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召喚被害者の日常は常識なんかじゃ語れない  作者: 狐のボタン
第八章

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恋とか愛とか



「それで妾の所へきたと?」

「…ごめんなさい母様。一人になろうと思ったのですが、咄嗟に思い浮かんだのは母様だったんです」

「一人というか、ちゃんとついて来ておるがな」

え…?


「ばれちゃったー!」

「ティー!」

「して、ティー。アスカは振られたと落ち込んでおるが実際どうだったのだ?」

「んとねー」

嫌…もう聞かせないで…。


「今はちょっと待って! ってやつ?」

「だろうなぁ。話を聞く限り拒否する理由も無さそうだからな。まだ準備ができておらんとかそんなところであろう?」

「そうそう!」

「なのにアスカは早とちりしてこうなっておるのだな」

「ママはあまりのショックで途中から話しを聞いてなかったの」

「今も耳をふさいでおるからな…思い込むと突っ走るのはあの頃から変わらんな」

「良くも悪くもー」

「うむ。まぁしばし悩むのも良いであろう。それも経験だ」

「ちょっとみてられないの」

「そう言わずに見守ってやれ」

「はーい!」


うう…。

どうしよう…私はノアをまた喚べるの?どんな顔して会えばいいのよ…。

それにみんなにも……。

自分の想いが相手に届かないってこんなに辛いんだ。

「ママ、ママ!」

「ティー…」

「アルディエルママがしばらくこっちに居ていいから、のんびりしてなさいーって」

「そう…。母様は?」

「ママが耳をふさいでイヤイヤしてる間に、お仕事あるからーって」

母様も忙しい方だものね…。突然来て迷惑かけちゃったな。



ティーと一緒に、母様があの頃のままにしてくれている部屋に来たのだけど…。

…落ち着かない。


前は本当にホッとして落ち着いたのに。

完全に私自身の問題なんだろうけど、これを乗り越える手段を私は知らない。

初めての事だから仕方が無いとはいえツラすぎるよ…。

みんなにもこんな思いをさせていたの…?

何も知らずにいた、そんな私がどんな顔でみんなに会える?

知らなかった、わからなかった。それで済ませていいはずがないよね…。


「お邪魔するわね。 …また随分と魔力が乱れてますね」

「ウェルチ姉様…」

「少し落ち着きなさいアスカ」

「…はい」

深呼吸して、心を落ち着けたい…。けど…


「えっ…」 (どしたの?)

これ…どうして…。 (ママ!?)

称号の効果が反転した…。 (え?)

ほら、不名誉なのになぜかプラス効果だった称号、あれが文字通り全部マイナス効果に…。 (……)


「ウェルチ姉様、どうしよう…」

鑑定の使えるウェルチ姉様ならすぐ気がつくよね…。

「…やれやれ。強さだけなら魔王様に匹敵しても、まだまだ子供ですね?」

うぅ…実際、まだ高校生だし…。


「称号というのは、経験はもちろん周りからの評価や、本人の心持ちも反映されます」

「そもそも称号ってなんですか…?」

「今言ったとおりです。例えば周りから悪人だと評価されるような行動を取り続けたり、本人がそう認識していればそういった称号が付与されます」

優柔不断とかはまさにだよね…浮気者もか…。


「一度ついた称号はなかなか消えることはありませんが、今のアスカのように反転するということは起こり得ます。今、貴女は後悔していたりしますよね?」

「はい…」

前は不名誉な称号だとしても、それはそれとして受け入れていたから?


「わかりやすい例えで言うのならば…暗殺者。手を染めなかったアスカたちにはつかなかった称号ですが、アスカやユウキの様に心優しいものが暗殺に手を染め、暗殺者という称号を得た場合、間違いなくマイナス効果になります。後悔して心を痛めるのですから当然ですよね? 逆に、プロとして割り切る者や、そういった行動を誇るような…言うなれば外道な者ならばプラス効果になるでしょうね」

「そう…なんですか…」

「だから落ち着きなさいと言ってるのです」

そうは言われても…。みんなに対して私がしてきた事は赦されないから…。


「話を聞きましょうか。溜め込むとよくありません。ますます弱体化しますよ?守りたい物があるではなかったのですか?」

ウェルチ姉様はティーを見てる。

そうだよね。私にはティーを始め守りたい人が沢山いる。

このままじゃ誓いの言葉さえ守れなくなる…。それだけは避けなきゃ。



今回の事も、今、後悔している内容もウェルチ姉様に聞いてもらった。

「アスカは思い込みが激しすぎますね」

「…そうでしょうか」

「本人達に言われたのですか?待たされて辛かった、恨んでいると」

「いえ。みんな優しいですし、そんな事は思ってても言わないと思います」

「アスカは今、振られたと思い、辛くて逃げてきましたよね?」

「はい…」

改めて言わなくてもいいのに…。


「もし、アスカの傍にいる子達が同じように感じていたのなら今も傍にいると思いますか?」

「わかりません…私自身こんな思いは初めての経験なので」

「なら、何故直接話さないのです?そんな話もできないような間柄の相手に誓いを立てたのですか?」

「直接聞けと言うのですか?」

「それしかないでしょう?相手の気持ちをすべて理解するなど不可能です。なんの為に言葉があるのですか」

「でも…」

「聞くのが怖い、ですか?」

「…はい」

「愚か者! それでは何も解決しませんよ! 独りよがりもいい加減にしなさい。恋愛など一人でするものでは無いのです。相手がいて初めて成り立つのですよ?それを一人でウジウジと悩み続けて何になりますか!」

ウェルチ姉様の言ってることは全くそのとおりなんだけど…。

辛い思いをさせてたら、私はどうしたらいいの。


「そう叱ってやるなウェルチ。 アスカ、お前は自分の大切な人達を信じられないか?」

「母様…」

「そうさな…。お前は振られたからとノアを嫌いになったのか?」

「嫌ってなんていません!」

「それが答えではないか?仮にお前が待たせたことで相手に辛い思いをさせていたとしよう。それでも今は傍にいて、仲良くやっていたのではないのか?」

ケンカもしてないし、みんな変わらず接してくれてる…。奈々はちょっと変わったけど。


「想い合うということは、時に傷つけ合う事もある。それが当たり前だ。何事もなく平坦な道程などつまらんではないか」

「そうでしょうか…」

「遠慮して、お互い言いたいことも言わぬまま…。初めはいいだろうが、そんな関係が長く続くと思うか?」

「いいえ…。それは無理だと思います」

絶対それは破綻するっていえる…。


「お互い我慢したり、譲り合ったりなど当たり前だ。何もかもが望み通りにいくなどあり得んのだからな」

「そうですよ。だからこそ話し合うんです」

「はい…」

もし辛い思いをさせてたとしても、それも受け止めるだけの度量が私には必要って事だよね…。

多分、謝るのは違うんだろうし…。全部ひっくるめて受け止めていかなきゃダメなんだ。


「ありがとうございます、母様、姉様。少し気持ちの整理がつきました」

「そうか?ノアとももう一度話し合う事だ。話は最後まで聞いてやれよ?」

「…はい」

「ほら、早く行ってあげなさい。心配してるはずですよ」

「わかりました。突然お邪魔してすみませんでした」

「よいよい。いつでも顔を出せと言っただろう?娘の悩みくらい聞いてやるから」

「抱え込むよりいいですからね」

本当に温かいよ…。 (ママ、みんな待ってる! 特にノアが!)

…わかった。 ティーもありがとね。 (ふふー)


ティーを抱いて、少しホッとしつつ、みんなの待つ世界へ…。











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