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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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グリシア王国のお祭り

  


翌日、デートの日。


屋敷のホールで待ち合わせたストレリチア様達も動きやすい服ではあるけどおしゃれをしてる。

私もシエルが用意してくれた服を着て、出かける準備はバッチリ。

「アスカ様、どうでしょうか?」

「いつものようなドレスとはまた違い、可愛らしくて素敵です。街では私がみんなの護衛もしますから安心してくださいね」

「王子様に守っていただけるなんて…」

「確かにアスカ様は私達には王子様のような人ですわね」

今はもうちゃんと女の子なんだけどなぁ…。 (ママはカッコカワイイから仕方ないの)

喜んでいいのそれ? (うん!)

…そういうことにしとくよ。


フィールドのある街の中心地まではうちの子たちとも一緒に行って、観客席に行くみんなとはそこで別れる。

当然、キャンディとノアともここで一旦お別れ。

「マスター、皆さんは必ずお守りいたします」

「私達もいるのよ〜?安心していいわ〜」

「うん。お願いね」

上空にはラムネたちもいてくれてるし。


「お母様、行ってらっしゃいなのです!」

「みんなの言うことを聞いていい子にしててね?」

元気よく返事をしてくれるリズを撫ぜて… (……)

ティーもおいで。 (あーい♪)

撫ぜてあげると二人とも嬉しそう。

リア達も見ててくれると言うから、大丈夫。任せよう。



私は一度運営本部へ顔を出して、貸し出してる魔道具の最終確認。

そちらも問題なしだったから、お役御免。

三人とお祭りみたいになってるグリシア王国の中心地周辺を回る。


「あちらがステッキの即売会です!」

何件かの出店にいろいろな形のステッキが飾られてて、そのまま購入もできるようになってた。

デザインは、私が思いつかないような物もあって、面白い。 (大半がハデハデだし)

まぁね…。 


「…やっと我が国本来のあるべき姿になったとお父様もお母様も喜んでいました。これもみんなアスカ様のおかげです」

「私はきっかけを作っただけですよ。それから先はこの国に住む皆さんの力だと思います」

「相変わらず…ですわね。このステッキも、あちらこちらに出店されている食べ物も、元のレシピはアスカ様のものですのに」

唐揚げやラングドシャにカップケーキ…本当に売られてるのね。

それらを作るのにもハンドミキサーやらの魔道具も使われてる。


これはお金が大量に入ってくるはずだよ…。

お屋敷の購入や維持で回ってるからいいようなものの、異世界で本当にお金持ちになってしまったな。


出店を見て回ってたら、見知った方が。

「あら、貴女はあの時の!」

「お久しぶりです。お祭りに出店されてたんですね」

「ええ! 私達獣人もこうして表舞台に出てこられるようになったんだもの。ありがとうね」

「アスカ様、お知り合いですか?」

「うん、前に少しね。路地裏にうちの子達と入り込んじゃって…」

「父上からある程度は聞いていましたが…なるほど。ご不便をおかけしてすみませんでした」

「えーっと…?どちら様でしょう?」

「いえ、お気になさらず! 私が謝罪したかっただけなので」

ストレリチア様は王族として公爵家の横暴を止められなかったからって思ってるのかもな…。

でも…今それは…。


俯くサラセニアは、店から離れた所で突然頭を下げた。

だよね…。


「ストレリチア様、先程は申し訳ありません! 公爵家の…いえ、私とその家のために、王女様に謝罪させてしまい…」

「ううん、違うの。あれは無力だった王族の一人として、私が謝罪したかったっていうだけのわがまま」

「ですが…」

「もう貴女の事を責めるつもりなんてありませんよ? そうだったら、こうして一緒に並んで歩いていると思いますか?」

「……」

「私の家も少なからず加担していたのですから、決して他人事では無いですのに…。こうして目の当たりにしてしまうと言葉が出てきませんでしたわ…申し訳ありません…」

「もう! 二人ともやめてください! 私達はもう家族も同然なのですよ?違いますか?」


口を挟めない私はどうしようか悩んで、一人で戻ってさっきの獣人さんのお店でペペロンチーノみたいなパスタを買ってきた。


「これ、美味しいですから一緒に食べませんか? こうやって表舞台に戻ってきてくれたからこそ食べられるものなんです。これが今、この国が変わった証明でもあると私は思いますよ?」

元気のないサラセニアとモルチアナに、まずは食べてもらう。


「美味しいです…」

「そう、ですわね…本当に美味しいです」

「前のままだったら決して食べられなかった。でも、今はこうして当たり前に食べられる。それって素敵じゃない?」

「はい…」

「ですわね…。こんなに美味しいものも知らないままだったなんて」

「せっかくこうして街へ出てきているのだから、これからは知らなかった”素敵”を一緒に探さない?サラセニアには前にも言ったけど、知らなかった事に気がつけたなら、これからは変われるって私は思うよ」

「はいっ! あの時のお言葉にどれほど救われたか…。そうですね、後悔していても何も始まりません」

「はい。私達にはアスカ様も皆さんも居てくださるのに…。こんな事では情けないですわね」

「そうですよ! そんなですと、私がアスカ様を独り占めしてしまいますからね?」

「「ダメです!!」」

良かった…。元気になってくれて。



他にも草食系の獣人さんが出してたお店で、くず餅っぽいものも食べてみたり、遠くで盛り上がってるステッキの試合の歓声を聞きながら街を散策。

本当に彼方此方で獣人さんを見たから、街の人の意識改善は早かったんだろうな。

国として何かをしたのは間違いないんだろうけど…。

笑顔の獣人さん達を見ていたら、細かい事はいいか。と思える。


「ストレリチア様はステッキの試合は見ないのですか?」

「兄と弟が主導しているイベントに、あまり私が顔を出すのも後々面倒くさいことになりかねませんから。既に私が先に大きなイベントを成功させてしまっているので、余計になんです」

後継者とかの問題か…。

貴族社会だとややこしいね、そういうの。

メリアさんの所も、始まりは皇子との後継者争いだったからな…。


「さて、そろそろあそこに向かいましょうか!」

「は、はい…覚悟はしてきました!」

「ええ。この日のための準備に抜かりはないですわ!」

えらく気合入ってるね?どこに行くのだろう? (あー…)

なんでティーは察してるのよ? (ワカンナイョ)

嘘ばっかり! わかるなら教えて? (えー…ティーの口からは)

何なのよ…。


街を散策しながらも、お祭りの喧騒からどんどん離れて行くストレリチア様。

途中で突然裏路地へ。

まさか、他にも獣人の人達のいる場所が?

そう思っていた私は、自身の考えがある意味お花畑だったのを思い知ることになった。


「いい部屋を予約もしてありますから、行きますよ!」

ティーが言い淀んだ理由がわかった。 (やっぱり…)

ネオン看板の…これダメなやつ!!

抵抗しようとしたのだけど…

「皆様とは行かれたのですよね?私達とは嫌という事ですか…?」

「そういう言い方は…」

あの子達とも何もなかったのよ!?


「無理強いして何かをするつもりはありませんわ。ただ…同じようなことを体験しておきたいだけですの」

「私もこういう所は初めてですからご安心を…」

サラセニアは私に何を安心しろと!? 


結局押し切られる形でまたまた入店。

どこも雰囲気は似たようなものだけど、以前入った所より高級感があるというか…。 (王族が予約取るくらいだし?)

もう、本当にこっちの貞操観念がわかんない!! 

王族はダメよね!?絶対に。 (継承権一位の王女)

うぐっ…。 (既に一度入店済み)

ぐぬっ…。 (ご休憩してくればいいのにー)

そういう訳には…。


ノリノリの三人の様子に色々と諦めた私は、予約してあるという最上階のペントハウスみたいな大きな部屋へ。

丸い大きなベッドは何人寝れるのやら。


またまた独特なネーミングのメニューを頼み…。

三人と近況報告だったり、色々な話をして、のんびりお風呂に入ったり。

以前と同じ様に女子会みたいなノリで過ごした。

 

三人は私と”そうなってもいい”と覚悟をしてきていたみたいだけど、申し訳ない…。

「本当に大切だからこそ、手は出さないよ。こういう事には順序があると思うし、今はまだこうやってデートしたり、お話したり…そういうのを楽しみたいでしょう?」

それで納得してくれてホッとした。みんな色々とすっ飛ばし過ぎなのよ! (ママが奥手なだけ)

やかましいよ? (ふひひ)


色々と問題が山積みな状態で、責任が取れない様な事をする訳にはいかないから…。 (女の子同士なのに?)

それでもなの!! しかも性別を変えられる魔法が当たり前にある世界では一つ間違ったら同性でもどうなるかわからないでしょう? (ママがリアルに子持ち…)

それはもうティーや精霊を含め何人もいるけどね。 じゃなくて!


いい加減、ティーのそういった知識の元を断つべきか…。 (未亜と奈々が消される!)

…犯人その二人か。 (しまった!!) 

やれやれ…。











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