫌な予感しかしないよ。


扉を開けて室内に入り、ベッドで寝ているシルフィーを起こす。

「おはようございます。朝ですよ」

「ん…っぅ…」

艶っぽい声をあげて寝返りを打つシルフィーは、とんでもない格好をしてた。

なんだっけこれ…前に私も未亜とリアに着せられたな。

スケスケの…ベビードールか。シエルにもらったんだろうなぁ。


「シルフィー様、起きてください」

「……」

突然腕を引っ張られて、ベッドに引きずり込まれて頭が真っ白に。

な…に!?

「起こし方が違います…んっ…」

「…っ!?」

不意打ちは酷い…。


「シルフィー様…貴女は専属メイドに手を出すのですか?」

「ち、違います! アスカ様だから!」

「私はキサラです。どうするのです?専属メイドに手を出したなどと噂が流れたら…」

「!! それはダメです! 私の全てはアスカ様のものですのに…」

「では、今後このような事はお控えください。私はキサラですからね」

「…はい」

ちょっと意地悪だったかな。でも、人目のあるところでもこんな事をされたら、本当におかしな噂が立ちかねない。

王女様としてそれは良くないからね。

…私が実際にそうだし。 (ぷぷ)


「(こういうのはアスカの時にね?)」

「は、はいっ!」

あまりにも落ち込んでるから耳元でそう囁いておいた。 (ママのASMR!)

なによそれ…。



最近は自身のドレスへの着替え等も増えたから、特殊なものじゃなければ見慣れてきたし、シルフィーに着せるのも問題なく済ませられた。

「すごい手際ですね」

「良かったです」

この後は食事だけど…。


「お食事は部屋にお持ちしますか?それとも食堂へ行かれますか?」

「朝は軽めなので部屋にお願いします」

「わかりました。着替えも終わりましたし、カーテン開けますね」

「ええ。 気を使ってくださったのですか?いつもは先に開けられるのですが…」

「大切な御身ですから。それに、日当たりの良いこのお部屋では、お目覚め直後の朝陽は眩しいですからね」

「さすが私の惚れた人です…」

ぼそっとシルフィーがそう呟いたのは聞かなかったことにしておいた。



一度部屋を出て食事を取りに行こうとしたらタタタタっと駆けて来るアルフィー。

「おはようございますアルフィー様」

「おはようございます! シルフィーねーさまはおきてますか?」

「はい。今からお食事ですが、アルフィー様はどうされますか?」

「シルフィーねーさまといっしょにおねがいします」

「畏まりました」

アルフィーのが自然にメイドとして接してくれるな…。出来る子だ。



厨房へ行くと既にお二人の食事は用意されていて、運ぶだけになっていた。

ユリネさんがよく使ってたのと同じカートを押して廊下に出ると、ネネアさんと遭遇。

「キサラさん。数日間、王族専属メイドは私達二人だそうです。ユリネ様もお休みだそうですので」

「陛下は…?」

「そちらはまた担当の者が別ですので。私達は王妃様と王女様、お二人のメイドになります」

よかった…。流石に陛下は緊張するし、王子はなんだか抵抗感がすごい。

命令されたらイラってしそう。

…メイドがそんな事を言っていたらダメなんだろうけど。


「それと、キサラさんを王妃様がお呼びですから、食事のお世話が終わりましたらそちらへ」

「わかりました」

なんだろう?

…今はいいか。

先ずは王女様お二人に朝食を届けないと。



アルフィーが朝からシルフィーの部屋にいるのはいつもの事らしく、仲良く一緒に食事。

「シルフィーねーさま、あさからなにかしませんでした?」

「…べ、別に何もしてません!」

「ふーん?あとでおねーさまにきいてみます」

「ダメです!!」

聡い子だよ本当に…。末恐ろしい。


食後のお茶と、特別に手持ちのお菓子を一つだけ出してあげた。

「この後は、お勉強ですよね?甘さ控えめのチョコレートなので、集中力が上がるかと思います」

「ありがとうございます!  …少しにがめですね」

「ええ。甘すぎると眠くなりますから」

「アルフィーのはへいきー」

「苦いのは苦手かと思いまして。ミルクが多めになってますよ」

アルフィーのが勉強時間は短いし、お昼寝もあるそうだから大丈夫でしょう。


「またすぐに部屋に来てくださいますか?」

「すみません、王妃様に呼ばれておりまして…」

「そうですか…お母様の用事が終わったらまた来てくださいね」

「畏まりました」

「アルフィーはへやにもどるのでいっしょにー」

「では行きましょうか」

抱き上げてほしそうにしてるから、片手で抱き上げてカートを押す。

本来こんなことをしたらだめそうだけど、やむを得ない。


「おかあさまにきをつけてください」

「はい?」

「ときどきメイドさんにせくはらするのです」

王妃様!? 幼い子がとんでもない言葉覚えてますけど!?


ひきつる顔を誤魔化しながら、アルフィーを窘めておく。

「王女様がそのような言葉を使われてはダメですよ?王妃様もそのような意図はないと思いますから」

「えー。そうかなぁ」

そう思いたいよ。

昨日、ネネアさんからも似たような話を聞いたから事実なんだろうけど、信じたくない。


お部屋に案内したアルフィーは、さっそくお勉強の準備。

しっかり教育係がいるのは当たり前なんだけど、この子本人のやる気もすごい。

「お勉強頑張ってくださいね」

「はい!」

部屋を出たら、先生らしい女性とすれ違ったので会釈だけしておいた。


「初めて見る人ですね?」

「はい…キサラと申します」

「ああ。指名されたという新人の方ですね。アルフィー様はお部屋に居られますか?」

「はい。学ぶ準備をされてお待ちです」

「…? そうですか…?ありがとうございます」

首を傾げてたけどどうしたのだろう。 (その人のお勉強はつまんないからって逃げ出す時があるから)

…なんの勉強? (マナー)

確かに大切だけど、幼いアルフィーにはつまらないだろうなぁ。 (今日はママがいるから)

それだけでやる気になってくれるのなら嬉しいけどね。



カートを厨房へ戻して、次は王妃様の元へ。

用事はなんだろう…。







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