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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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未熟故に



子供たちを連れて地下から出たタイミングで、ライアン様率いる騎士様達が到着。

「アスカ様! まさか全員捕まえられたのですか?」

「捕まえたというか、事情を聞いたら特に悪いことはしてないし、小さな子もいたから、保護したと言ったほうがいいかな」

「そうでしたか…アスカ様がそう仰られるのでしたらそうなのでしょう。詳しい話を聞かせて頂けますか?」

すぐに私の話を信じてくれる辺り、素直ないい子だよね、ライアン様。 (ママには逆らわないでしょ)

別に威圧したりしてないよ? (そういう意味では…)



ライアン様と騎士様達に経緯の説明をしたら、子供達を私のお屋敷に案内してくれるそうなので任せた。

私が連れて行くより、騎士様に連れられて行く方が、周りからの不信感も少ないだろうからと。

「お願いします。私はストレリチア様達を迎えに行って、そのままお屋敷へ向かいますので」

「了解しました! 姉上をよろしくお願いします」

騎士に囲まれて少し怯えてる子供たちには手持ちのお菓子を渡してあげた。

こういう時、甘いものの効果は絶大だね。 (みんなニコニコ)



待たせてしまっていたストレリチア様達と合流し、事情の説明をしながらお屋敷へ。

大きな犯罪じゃなかったから安心してたけど、別の意味で三人の顔を曇らせてしまった…。

私は本当にこういう時に配慮ができないな…。

もっとうまく伝えられたのではないかと後悔ばかり。


「ますたぁ、アレは仕方ないわ〜。むしろこの状況で何も思わずにヘラヘラしてるような三人なら、私はますたぁの恋人として認めないわ」

「そんな言い方…」

「悩んだり後悔したり、それも大切な経験だって〜ますたぁならよ〜くわかってるはずよ〜?」

「そうだね…」

だとしても、やっぱり悲しい顔をさせたくはないって思うから。

こういう事に関しては、私も経験を積むしかないか…。


「ありがとうキャンディ。私もみんなと一緒に成長していくよ」

「それ以上成長して〜私より大きくなるのはやめてほしいわ〜」

「体型の話じゃないから!」

「ふふっ冗談よ〜」

もう。 でも元気づけてくれたのよね…。ありがとう。



お屋敷に戻ったら、まさかの人が。

「可愛い子がいっぱい! うちの子になる?」

「陛下! 幼子に手を出すのはやめてください!!」

「違うって! 身寄りがないなら養子にしようかと思ってるだけだよ!」

アキナさん、何してるの!? (ちょっと前に嫁に会いに来たーって)

それがなんで獣人の子供達を連れて帰りそうな雰囲気になるのよ。

しかも女の子だけ…。 (血は争えねぇ!)

やかましいわ! (ふふっ)


男の子は大きい子ばっかりだからしょうがないんだけど。

小さい子は明確に性別がわかんないしなぁ。みんなかわいいし。


「あの…私お母さんもお父さんもいるのです」

「そうなの!?アスカちゃんが保護してきた孤児かとおもって」

ライアン様も他国の女王様だから口を挟めず困り顔。

私が事情の説明しなきゃ。


「アキナさん、すみません…。ご説明しますから、子供たちを離してあげてください」

「えー。うちで引き取るよ?」

アキナさんはよほど小さい子が可愛かったのか、膝に載せたまま離さず…。

お屋敷のメイドさんにお菓子とかの仕度を頼み、庭で説明会というかティータイムになった。



経緯を説明して、ようやく理解してくれた…んだよね? (多分…)

獣人の子たちからも細かい話を聞く子度ができた。

表舞台に出てこられたとはいえ、伝手もない子が自由に働いたり出来るほどではないらしい。



「そっかそっかー。仕事先とか困ってるのなら、こっちでの仕事を頼もうかな。街への買い物とか、現地の子のが詳しいでしょ?」

「陛下、そんな突然無茶を言わないでください。また私達の仕事が増えます!」

「こんな可愛い子達が苦労してるのをほっとくの?」

「それは…」

私も話を聞いて似たような事を考えたから、気持ちはわかるんだよね…。


「ストレリチア様、このお屋敷の経理は誰がしていますか?」

「それでしたら、モルチアナが担当しています」

「はい。私が任されておりますわ。 幼い子を雇うのでしたら私にお任せくださいませ。滞りなく手続きを済ませておきます」

「じゃあ、お願いしていいかな?あの子達の希望や事情を聞いて、ご両親に話も通しておいてもらえる?それと、お金を渡しておくから全員に貴族街に出入りしても不自然じゃないような服を揃えてあげて」

「わかりましたわ」

「無理強いは絶対にしないでね。嫌がる子がいたらその時は希望する子だけにして。ただ、全員いつでも遊びに来れるようにはしてあげて欲しいの。大丈夫かな?」

「はい。もちろんですわ」

ありがとう。頼りになるよ…。



「では、私とサラセニアは正式に雇った時の教育係ですね!」

「お任せくださいませ」

私の勝手なワガママだけど、もし獣人の子達が困っているのなら手助けはしたいし、なによりストレリチア様達三人も子供達に何かしてあげられたら、少しは心も晴れるんじゃないかなって。

獣人の子達にとって、迷惑でないのならっていうのが前提ではあるけど。

みんながここに出入りできるようになれば、安心できないかな?っていう淡い希望もある。


「アスカちゃんズルいよ!!」

「このお屋敷に来ていただければ会えますから…」

「それもそっか。孤児でもないなら連れて帰ったらだめだよね」

「当たり前です陛下! そんなのはピナだけにしてください! あの時だって私達は反対したのに…」

奥様達も苦労してるのね…。 



子どもたちと相談した結果、幼い子達はお屋敷のお手伝い。

年長者の子たちは街への買い物や、お屋敷の警備等を請け負ってくれることになった。

しばらくはうちの使用人が付き添ったりするけど、慣れればそれも必要なくなる。

貴族街とはいえ、今も残ってる貴族は獣人に対して寛容だし、公爵家が幅を利かせていた頃も匿うように、お屋敷内でずっと雇い続けていた家もあるそうだから心配はいらないらしい。

しっかりとした服装と、所属さえ明確にしておけば騎士様も普通に通してくれるし。



数人は住み込みを希望した子もいて、部屋の割り振り等はサラセニアがしてくれた。

「上手く付き合っていけそう?」

「はい。話してみたら私達と何も変わらないのですね…。お祖母様の言葉を鵜呑みにしていた自分が恥ずかしいです…」

サラセニアは公爵に、獣人は魔法も使えず野蛮で危険、会話も成り立たない。そんなふうに教わってきたらしく、それが間違いだったと体感出来たのはこうして直接関わることができたからだと、言ってくれた。


三人とも小さな子に懐かれて嬉しそうにしてるから大丈夫ね。

流石に大きな男の子たちは遠慮してるけど、そちらは騎士様が警備指導をしてくれるそうだから安心。


お祭りデートの筈が、随分と予定が変わってしまったけど…三人の抱えていた物を知れたのなら意味もあったと思える。

後は私次第だな。

自身の性別に関してもハッキリしたわけだし、一度ちゃんと女の子として心身共に鍛え直す必要があるかも…。 (鍛えるの!?)

だってほら…恋愛経験以前に女の子としても未熟すぎるから。 (そう?)


恋人が女性しかいないのに、女心がわからないのは色々と不味いでしょう? (だからってどうするの?)

それが問題だね…。


こんな話を本人達に相談する訳にもいかないし。

うちの母さん…には頼りにくいな。 (ドラゴンに頼るのはズレてそう)

難しい問題だな、それは…。 (アキナさんもハーレムだから参考にするのは…)

私も似たようなものだからコメントに困るし、やめてくれる? (ぐふふ)


となるとアルディエル母様か、王妃様? (王妃様ならドラゴンだけど大丈夫そう!)

だよね。シルフィーのお母様でもあるから、相談してみてもいいかも…。









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